今日は家でランチしながら昼間から「鬼レモン酎ハイ」を飲んだ。昨日から1歩も外へ出ない日。夕方から花屋さんに行こう。毎週金曜日に花が入荷する。だからお花は金曜日に買うと決めている。

梅雨雲に包みこめらる我が心
◉連続小説「夏の残り9」
寛太は板前見習いで、ここ一年やっていることといえば、一日に百匹近い魚を捌き続けることだ。ベテランの仲居のセツ子とは一回りも年下で同じ干支のせいか気が良く合った。
寛太が魚苑に入ってきたころは、当時でも珍しい青々とした、いがぐり頭の少年だった。帳場でかしこまって座る寛太と、付き添いの父親にお茶を出したのはセツ子で、魚苑の主人が履歴書を見ながら「家が小浜なんに、うちに来んでもなんぼも修業する店のあるでしょう」と言うのが聞こえた。セツ子も家が長崎の小浜温泉の近くならば、あそこら辺りは太刀魚で有名な観光地だし、そうでなくても新鮮な海の幸の宝庫だと言われている。何で福岡まで出てきたのだろう、と思ったが後々聞けば、主人とは遠い縁筋にあるとかで魚苑に住み込みで働くことになったらしい。
中卒でこの道に飛び込んだ寛太の毎日はまず掃除に始まり、鍋磨き、皿洗い、包丁研ぎ、と地道な階段をのぼって魚に手をつけるまで悠に五年はかかった。