2015年11月、2016年12月に、縁合って、スウェーデンに行ってきました。
当時付き合っていた彼のお姉さんがスウェーデンの方と結婚されていて、そのお家へ遊びに行ったのですが。
その時に、観光でスウェーデンの歴史が分かるような場所に連れて行って頂き、そこで知ったのがサーメ(サーミ)の人です。日本で言うと、アイヌ民族のようなイメージと教えて頂きましたが、よくよく考えてみると、アイヌ民族に関する知識があまり無い私は、本当に雰囲気だけを理解しているに留まっていました。
最近は1人の時間がたっぷり出来たので、もっぱら映画鑑賞に精を出しており、何かいい映画ないかな〜と検索をしていたところ、聞き覚えのあるサーミという言葉が目に留まり、もうこれしかないと、心に決めて映画館へ出向きました。
今日初めて行った新宿武蔵野館、ここは今後も通い詰める映画館になると思います。
想像していたような映画よりも、より現実的で。差別と偏見というものを目の当たりにしました。
日本にいても、差別や偏見はありますが、正直なところ、自分は経験をしたことが無く。
しかしながら、自分の身近な人の中にはそういう環境下に置かれていた人は意外といて、その人たちのことを思うと、胸が詰まる思いでした。
家族や一族、血の結束が強くなるのは当たり前だと思う。
差別や偏見は本当にいけない。
何年経っても、忘れることのできない辛い経験なのだと、この映画の始まりを観ると、そう感じます。
主人公のエレマリャは、まっすぐ生きている女の子。映画の予告クレジットには「自由を求めた」って書いてありますが。
個人的には、自由を求めたのではなく、「差別や偏見から逃れ、新しい人と出会い、新しいことを経験したかった」だけではないかと思います。
まあそれが自由なのかもしれませんが。
なんか自由ってとてつもなく広くて壮大なものに感じてしまって。
言ってもまだ思春期の女の子ですから。
自由なんて言う大きな権利を得たかったのではなく、身近な願望を叶えていきたっただけなのではと思いました。
妹がいて、この妹がまたとてもいい。本当の姉妹で演じているとのことで、二人とも実際のサーメの人ということもあり、本当に演技というか自然な振る舞いがよかった。
サーメの人はスウェーデン人に比べてとても小柄なので、この姉妹が暴言を吐かれたり、威圧されたりする姿は、より一層見ていられなかったです。
映画として観てみると、構成がかなりしっかりしていて、この監督が長編を初めてとったとは思えないほどの傑作。
現代からスタートして1930年代を振り返るストーリーは、より切ない気持ちにさせました。
監督自身もサーメの血が流れているとのことで。だからこんなに現実的で力強い作品になったのではと思います。
そして、サーメ民謡のヨイク。私は日本人ですが、どこか懐かしく、温かく。北欧の大自然を想像させるような歌です。
エンディングでも流れますが、本当に素晴らしい。この映画にとって、とても重要なものになっていたと思います。
総じて、とてもよい映画でした。
内容が悲しく辛いものではありますが、色や、音楽や、雰囲気はとても美しく。
この映画は映画館で観て本当によかった。
個人的な話になりますが、スウェーデンの街並みが映ると、観光で連れて行ってもらった宮殿や公園ににている風景が出てきて、涙腺が緩みました。
季節も近づいてきたからですかね。懐かしい気持ちになり、また行きたいなあと思いました。
本当にたまたま縁合ったスウェーデン旅行をきっかけに、北欧デザインに興味が湧いたり、歴史に興味が湧いたり、そして映画に興味が湧いたり。「縁」というものは、こうして形を変えつつも、繋がっていくものなんですね。
私の人生の最後に、この縁がどういった形になっているのか、これまた楽しみです。
第1回目の執筆に、このような素晴らしいスウェーデン映画に出会えたことに感謝して。
それではまた。Tack.