自分でも納得いかない小説を納得しないままに書き上げたものの、思い切って
「没」にした。2ヶ月以上も掛かった作品だったが、「没」にしてすっきりした。新規蒔き直しでやり直そう...。

雨止みて突如舞い下る北の風
◎連載小説「虹の輪」7
俺と友爺との最初の出会いは博多区市民図書館に隣接している山丘公園だ。まさに浪人中の俺が持て余した体力と鬱積したストレスの発散を兼ねて、アパートからすぐの山丘公園を走っているとき、友爺はいつも公園のゴミ拾いをしている。やってることは異なるが、俺たちはいわば公園の常連だった。
この公園は別名、桜公園とも呼ばれている。春には幾種類ものさまざまな桜が咲き誇る。三月の声を待つように、まずは小高い場所の山桜が咲き始めると、競うように彼岸桜が濃いピンクの花をつけ、やがてソメイヨシノが一斉に咲き出すのだ。舞い散る桜吹雪の中を走るとき、地上と空が一体となって、俺は全ての憂鬱から解き放たれ子どものように桜まみれで走る。