covid-19感染症が5類になって二年。それがきっかけでマスクを外す人が増えたのだろうか。たしかに増えたが、まだまだな感じがする。スーパー・コンビニなどの店舗ではいまだに圧倒的多数だ。外せないのは花粉・黄砂・ハウスダスト・粉塵など。これらはまだわかる。問題なのが「素顔を見せたくない」。特に若い世代を中心に依存してしまった。そうなるのは想定してたはず。それを「個人の判断」とは何ともいい加減で無責任なんだろう。こういう投げやりな判断だから「ま、外せなくても気にしないや」「着けたい者は着けりゃいいじゃん」「ほっといてくれ」と他人事のように考えてるのだ。本当にそれでいいのだろうか。

 「マスク世代」といわれる小学生~中学生は強制的に着用させられてきただけに「慣れてしまった」「外すのに抵抗ある」。それについては親御さんはどう思ってるのか。親御さんは外すように仕向けても、本人は嫌がってるのだろう。これは国やメディア、医療業界などが洗脳した結果。だが、推し進めた者たちはマスクの知識を熟知せずに、ただ「効果ある」「しないよりマシ」と適当な理由で、効果ないと言ってた専門家まで手の平を返しだした。国やメディアがマスク推進し、国民もそれを鵜呑みにした。皆が皆「顔隠し社会」となり、それが当たり前、していないととことん叩かれる。「ノーマスクは悪」といわれだしたのもこの頃だ。病院はもちろんのこと店舗や公共施設、公共交通機関でも強要させ、あちらこちらで感染対策の貼り紙や店内放送を見かけるようになった。

他に「三密回避」「手指消毒」「ソーシャルディスタンス」「黙食」など。店に入る時はマスクをドレスコードにして、飲食時は外し、会話時や移動時は着ける。これをやってて何の意味があったのだろうか。スーパーコンビニのレジではアクリル板で囲い、レジ係はマスクにゴム手。5類化して2年経った今でもそうだ。外して接客したい人もいるだろう。だがマスク接客に満足してるのだ。未来永劫マスク接客ならマウスシールドでもいいんじゃないか。人間って表情見えてナンボの生き物だろう。顔隠して接客なんていい印象はない。「マスクの下は笑顔」接客態度がよくても眼見てたら笑ってないよ。睨んでるように見えるし、なにしろ生気のなさを感じる。こういった「顔の見えない接客」にいつまでも満足していいわけがなかろう。お目目しか見せない顔に、人間らしさなんぞ微塵も感じない。もうこれはバケモノか宇宙人ではないか。来世はこんな生き物で生まれ変わるだろう。

 これから暑くなり、熱中症対策として、水分補給や適度な休憩などは挙げられてもマスクのマの字は挙げられてない。今年も見られるのだろうか、マスク面にハンディファンをあてる姿やノースリ・へそ出しなのにマスク姿。例年この時期だとマスク姿は皆無だったでしょう。いつまでこんな違和感丸出しな場面を見せつけられるのか。顔出したくなければ「不審者風パーカー」でも着てもらう方がずっとマシ。日焼け防止・虫よけにもなる。中途半端にお目目だけ出して意味がわからない。しかも醜いマスク焼けもできる。やるからには徹底してほしい。お目目だけ不気味にギョロつかせてる方が不審者に見えるよ。

 マスクに依存してるのって、パチンコを止められないのと同じだと思う。一度ハマってしまうと、脳がまともになるわけがない。中毒性があるからだ。こうなってしまうと一生マスク生活だね、気の毒だけど。

 マスク業界は国・メディア・医療業界とグルになって利権を得た。それに味を占めたのか、バイカラーやたこ焼き皿のようなヘンテコマスクが作られファッション化させた。利益を上げるしか頭になく、弊害やリスクは眼中にないこの業界にも責任を負わせるべきではないか。いつか斜陽産業になると祈るばかりだ。

 

 

  その超マスク脳パートさんが先月限りで辞めてくれて嬉しかったわ。しかし喜んでたのもつかの間、会社から人手不足で忙しいから時間があれば手伝いに来てほしいと、先週から手伝いに来ている。辞めたのは「やりたいことが見つかった」そうで実は昨年末で辞めるつもりだったそうだ。それなのに自分の都合で辞めておいてあつかましい。いくら人手不足だろうが転職先が決まってないだろうが断れなかったのか。それまでのつなぎなんだろうか。ただでさえこんな状況で辞めたくせにノコノコと仕事しに来てんじゃねーよ。それだけでない。仕事以外にも仲が良かったパートさんが次々辞めていったのも相当堪えてるそうで、自分一人になると居心地が悪いのだろう。今でもLINEのやり取りをしてるそう。私は経営者でないからとやかく言えないが、もし彼女みたいな従業員がいたら遠慮したい。たとえ人手不足で忙しかったにしても、本人の都合で辞めたのだから。それだったら、なぜ彼女が辞めるのを会社は了承したのだろうか。いずれ職場完全復帰しそうでなんかモヤっとする。あとマスクが手放せないのは花粉症で喘息持ちなのはわかる。それなのにコンタクトは止めない。一度目ん玉にへばりついて取れなくなったとドクターストップがかかってたため、一時眼鏡にしてたが、すぐにコンタクトに戻していた。整った顔立ちだから眼鏡が似合ってて優しい雰囲気だったのにコンタクトだと表情がキツく冷たく感じる。なぜあえてリスキーな選択するんだろ、意味がわからない。

 「お義父さん、お義母さん。お願いします。自首してもらえませんか?それとも警察を呼びましょうか?」珠美が口を開くと、

 「それだけはやめてくれ!私たちは悪くない!すべてはあいつらのせいだ!」父の則勝は、自分たちがブラックインサイドによって洗脳されていたことにやっと気づくと、無罪を主張した。しかし、ブラックインサイドは総統が処刑されると、組織も自然消滅した。

 「私からもお願いです!」可都江も泣きながら土下座をした。

 「だが親父やお袋のせいで仕事が続けられなくなるんだぞ?先生の親、人殺しってね。子供たちにも顔を向けられなくなるよ。そうなったらこの村にいられなくなる。どうしてくれるんだ」

 「取り返しつかないことやってしまって本当に申し訳ない。お前がそう考えてるのなら、素直に自首してくるよ。それでいいんだろ?」

 「やっとその気になってくれたんだな。洗脳が解かれたっても今さら悔やんでも遅すぎるよ。しっかり償ってくれよ」息子の進助ばかりではなく、彼の姉妹にも人殺しのレッテルを貼られ、もはや逃げ場を失った状況だ。両親は進助の言われた通り、警察に自首した。二人は強盗殺人の罪に問われ懲役刑に服した。懲役何年かわからないが、彼らが生きている限り服役するだろう。

 「やれやれ…でも俺、学校に行けなくなるな…この仕事が天職だったのに、あの出来事ですべてが失われた。これからどう生きていくか…」あれから進助は教師を辞める決意をしたが、転職先がそう簡単に決まるものではない。珠美との仲もギクシャクし、口をきかない日が何日も続いた。

 「珠美、すまん…許してくれ…」

 「もうあなたとはやっていけない。私はやりたいことが見つかったの。今日限りでこの家から出ていくわ…」そして二人はとうとう離婚。進助は両親のいなくなった実家に帰ったが、そこでもあの出来事が尾を引いたのか、彼を雇ってくれる職場もなく家に引きこもっている。珠美は愛馬・ビアンコとともにかたつむり農園を訪れた。いずれ自分の店を持つために農園スタッフとしてしばらく働きたいそうだ。

 「こんにちは。失礼します」すると、農園主の立見宗二郎が彼女をまじまじと見つめ、

 「もしかしてあんたは…その馬も見かけたような…」 

 「わかってくれましたか?」 

 「ダイヤモンドなんとか…じゃなかった?」

 「そうですよ。ワタシは正義の味方・ダイヤモンド・ヴェール」珠美はHAGEと戦っていた時のようなポーズを決めていた。

 「あの時はカッコよかったよ。あんたのおかげで我々は救われた。感謝だよ。ところで何の用かね?」

 「実は…私、フラワーショップ開きたいのです。ここではお花を育ててるそうですね?そのためにここで勉強させてもらいたいな、って。」

 「そういえばあんたの親、何者かによって殺された”あの店”だったんだね」

 「はい。だから私がこの店を守りたかった。だけど、あんなことになってしまったなんて…」

 「そりゃ、気の毒だね。あんたがここで手伝う気があるならぜひとも」

 「ありがとうございます。夢に向かって一生懸命頑張ります!」珠美はかたつむり農園のスタッフとして働くことになった。その時、川山絵美と七村野絵が、

 「あなたは”リリーガーデン”の…」

 「よくわかってましたね。もしかして、お隣のおにぎり屋さん…」

 「ええ。まさかこんなところで会うのは偶然ですね。私たちもいずれはここでおにぎり屋を開きたい。だから野菜・お米・お花を育てて、ここで穫れたものをお店に出したりしてます」

 「あなたたちも夢があるのですね。お互いいい刺激になればいいですね」

 「珠美ちゃんでしたっけ?私もお花が大好きなんです。ここで育てたお花をあなたのお店で…」絵美は微笑みながら珠美に話した。

 「それは楽しみです!ますます夢が膨らんできますね」農園ではイネの収穫がやってきた。

 「珠美ちゃん、イネ刈り初めてだろ?腰を痛めないように気をつけるんだよ」珠美は慣れない農作業に手こずっているが、絵美たちは慣れた手つきでこなしていく。宗二郎はコンバインを使ってどんどん刈っていく。

 (やっぱ機械は早いな。自分も使えるようにならないと)

 「刈ってもすぐに米にはならない。しばらくもみを乾燥機にかけないといけない。それでやっと米になるんだ」

 「なんとなく食べている野菜やお米だけど、農家さんの大変さがよくわかります」珠美は彼らの苦労が身にしみたようだった。絵美と野絵はそのお米で作るおにぎりはきっと評判になるだろう、と過去の失敗を繰り返さないと思いを込めていた。

 「珠美ちゃん、見て見て!綺麗に咲いてるよ!我ながら上出来」絵美が自分で育てた花を珠美に見せると、

 「素敵ですね!」彼女は瞳を輝かせながら、可憐に咲いている花をじっと見つめていた。ゆくゆくは自分の店を持つ、ようやく夢に近づいてきたようだ。

 和志田家では、夫妻がかねてからレストランを開く夢を持っていた。実家から職場通勤していた夫の一雅が帰り、調理師の資格を持つ妻・とも子とともに念願のレストランを開いた。一雅も学生時代、飲食店のアルバイトを経験、かたつむり農園やさゆり牧場の農産物を使ったメニューが売り物で、無農薬で安全な食材を使い、あっという間ににぎわいを見せた。ようやく夢が叶い、二人に笑顔があふれていた。

 「好調さがいつまで続くか。ここに食べに来てくれる人たちにサービスは手を抜かないようにしないと」リピーターをなくさないよう、精一杯のおもてなしを心掛けている。子供たちも大好きなサッカーができることや、のびのび遊ぶことができ喜びを噛みしめている。

 「やっと外遊びができるようになって最高だよ!」

 さゆり牧場では、羽多間夫妻が長年我が子のように可愛がられていた雌牛のさゆりの大往生で気落ちしていたが、牧場主の恵視は出産間近の母牛の立ち合いをしていた。やがて無事に出産、生まれた雌牛は”二代目・さゆり”として再び”我が子”として迎え入れた。

 かたつむり農園で住み込みとして働いていた川山絵美と七村野絵は、そこで穫れたお米や手作りの梅干しなどを使ったおにぎり屋”じゃんけんぽん”を再開業。こんどこそ百合園の二の舞にならぬようにと、開店早々、大勢買いに来られ、あっという間に売り切れとなった。百合園で開いてた時よりも明るく笑顔が増していた。そこには先日からかたつむり農園のスタッフに入った目黒アザミも手伝っている。口コミも広がり、地元ばかりでなく百合園など近郊からも行列ができるほど繁盛している。前店舗から作っていた借金は悪徳な取り立て屋に追われることなく、良心的な弁護士に出会えたおかげで完済できた。

 小学校教員だった八原進助と離婚し、しばらくかたつむり農園で居候をしていた珠美も、進助が去った自宅を改装してフラワーショップ”リリーガーデン”を開くことができた。”リリーガーデン”はかつて百合園市で彼女の両親が営んでいた店で、彼女は両親の想いをこの店に詰め込んで愛情のこもった店づくりを、と意気込んでいる。

 こうして阿沙比奈村は以前のような自然豊かな平和でのどかな村に戻り、村人たちも解放感に浸りながら、

 「この村を救ったのは”あの人”のおかげだ。もし何かがあった時、彼女を思い出すがいい」突如として現れたヒーローに感謝しきりだ。村をにぎわうためには都会化するのもアリだったが、シラハタファームの件でこりごりだ。そして次々に新しい店ができるうちに必然的ににぎわうようになっていた。いつか花開くように、自分たちでできることをやっていくしかないと。

 「やはり阿沙比奈村はありのままが一番」村人たちに笑顔があふれた。空を見上げると暖かく煌びやかな日差しがこぼれ彼らを包む。こんな穏やかな日がずっと続きますように…。

 

 

 

 (おわり)

  

 ※この物語はフィクションです。登場人物・場所・建物・団体などはすべて架空です。