おもいで まるでオブラートに包まれた半透明のゼリーのように 口に入れるとギザギザとした砂糖の粒が 今まで見ていた夢の続きを促している 薄暗い部屋はグリーンの壁紙に包まれて 私の指先から生まれたウキウキと心はずむメロディに 目の前に広がる芝生にユニフォーム姿の若者が ときおり振り返っては 私を見て やぁと軽く手を上げる ギザギザした砂糖の粒は溶けて 私は夢を失くして虚しさに 胸をかき乱し でも涙を流すことはない もう十分にやり切ったのだから