明け方、トイレで起きてベッドから起き、1歩踏み出したときに足がもつれて前向きに転倒。寝ぼけてたのかなぁ。もろに顔から転んで全身も強打。絨毯でよかった!骨折はしなかったけれど、年寄りは家で骨折するってアリ〜だって実感!あちこち湿布を貼って痛み止めを飲んだ。今日は静かにしていよう。

他人事と思うな戒しむ梅雨寒し
◉連載小説「夏の残り11」
二人は妙に馬が合うというか、どこかしら顔つきも似ているようで、寛太が非番の日には二人して市場など冷やかすと、よく「ご姉弟?」と聞かれた。
セツ子も姉弟? と言われることは嫌いではなかった。初めて寛太が家に来た日、がむしゃらにセツ子の上に被さってきた寛太の若さも苦しいほどに好きだったが、公の場で寛太を何と説明してよいやらとまどいが走る。そんなとき、弟さん? と言われれば、自分の身体の一部に寛太がいるようで好ましかった。
寛太は根っからの料理好きで、博多に古くからある柳橋連合市場をあさり歩いては買いこんできた食材を冷蔵庫に蓄えており、暇さえあれば見よう見まねで包丁を握っている人だった。
「どう?」
作った料理をセツ子に試食させては、食べているセツ子の顔を真剣な眼差しで覗き込んだ。
「うん、すごく美味しい」
「セッちゃんは聞いたら美味しい、しか言わないんだから。もっと何かあるだろう」
「何かって?」
「味が足りないとか濃すぎるとかさ」
「そうねぇ、でも、本当、美味しいわ。寛ちゃん、自信もっていいと思う」
セツ子の言葉は何よりの励みになるようで、嬉しそうに鼻を膨らませた。
そんな寛太のためにセツ子は密かに積み立て貯金をしていた。いずれ小さな小料理屋でも開くときに寛太に渡すつもりでいた。