昔々、監督が幼稚園の先生だった頃のはなし。
そこは、教会付属幼稚園。
毎年、クリスマスの降誕劇は最大のイベントだった。
うまやで、イエス様が生まれるときのお話。
まずは、こんな絵本で導入。
イエス様の生まれた日の出来事をミュージカル仕立てで演じるのだ。
5,6歳の子ども達が覚えねばならない歌は10曲以上。
しかも、どの歌詞の部分で登場しなくちゃいけないとか、
前奏の間に編隊するとか、背景を変えるとか・・・。
よくやってくれたと、今でも思い出すとうるうる・・・
そんな中、プレッシャーになることが・・・・・・。
私のクラスには、ダウン症のこども、Jくんがいた。
自閉的傾向のあったJ君は、台詞を覚えるどころか
練習はいやいや、拒否拒否
。
みんなと並ぶ・・・ということが苦手で仕方ない。
小さな幼稚園だったので、どの保護者もその事は周知の事実、
なので、たとえ失敗しても、台詞を言わなくても、
優しく見守ってくれるのはわかってた。
Jくんの役どころは【宿屋の従業員】
マリア様が一晩、身体を休める場所を探して辿りついた宿屋。
しかし、生憎満室で「馬屋でよければ使ってもよい」という場面。
J君の台詞は宿屋さん最後の「どうぞこちらへ」
J君が言わなかったら、他の3人の宿屋さんが言う手はずと練習は積んだ。
1ヶ月に及ぶ、練習の間、Jくんは常ににこにこ立ってるだけ。
台詞どころか、定位置に並ぶことさえ、や~だよ~を貫いていた。
ところが、本番当日、Jくんは
ちゃんと手振りまでつけて、発声した。
「どうじょ、こちらへ・・・」
最前列でカメラ片手に見守ってたお母様、
最後尾に控えてたにも関わらずぶっとんできた園長、
よそのクラスの担任たち。
ええ大人が・・・もぉ。。。号泣。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。
今でも不思議。
どうしてJ君が本番当日、台詞を大きな声で言ったのか。
どうしてあんなに綺麗な笑顔で舞台に立っていられたのか。
クリスマスの奇跡・・・だったのかな~