我が家の友人、NAPPOとYASSが絵の道具入れをクリスマスプレゼントにくれた。今までテーブルいっぱいに広げていた画材がコンパクトに収納できて
すごく嬉しい。また、楽しくなってきた。


香典を封筒に入る冬ざれて
◎連載小説「虹の輪」33
思い切って訊いてみた。
「火事のことですが、陽さんは原因をご存知なんですか? 俺、今日、民生委員の人が来られたとき、たまたま話したんですが、そのときの火事で曾さんの奥さんが焼死されたと聞いて、かなりショックを受けました。今まで曾さんのことは、単なる我が儘な老人と思い込んで好きになれないでいたんですが、エミリーちゃんが亡くなった直後の火事で奥さんも亡くなったと伺い、今は気の毒でなりません。陽さん、ご存知ならば教えてください。もしかして、友爺がこのことに関わってるのでしょうか、でないとすれば不可解です。曾さんに対する友爺の献身さは普通じゃないでしょう。元上司、親友、それ以上の何かがあるんでしょうか?」
少しばかり風が吹き始め、いつの間にか空に灰色の雲がしのびよっている。けれど陽さんの顔が翳ったのは灰色の雲のせいではない、何か知っているのだと分った。
「雨がくるかなぁ」
少し空を仰ぎ俺の言葉を転がしているようだったが、やがて大きな吐息とともに吐き出すように声を出した。できるならば話したくないことだったのだ、と容易に推測できた。
「もう、時効やな。あのときのことは四半世紀近くも前のことやもんな。実はな、俺も詳しくは知らんのよ。ただ、これは誰もが知っておることやけど、明け方のことで、工房の作業に使う軽油に何らかの原因で引火してね、近くにいた鈴代さんが巻き込まれた、ということやった。だが、真相は分らんのよ」
「原因不明ってことですか」
「引火する原因がないんだ。出火が夜明け前で、本当なら誰もが布団の中で眠ってる時間でさ、現に社長は熟睡していたと聞いている」