昨年、洗濯機が壊れたのを手始めにガスレンジ、お風呂、掃除機、エアコンと立て続けに壊れたが、唯一頑張っているのが「冷蔵庫」かれこれ20年近くには
なるのに壊れない。だから我が家では冷蔵庫のことを「御大」と言って機嫌を損ねないように奉ってるのだが..。さて、長崎の友人から獲れたての新じゃががやってきた。まずは蒸してオーブンで焼いて食べた。美味!皮も美味しい。
 はやばやと歓迎されぬ梅雨の入り
連載小説「夏の残り8」
 ここ数日、ウオーンとうなりをあげているのは寛太の冷蔵庫だ。始めはそれほど気にもならない耳鳴りのような音だったのに唸りはだんだんと大きくなる。もう働くのは嫌だ、とでもいうように駄々をこねて泣いているようだ。
 寛太が数年前、この家にきたとき、荷物はほんの少しの本と衣類だけだよ、と言っていた癖に、レンタカーの小型トラックの片隅に、薄緑色の冷蔵庫がポツンと積み込まれていた。
「えらくまた年代もんの冷蔵庫やね、なんで持ってきたん? 台所に置く場所なんてないのに」
「まぁ、まぁ、これだけは許してよ、俺の宝物なんだからさ」
 笑った寛太の健康そうな糸切り歯がセツ子の胸にきりりと食い込んできゅんと胸が高鳴る思いがした。
 しようがないねぇと言いながらも亡くなった母親の時代からあった、それこそ年代物の古いテレビをどけて、寛太の冷蔵庫は、セツ子の白い大きな冷蔵庫の横に肩身が狭そうに収まった。