水温む | ryo's happy days

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思い切り人生を楽しむこと。これが全ての私。

天気予報によれば今日は14℃まであがるらしい。本の在庫が尽きた。今日は不要不急の外出をする。午前中の人出がない時間帯に出かける予定だ。
ヒヤシンスが咲き始めた。春がもうきている。
 煌めける漣の先水温む
連載小説「CALL」22
 無言電話は相変わらず続いていたが相手が和恵では、と思うと今までとは異なる感情が芽生えた。近藤を独り占めしていることが誇らしく和恵に対する優越感が小気味好くさえ感じてきたから不思議だった。仕事上がりは六時だが、近藤はいつも先にホテルで待っている。美佐がママチャリを飛ばして行くと一足先に風呂を済ませた近藤がバスロープの胸を広げて抱きとめてくれるのだ。自称、プロゴルファーと語っているが、現実はたまにゴルフ場からまわってくるコーチの仕事があるくらいでそれほどの収入はないことが分かってからは、デートはもっぱら安いラブホテルにしけこみ、食事は美佐が持ち込む弁当屋の残り物と、後はコンビニで調達する500㎖入りの紙パックの日本酒で済ませている。カーペットに座り込み小さなテーブルにその日の食べ物を広げお互いの体をまさぐりあいながら飲み食いするうちに酔いが回りだし、充分に昂揚したところで近藤の太い腕に抱えられてダブルベッドになだれ込むのだ。
 今夜はいつもより激しく燃えた。和恵から聞いた話が原因だった。