ジャズダンスのときに着る洋品を買った。思い切って派手なもの。
昨日書いたブログの中で私のことを「最近痩せて覇気がないし、どうしたの」
と言われ続けていた反動がきた。髪もグレイではなくまた染めようかな..。

昨夜マンションのベランダで..。月蝕
秋暮れて派手めの衣服選びたり
◎連載小説「虹の輪」5
「なんも。それより飯はちゃんと食うてください。今日は曾(そう)さんの好きな鯖の煮付けにしときました。食後の薬、忘れんごと、一緒に置いてます」
友爺の言葉が終わらないうちに暗がりに白い一筋が見えドアの開く音がした。湿った灯りを背に、肩まで垂らした白髪、鳶のような目でじっと友爺を見ていたが、それきり何も言わずにドアが閉まる。俺はどうしても曾太郎(そうたろう)というこの人が好きになれない、というか不気味だ。だが、友爺にとっては特別な人なのだろう、友爺は曾太郎さんのためなら骨身を惜しまず尽くすのだから意味が分からない。つい先日も博多駅前通りの病院から出てくる友爺を見かけた。友爺、病気? と思ったがあれは曾さんの薬を取りに行ったのかも知れない。
随分前に訊いたことがある。
「曾太郎さんって人、一体何ものなんですか? いつ見ても病人みたいで、それに大体、酒、呑み過ぎですよね」
友爺は腕組みをしたまま顎をぐっと上に向け、空のどこかを見ていたけれど、一言言った。「さぁて、帰るか…」黙ってチャリに乗り御笠川沿いを西に堅粕の交差点まで来てから、アバよっというように軽く右手を上げて三号線方向に走り去る背中を暫く見ていた。触れてはいけない友爺の聖域だったようで、あれから、そして今日に至るまで曾太郎さんのことには一切触れていない。