娘(長女・30代前半・2児の母)の幼~高校の唯一同級生だった子、高校卒業して10年経っても音沙汰がない。

 私が彼女のことを色々話して「LINEやってるの?」「結婚してるの?」などと娘に聞いてみるが、「知らない。LINEしてないし、どうでもいいよ」と娘は淡々と答えた。

 「もし、○○ちゃんが会いたい、といったらどうする?」

 だが、娘は拒否。性格が苦手らしい。

 「ネチネチしつこいし、暗い」と。

 その同級生、私から見たら優しく意地悪しない子だと思うなあ。

 幼小からずっと一緒に遊び学び苦楽をともにしてきた。だが社会に出て、それぞれ自分の生活を持つようになると無関心になってきたのだろう。幼少期からの長い付き合いも、いったん途切れると、もうどうでもいいのかと。

 彼女との再会する日は来るのだろうか。会いたくない、と言っても心の内では気にかけてるのかもしれない。

 彼女は4人兄妹の3番目、3歳年上の兄が二十歳くらいのときに○○した。一番下の妹はまだ小学生だった。なぜ○○した理由がわからない。兄妹の中では、兄が一番可愛かった。すっきりした顔立ち、いわゆる「しょうゆ顔」。

 彼は男の子なのに人懐っこくニコニコ愛嬌があった。私の子供たちともよく遊んでくれた思い出がある。子供たちとの写真でも笑顔が多かった。子犬のような無邪気な笑顔が印象的だった。私は彼の笑顔に何度も癒されたか。

 だが、兄は高校生の頃に不登校になり中退してからおかしくなった。理由がわからない。いじめに遭ったわけでもなく、優しすぎるゆえにメンタルが弱かったのだろうか。怒った顔も見たことない、いつも笑顔を絶やさない子だった。どうでもいいことなのに15年経った今でも忘れられない。

 うちにも3人子供いましたが、2人は彼と同じお空の上。きっと3人仲良く遊んでるのかな、と想像してみたり、彼も嬉しいはず。

 「また一緒に遊べて嬉しいね」と。つい彼の笑顔を思い浮かんでくるのだ。

 3人の妹についてだが、どことなくクセがあり(よくいえば個性的)、それだけ兄の可愛さが目立ってるのだ。その可愛さと裏腹に陰の部分があったのだろうか?

 また、年子の妹も中学時代にいじめに遭い不登校、その後定時制高校に通学したが、それ以後は不明。彼女も兄同様ニコニコ愛嬌があってムードメーカーでもあった。外見は兄とは真逆のハーフ顔、2人仲良く遊んでいた記憶がある。私もつい息子に「○○くん(兄)みたいに優しく兄弟を大事にしてくれたら」と何度思ったことか。私にとって彼ら兄妹は「羨ましいくらい仲が良い」の印象しかなかった。いつもニコニコ微笑んで喧嘩してる姿もみたことがなかった。親の性格もあるのでしょう。でも、いくら仲が良くても、どこかでストレスやプレッシャーになっていたのだろう。

 お兄ちゃん、お空から妹たちが元気に過ごしてるか気になってても、どこかで新たな生命を授かってるのだろう。できれば、また妹たちの元に生まれたかったかもしれない。もしかしたら、先立たれた2人の我が子の

元に生まれたりして。私は他人の子ながら、時々兄のはにかんだ笑顔を思い浮かんでしまう。

 彼らのような一見「いい子」でも悩んだり苦しんだり疲れていたのだろう。「いい子」を演じても、本当は乗り越えられない壁があったのだろう。でも今は自分たちの生活で精一杯かもしれない。兄の分まで幸せを掴んでくれてると信じて。