クリスマスランチ | ryo's happy days

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思い切り人生を楽しむこと。これが全ての私。

ピアノの生徒さんの手作りお料理でクリスマスランチをいただきました。
ワインも美味しくいただき、楽しいひとときでした。福岡県では10万円の給付金はクーポンではなく現金となりました。私には関係ない話だけれど、現金が良いに決まっています。福岡は頑張ってるなぁと思いました。24日のクリスマスイヴに給付開始!高島市長、やるね!
 新券を貯めて準備やお年玉
連載小説「虹の輪」29
「火事で奥さんが死んでからというものね…」
 俺は思わず早急に相槌を打つと話の先を促す。
「火事のことは聞いてはいましたが、それで、奥さんが亡くなったことは知りませんでした」
「工場が全焼してかろうじて母屋だけ残ったんだけどね。明るくて美人の感じのいい奥さんでねぇ。ま、事情は同情するけど、もうかれこれ20年以上は昔の話だしね、町内の人たちも最初は同情してたけど、そのうち、ここいらもアパートに建て替わったりね。だから向井さんの事情なんて知らない人がほとんどよ」
「確か、子どもさんもおられたと聞きましたが」
「そう、かわいい子だった。火事が起きるまえに死んだんだよね…。あれが不幸の始まりだったね。ご主人がこうして両手に抱きかかえてさぁ、この道を走ったんだ。救急車が待てなかったんだね、あのときの悲鳴は絶叫だった…。今でも耳に残ってるよ。あの日も今日みたいに暑くて晴れた日だった」
「…それって、事故なんですか」
「多分そうじゃないかな。確か郷里に埋葬したとかで、訊くに聞けないというか、向井さんは隣近所で世間話する人じゃなかったからね、あまりにも急だったし、多分、事故だろう、と噂しかね。火事はそれから間もなくのことだった。あれは、悲劇だよ、思い出したくはないね」
 小林さんの話す声が蝉に消されて行き、俺は相槌さえ打てなかった。頼むね、と言い、後味の悪い昔を思い出したためか肩を落として遠ざかる後ろ姿を見送った。そこら中の空気を全部吸い込むように大きく深呼吸をして張り裂けそうな心を鎮め、再び曾さんの玄関に半身を突っ込んで大声で叫んだ。