1月17日の朝

 

目に入ってきた
 
書棚の一冊の本の背表紙。
 
「人生で大切なこと」
 
 
今はここに居ない父の読みかけの本。
 
認知症が進んだ父は
 
あちこちに
 
読みかけの本を置いていました。
 

・・・・・・・

 
 
24年前の1月17日。
 
テレビニュースで真っ先に流れたのがこの画面。
 
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倒れた阪急電車。
 
当時、父が経営する眼鏡店の
 
店の窓から見える景色。
 
いつもと違うのは、
 
電車が傾いていること。
 
 
これを見た父は
 
店の様子を見に行くと言い出した。
 
自宅から店までは車で20分ほど。
 
けれどあの日、
 
電車は当然、止まっていて
 
道路もあちこち隆起して、車通行不能。
 
 
父は自転車で店の様子を
 
見に行ったのでした。
 
あちこちで家が崩れ、線路が曲がり
 
友人も亡くなりました。
 
なので、店がどうのこうのなんて
 
言ってるどころではありませんでしたが
 
当然、機械は転げ落ち、レンズは割れ
 
フレームは散乱してたそうです。
 
 
震災から5日目くらいだったかな、
 
危険指定された、テナントビルでしたが
 
店を再開しました。
 
眼鏡がないと困る方々を
 
たくさん知っていたから。
 
 
 
店が開いたことを知ったお客様が
 
血の付いた眼鏡や、レンズの割れた眼鏡を
 
持って修理依頼に続々と来られました。
 
 
修理に来られたお客様は
 
とにかくまず、眼鏡を探したんだよ、
 
と、おっしゃる方が多かった、、、。
 
 
 
父は検眼とフィッティング技術に
 
ずば抜けたメガネ職人だったので
 
本当に目の悪い方が多い
 
店だったんですよね。
 
 
 
 
あの時は、何ができるかを
 
一生懸命考えました。
 
そして、何もできないことを
 
責めたこともありました。
 
生きてるということを
 
ものすごく真剣に考えたものです。
 
 
今、その時と同じように考えてるかといえば
 
残念ながらそうではありません。
 
 
もちろん、
 
ずっと緊迫した思いを持つことは
 
とてもしんどいことです。
 
だから、
 
同じように思えなくても
 
自分を責めようとは思わないけれど。
 
 
命の大切さ
 
生かされてる命、そして
 
人生は生きてるだけで
 
どんなに素晴らしいことか。
 
を、大切に刻み続けたい。
 
 
目についた書棚の本で
 
改めて思いを馳せた朝でした。
 
 
【人生で大切なこと】
 
生きててくれてありがとう。