次男から「クリスマスプレゼント何が良い?」と言われて、今日は街に出ました。欲しかった軽いダウンジャケットを買ってもらいました。持ってはいるのですが全て黒。ちょっと冒険したい気持ちでしたので、派手目の光沢のあるブルー系にしました。かなり嬉しいです。

いつまでも二重マスクの予防する
◎連載小説「虹の輪」28
小林さんが、やっぱりおるんだ…。と独り言のように呟いた。俺は更に言葉を続ける。
「曾さん、吉岡さんのこともあるし、それに今、町内会長さんの小林さんも見えられてます。お話があるそうですよ。ちょっと出てこられますか」
町内会長という言葉を出したのがまずかったようで、返事はなくドアがしまる軋んだ音がした。声を潜めて小林さんが言った。
「まずかったみたいね。私のことを言ったのが」
俺の袖を引いたので二人して引き返すと、お互いに深い溜め息をつく。
「何なら、僕が伝えましょうか、あの薮蚊を退治すると言っても曾さん、いえ、向井さんにはまず無理でしょうから、結局は誰かに頼むかってことになるし」
「そうだよなぁ、駆除するったって向井さんの許可がないと、他人さまのとこに勝手に殺虫剤も撒けないよね。このままだと保険所に通報することになるしなぁ」
そう言いながらポケットからくたびれた名刺を出した。
雲一つなくカンと青一色の夏空から乾いた陽射しは容赦ない。川沿いというのに、大気はそよっと動いてもくれず二人は汗まみれだった。小林さんが自分の頬をパシッと叩いた。油断すると蚊がしつこくまとわりつくのだ。
「急ぐんだよ」
「わかりました、夕方まえには何とかして連絡いれますね」
俺の返事に頼むね、と頷きながらも口から溜息が漏れる。
「こんなんじゃなかったんだよね。昔は明るくて人柄も温厚な職人気質の人だったのにねぇ」
小林さんの口から、思いがけず曾さんの謎が少し顔をみせた。