悲惨なニュース | ryo's happy days

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思い切り人生を楽しむこと。これが全ての私。

大阪の火災。心のケアを求めてきていた患者さんはどうなるのだろう。
神田沙也加さんのニュースも含めて心が病んでいる人がどれほど多いことか..。
暮れも押し迫って暗いニュースばかりが舞い込んでくる。
山茶花のひとしれず咲く道の端
連載小説「虹の輪」35
 水かさが増した御笠川の土手に群生したセイタカアワダチソウが数本、川に倒れて波のなすがままに揺れている。夕立ちが止んで川辺の柳の先端からポトポトと雫が落ちていた。日向の焦げた匂いが湿りを帯びて昔の出来事を包み込むと、俺はやるせなさに涙で霞む水面をいつまでも見ていた。陽さんの言葉は、あたかもその光景を目撃したかのように、俺の脳裏に立ち上がり、ありありと焼き付いていた。
「ママ! 見て、見て」
 駆け出しはしゃぐ声が聴こえる。そして鈴代さんの目前で転んだエミリーに刺さった、かざぐるまの柄は目を突き抜けて頭蓋骨の隙間から脳にまで食い込んだのだ。
 鈴代さんの悲鳴! 曾さんの絶叫! そして友爺の行き場のない後悔、全てが悪夢だ。
 友爺が自分を虐めるように毎日黙々と続けていたゴミ拾いの謎も解るような気がしていた。拾っても拾っても落とされるゴミをただ拾い続ける見返りのない作業を修行僧のように続ける友爺の姿。その謎がさっき聞いた一連の災いを償う懺悔とすれば少し理解できる気がする。それに、空き缶を踏みつぶす友爺の口から漏れる「シッシッ!」という声は、自分に向けての、糞! の声だったのか、やりきれない悔いを踏みつぶしていたのかも知れない。

 モニュメントが揺れている…。薄い木切れを互い違いに紐で結びリビングの窓辺に掛けた友爺の手製のモニュメントが揺れて、ときおり乾いた風の音を運んでくる。
 もしかしたら友爺は始めから自分の病気が単なる貧血ではないということを知っていたのかも知れない。二十余年もの歳月に渡り張りつめた糸が切れて、今、友爺に限界が訪れようとしていた。口を開けば、俺に関わるな、とか、アパートに帰れ、と言うが、俺に言わせればそれは自殺行為だ。陽さんから聞いた情報を友爺に問いただすことはしなかった。というかその事実を俺が知っていることさえ隠しておきたかった。
「友爺、もしかして死にたいなんて思ってないでしょうね。そんな馬鹿なことを考えているとしたら、俺、許しませんから! 友爺、生きなければ駄目ですよ! 人間決められた寿命ってものがあると何かで読んだことがあります。第一、友爺を頼りにしている曾さんはどうなるんです、友爺は生きてしなければ行けないことは山ほどあるんです。お願いだから元気出してください」
 無駄と知りつつ思いつく言葉を投げて友爺の意気を揚げようとするが、言葉は虚しく寝ている友爺の頭上を通過してしまう。医者には行かぬ。頑として突っぱねた。