お盆の中日 | ryo's happy days

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思い切り人生を楽しむこと。これが全ての私。

例年この日はちらし寿司を作ります。私が好きな卵は大きめに..。
お盆の中日、母は決まってちらし寿司を作りました。
 母の寿司真似して作る盆の入り
 連載小説「みつさんお手をどうぞ」28
 「みつさんに毛糸玉を見せたときの顔、息子さんの木元さんに見せたかったです」
 木元さんは、腕組みをして少し肩を落とした。
「で? どんなやった?」
 俺は少し得意気に答える。
「めっちゃくちゃ、喜びました。大喜びですよ! 俺、極太のたまたま黄色を持っていったんです。はははっ! 思い出してもかわいかったです」
「……」
「大ヒットでした! ケンさん! ケンさん って言ったんです」
「はぁっ」
「初め解らなかったんですけど、高倉健さんのことだったんです。幸せの黄色いハンカチたいって、みつさんが言ったので分かりました」
「そんなことば思い出したとや」
「はい、みつさん、高倉健さんの大ファンだったらしいですねぇ。ケンさんはよか男やもんね。って言われたので、はじめ、俺の素性がばれたのかと、どきっとしましたが違ってました。一応、俺もケンなんですがとんだケン違いで」
ここは笑うところだろうと思ったのに木元さんは笑うどころか、なぜかむっとした表情をしたように見えたが、別に気にも留めず俺は話し続けた。
「それで、みつさん、黄色が好きなんですよねぇ。目から鱗、納得です! 黄色はよかねぇって、幸せの色たいね、って、俺の手を取って何度も」
「……」
「でも、かぎ針は初めのうちは、何に使うかもすっかり忘れてたみたいです。俺が根気よく鎖編みをして見せると、段々と思い出してきたようで、やっぱり、昔とった杵柄というか、今ではかなり思い出したみたいですよ。でも形にはなりませんけどね。そう言えば、木元さん、昔、編んで貰ってたんじゃないんですか? みつさんが俺にむかって、浩志にも、編んでやったやないか。と言ってましたよ」
「そうやったなぁ。俺は忘れとったが、そう言えばおふくろがせっせと夜なべして、靴下編んでくれたよ」
 感慨深げに呟いた。