今年は雛を飾らなかった。でもひな祭りのお寿司は作った。昔懐かしい母のちらし寿司、今も受け継がれている。午後から友人とお茶の予定。今日は春日和。

ちらし寿司母の手元は目分量
◎連載小説「CALL」34
「なんか、誤解しとるごたぁよ。いったいどげんしたと、分かるごと話してみてよ、あんたが近藤さんと別れたとか別れんとか、それは自由やけどね、いたずら電話がどうのこうのってそれは何の話ね」
和恵は寝込みを起こされたことも手伝ってものすごい剣幕だ。もしかしたら自分の間違いかも知れない、と思ったが、何も言わずそのまま電話を切った。もしかしたら無言電話は和恵ではなかったのかも知れない…。だが、もうどうでもよかった。例え和恵でないにしろ、近藤から捨てられたことは紛れもない事実なのだから…。しかし、今度は少し間を置くようにかかってきた電話で、美佐の心に渦巻き膨らんだ怒りや嘆きや寂しさが水を浴びせられ鎮火して行くのが分かった。電話は又、和恵だった。美佐をいさめるような口ぶりだった。