20年前になりますが

高齢者施設で

塗り絵のボランティアを一年間

させてもらったことがあります。

当時は、塗り絵、色を出すことの

効果についてあまり知られてなく

よく、行かせてくださったものだと

当時のあの施設の方々に頭が下がる。



車椅子でしか移動できなくて

クレヨンを握ることも困難だった

ある高齢者の女性Cさん。

スタッフさんに連れられて

来てくださったのですが

握ることが困難なので

クレヨン使っても

すぐに手から落ちてしまう。


どうしようか、と思い

絵筆なら、

たっぷり絵の具を含ませたら

さほど力もいらないかも、と

試してもらったのですね。

でも、画用紙の真ん中にしか

絵の具を置けない。

こちらが意図して

画用紙を動かすことで

なんとか色付けをしてもらう。

そんな感じの初回でした。



スタッフさんが

塗り絵のある時には

連れて来てくださるので

ご本人の意思かどうかは分からずとも

その後、会う回数が増えていく。


色を出す回数が増えていく。

するとね、不思議なことが

起こり始めました。


始めはこちらが勝手につけた

絵の具の色を画用紙に

置くだけだったのが

色が気に入らないと、首を振られる。

筆を握ろうとされないのです。

色を変え、気に入った色になると

筆を持って画用紙に置く。

そんなことを数回繰り返した後

女の子が風船を持った塗り絵を選ばれて

風船に色を塗り始められました。
 

もちろん自分では画用紙の上で

場所を変えるのは困難なので
 
一つ塗ると、

違うところに筆先を案内せよ、

とばかりにこちらを眺める。

何回も移動させたのち

10個ほどあった風船は

青と黄色の対比配色で

出来上がりました。

対比配色を使える(選べる)くらい

元気になって来られたんだなぁ  

と、嬉しくなったのを覚えてます。




半年後くらいだったと思います。  

椿の絵を塗りたいと

自分の意思で選ばれました。

その頃には

ご自身で色をつけた絵筆を  

画用紙に塗れるようになられてて

真っ赤な椿を塗り終えられ  

そして

漢字で

お名前を書かれたんです!

 

その書かれたお名前は

現在の姓ではなかった。

 これはCさんの子どもの頃のお名前?

と、聞くと

嬉しそうに『ウンウン』と頷かれた。 


そうなんです。

すっかり記憶の彼方に行ってしまってた
 
ご自身の旧姓で

しかも旧漢字の難しい書体で

しっかりお名前を書かれたんです。


真っ赤な椿が運んで来た

忘れてしまってた過去の記憶。
 
Cさんの大切な思い出のお名前。


色は時として

脳のある部分に働きかけ

こんなワザを見せてくれる。


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2020年から始める

ガチの色彩心理講座に

ご希望曜日のアンケートを

たくさんいただきました。

ありがとうございました。

アンケートを返信くださった方に  

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8月の終わりまでには。


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