今、手元に車があればなぁ、と思うことがしばしばある。ちょっと大好きな園芸村まで行ってみたい、とかそんな軽い気持ちのときだ。
もし、免許証を返上してなければきっと「ちょっとなら良いだろう」とか「慣れた道だからとか」思うと思う。だから返上して正解だった。
今「ヒヤシンスが欲しい!」でもそれは夢。

ヒヤシンス目を細めしはいつのこと
◎連載小説「CALL」12
だが家に決まったお金が入らないということは、もうそれだけで家を暗くする。失業保険も切れ、美佐のパートだけが唯一の収入となる頃には心の余裕は無くなり、夫はただの怠け者にしか見えなかった。ぐだぐだと日々を暮らし、三食しっかりと只飯を食べる夫の、一日二合と決めた、唯一の楽しみの晩酌さえも無性に腹がたってくる。
嫌がる夫を無理矢理連れて、何度もハローワークに夫婦して通い、やっと見つけた仕事はどれも三日と続かなかった。
「俺ぁ、もう死にたか…」
…またか…。
恒男のいつもの言葉につい切れることが多くなった。