ランチ | ryo's happy days

ryo's happy days

思い切り人生を楽しむこと。これが全ての私。

福岡ドームでホークスのハモンドオルガン演奏を手がけていた頃、共に頑張っていた友人と数年ぶりに会い我が家の友人を含めて4人でランチしました。職業病と言うべきか、みな腰痛持ちです。思えば過酷な仕事を25年以上も頑張りました。良い時代を共有できた友との会話は楽しく、再会を約束して別れました。
 何度でも手を振り別かるあたたかし
連載小説「虹の輪」11
 友爺の穏やかな声が聴こえてきた。
「ほれ、なんじゃ、このゴミは。足の下で地面が泣きよるで。何でそないにイリイリとしとる」
 男は胡散臭そうに俯いたまま黙々と弁当を食べている。何日もシャンプーもしていないのだろう、塩を吹いた昆布の塊のような頭を箸の先でときおり掻いた。友爺の持つゴミ袋には男が今まで読んでいた週刊誌や、散らかしたと思われる弁当の蓋や割り箸の袋が入っており、更に今、この瞬間に投げ捨てた蜜柑の皮を、友爺は何の文句も言わずにトングで拾って袋に入れる。そして更に男が口から吐き出した蜜柑の粕も丁寧に拾っているのだ。食べ終わると差し出す友爺のゴミ袋を横目に、わざと足下に投げ捨てたのを見て怒りが込み上げた。思わず声を上げようとした俺を制止したのは友爺だ。黙って空の弁当箱をトングで拾うと遠ざかる男の背中を見つめた。その男の背中に俺はむかついた。友爺の無駄とも思える寛容さに苛ついた。