新しいピアノ | ryo's happy days

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思い切り人生を楽しむこと。これが全ての私。

アコースティックなピアノを取り入れた画期的な電子ピアノ。楽器も進歩している。音色もほぼ遜色なくて、これからは何時間でもピアノが弾けると思うと
嬉しくて仕方ない。
いろんなピアノを遍歴してたどり着いたが、これからの一生の友達だ。
新しきピアノ購入梅雨晴れて
連載小説「夏蕨5」
 紀伊子は一度、手痛い失恋を経験してからもう男性はこりごりしていた。けれど栗山さんは紀伊子が知っているどんな人とも違っていた。もう四〇歳も過ぎているというのに、好奇心丸出しの茶目っ気やまるでガキ大将みたいな男気に紀伊子は思わず身を熱くするのだ。栗山さんは海や山とか何でも詳しかった。紀伊子を抱きながら、若い頃に海でクラゲの大群の帯に遭遇した話や、台風が近くにきたことも知らずに泳いだとき、身の丈五倍はある波に巻き込まれ、それはまるで透き通る硝子のトンネルように滑らかだった話などして、そんなときの栗山さんの細い目の奥に見える瞳の輝きに紀伊子は惹き込まれてしまうのだった。
「きいちゃんの全てが好きなんだ」
 そんなことを平気で言う。
「心底、きいちゃんに惚れてるんだ。きっといつか一緒になろうよ。それが赤い糸で結ばれた僕ときいちゃんの運命さ」
 もう男はこりごりだと思いながらも悪い気はしなかった。