春浅し | ryo's happy days

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思い切り人生を楽しむこと。これが全ての私。

今日はワクチン3回目の接種日。ここ数日間、とにかく体力温存して備えて
ましたが、これでストレスも一つ減ることでしょう。暗いニュースばかりのこの頃、オリンピックでの若者たちの躍動に救われます。
 春浅し必ずやくる日常の
連載小説「CALL」15
 マンションに移り住んで久々に自分の家の風呂に一人で入った。琺瑯の薄青い浴槽に自分だけのために贅沢過ぎるほどのまっさらな湯をはり、足を伸ばしてみたものの物足りなかった。小さな赤ん坊だった悠を膝に抱えて風呂に入れたときの、あのもっちりとしたふくよかな感触を思い出したのだった、やりきれなさに、思わずこみあげた涙をお湯で洗い流すと静寂を破る湯の音が浴室に響いた。
 こんな思いをするならば、いっそ天涯孤独の方がいい。なまじ、娘やかわいい孫の悠がいるばかりに…、生木を裂かれるような寂しさと痛みが入り込み、余計な苛立ちと虚しさが加速した。
 また鳴った。取れば切れる無言の電話…。どうせ切れると分かっていながら美佐は確かめるようにゆっくりと受話器を取った。