福岡市内にも大雨洪水警報が出ている。昨日から降り続く雨に地盤が緩んでいるのでは、と心配になる。緊急事態宣言でどこにも行けない日々、食べたかったラーメンをおうちで再現「ラーメン・炒飯」を食べた。ラーメンはもちろん味噌味。お仏壇をていねいに掃除して明日のお盆に備えた。

ラーメンの後のアイスを我慢する
◉連載小説「みつさんお手をどうぞ」26
「どう、作家活動はうまく行ってるの?」
たまに木元さんに訊かれた。おれは溜め息まじりに吐き出すように答える。
「書くことは書いてます」
「藤堂君は九大卒なのに、居酒屋とか、俺なんかのおふくろの面倒なんかで時間潰しちまって、本当にこんなことでいいのかなぁ」
「……」
「いや、親でもないのに、こんなこと余計なお世話かも知れないけどさ、きちんと就活して堅い仕事についてからでも小説は書けるんじゃないの?」
「はぁ、そうも思ったんですけど…、実を言うと母が生きていた頃は大学を卒業したらすぐに就職決めて母親には楽させてやりたい、なんて、いっちょまえに思ってたんです。だから不本意でも就職率がいい工学部を選択したんですよね。でも、その目標もなくなったし、それなら、いっそ、俺の好きなように、人生、賭けてみたいと思ったんです」
実際、書くことを目標にしている俺にとっては、今の状態は居心地が良かった。居酒屋はみつさんの付き添い後の時間をそのまま有効的に使ってるので実質、週に四日の労働で済むし、あとは自由な時間となる。何より気に入ってるのは、朝がゆっくりなので夜中、書くことに没頭できることだった。
「ご心配いただきありがとうございます。でも計画通り三十歳までは、このまま頑張ってみるつもりです。それで芽がでなければ、また、真剣に考えます。それに今の仕事なんですが、俺にとっては、かなり楽な仕事で、本当に雑用くらいで、後は何もしてないんですよ。ただ、みつさんの傍にいて、話し相手するだけなんですよね。もっとやることがあれば言ってください。何だかバイト代頂くのが恐縮するくらいで…」
俺の言葉を遮るように木元さんが言った。
「何、言ってるの、ほら、ここ」
木元さんが指差す日誌の文字を見た。
「ああ、編み物のことですか?」
「そうだよ。奇跡! 奇跡だよ、こんなの」
「えっ、そうなんですかぁ。ただ、たまにやりかけたまま眠ってしまうんで、かぎ針には注意して、一番太くて短い木製を選んだんですが、それでも危ない気がして、俺が帰るときには取り上げてちゃんとしまって帰りますけど」
木元さんは、ぐっとのけぞるように背をそらし、片方の掌で拳固を作るとトントンと額を叩いた。
「藤堂君! ほんま、ありがとうなぁ」
「はぁ」
「藤堂君、君の仕事は簡単と言うけど、息子の俺にも家内にもできんことを、君にやってもらってるのやで。それに言うたやろ? 何人も面接して、おふくろが受け入れた子は君だけなんや。頼むから、辞めるなんて言わんでね」