甲子園 | ryo's happy days

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思い切り人生を楽しむこと。これが全ての私。

高校野球の開会式で、山崎育三郎さんの「栄冠は君に輝く」を聴いて感激した。
オリンピック終了後、今度は高校野球。コロナ対策をしっかりとして、闘って欲しい。さて我が家のささやかな楽しみのお好み焼き。プレートを新調した。
 お好みをビール片手に焼いてをり
連載小説「みつさんお手をどうぞ」24
 今日の居酒屋は大盛況だった。誰もがこのクソ暑さにうんざりしているのだろう、嬌声の中で生ビールがよく掃けた。居酒屋の仕事がはねたのはいつもより三十分も遅く、深夜も廻った頃だった。クーラーが効いた店から一歩、戸外に出ると、夜になっても冷めきらぬ熱気がまとわりついてくる。お疲れ! と、声を掛けてバイト仲間が彼女をバイクの後ろに乗せてマフラーを噴かし去って行った。俺も、軽く手を上げて答えながら、流星号にまたがり夜空を見上げた。星は一つも見えなかった。心が激しく騒いでいた。俺は何でまたこんな物書きという底なし沼の世界に魅入られたんだ…。必死で書いているときはただ夢中で作品の中に埋没している精神が、ふと立ち戻った瞬間、深い落とし穴に入り込んだような物凄い焦燥感となって、何もかもが嫌になってしまう。今がそんなときだった。ゆっくりとペダルを漕ぎながら、誰一人待つ人もいない孤独なプレハブの牢獄に帰るタイミングを失っていた。
 みつさん、もう眠ってるよな…。気がついたとき、俺はつるばみ荘の非常用の入り口をそっと押していた。顔馴染みの警備員が退屈そうな目をして俺を見た。
「すみません、忘れ物しちゃって、すぐ取ってきますんで」
「困るんだよね、そういうの。ま、特別に許可するから、すぐ戻ってきて」
「勿論です」
 言いおいて、音を立てないように階段を駆け上がる。夜気に包まれた病室は、居酒屋の喧騒とは、まるで別世界の静寂が支配している。ときおりかすかに聴こえる鼾だけが、ここには確かに生命が存在していることを感じさせた