買い出し | ryo's happy days

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思い切り人生を楽しむこと。これが全ての私。

友人の車でコストコに連れて行ってもらいました。肉、海鮮、冷凍野菜など
冷蔵庫いっぱいの買い物をして満足。お喋りも弾んで楽しい一日でした。
 買い出しの手いっぱいに師走客
連載小説「虹の輪」21
「社長は奥さんとそりゃぁ仲が良くて、なんでも美大のときに知り合ったとか言ってたなぁ、学生結婚だったらしい。学生時代ののろけ話をよく聞かされたよ。そうそう、鈴懸工房の鈴は鈴代さんの鈴から一字を取って付けたと聞いていた。鈴代さんはよく笑う人で、いつも笑いが絶えない仕事場にしようと、そんな思いを込めた、と聞かされてたね」
 薄暗い部屋から半身だけを覗かす曾さんは、実は友爺より若く、背も高く、黒々とした頭髪は肩までありバンダナで後ろに纏めている。腕の時計を見て、さぁてっと、仕事仕事、と言いながら小型トラックで帰ってしまった陽さんを見送り、暫く写真を眺めていた。
「もう、過去のことよ。折角焼け残ったこの写真はゴミで捨てられてたのを俺が救出して倉庫の中に隠してたのよ、だからさ、吉岡さんにもあれこれと詮索はせんことよ。忘れてしまいたい古傷だからさ、あっ、それ、また倉庫の見えないとこに置いててね。いつか懐かしいと思う日も来るかも」
 陽さんの言葉が頭の中に渦巻いている。友爺や曾太郎さんにとって忘れてしまいたい古傷がこの写真の中に隠されている。そしてこの出来事は少なくとも幸せなことではない…。
 ジョギングしている公園にも中央辺りに鈴懸の大木がある。たまに友爺が公園の鈴懸の幹を見上げ、身動きもせず佇んでいる姿を見かけた。たわわに実る鈴懸の実は、大空にその影を散らし、さわさわと揺れて風と実の響き合う音が聴こえる気がした。何を考えているのか古木のように一点を見つめたままじっと、随分長い時間をそうしているときもあった。そんなときの友爺は目には見えないバリアが張られ声を掛けることすら躊躇われた。鈴懸の木があたかも大きな意味合いを持って、浮き彫りにされて立ち上がる。鈴代さんと鈴懸の木…、二つの鈴が俺の心に鳴り響く。