連載「幸せのパズル」5 | ryo's happy days

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思い切り人生を楽しむこと。これが全ての私。

 カナエと佐知子は同年。しかも揃って七五歳を迎えたばかりだ。お互いに離婚経験があり人生の辛酸を舐めてこの齢まで生きてきた。別れた夫はどちらも絵に描いたようなパワハラ亭主だった。すったもんだでなんとか別れた後は子供を育てるために働き続け忍び寄る老いにも気づかぬふりをしながら、やっと自分の人生を考える時間が来たときはもはや黄昏れにどっぷりと浸かってしまっていたのだ。

「なんかさぁ、このまま人生終わりたくないよねぇ。といって今更、何する?」

「そうそう、ピンポン打ち合ってたところで、今更、彼氏ができるわけでもないしさ、

いや、誤解せんでね。ただ、言ってみただけ。生きがいは男だけじゃないけんね。それに第一、男なんてちょっと良いのはみんな年下だもんね。でもねぇ、時はどんどん過ぎて行くけんねぇ。そうこうしながら私たちは終着点のあの世までの超特急に乗せられてるわけよ」

 …だけん、私もつい恭一の誘いに乗ってしまったのかも…。

 言葉が途切れて二人でぼんやり大きく開いた窓から広がる樹々を眺めていた。