喉奥と耳近辺の酷い痛みに掛かりつけの耳鼻科を受診し検査したところ、そのまま総合病院に送られ、検査の末帰宅しないままの入院になってしまいました。その頃は食べ物はおろか水さえ飲めないほどに腫れ病名は「急性扁桃膿瘍」点滴三昧の入院でやっと治り、あとは投薬治療になり退院しました。ご心配かけました。

一杯のソーダ水に救われし病み上がり
◉連載小説「目」13
目はどこまでもついてきた。成子は一日に何度もあの目を思い出す。あれからの日々、成子は傍目には楽しく生きた。まるで箍が外れたようにお稽古ごとに精をだし流行の服を着て新しい友だちとランチもし華やかに振る舞った。家は売り、中古のマンションの最上階に引っ越すと自分好みの壁紙に包まれて好きな音楽をかける。夜はベッドに入るとテレビを点け他愛もないバラエティなどを見ながらも執拗に迫る視線を感じて天井の隅を見上げると、そこに成子をじっと見つめる目があった。
…いつまでも責め続ければいいんだわ…。
浩一郎が死んでからの人生はある意味、居直りの人生だとも言えた。どんなに明るく振る舞っても無意識に成子は目を探す。そして目は執拗に成子をどこからかじっと見据えているのだった。
うとうとした気もするが、破壊じみたもの凄い音で目が覚めた。尋常ではない外界の音にベッドを出ると少しだけ開けていた窓を閉める。風圧で重くなった窓が苦しげに軋んだ音を立てた。ゲリラ豪雨だ。ベランダのカポックが五本の指を一杯に開いたような形をして気が狂ったように悶えている。激しい雨粒がベランダのコンクリートに跳ね返り暴れまくっていた。