さらにSNSにアップして自分は”綺麗””可愛い”と認められ、承認欲求に浸りたいのであった。
早速、椿は”つばっきー”の名でSNS活動を始めた。
(へ~、”outstagram"か~)彼女はワクワクしながら目元だけで表情が作れるようクリクリと上下左右に動かしながら自撮りをしてバンバンアップしていった。
(う~ん目元だけで表情作ってもアピールイマイチな気がする…しかもますくしてるし表情なんてわかりっこないし…)と、不安はあるものの、
(ますくの力ってすごい!もう手放せなくなっちゃった!)
彼女にとってますくは自分のコンプレックスを隠すための”お助けツール”となった。
ますくをしていれば美人に見える、可愛く見える、自慢の目力をさらにアップできるため普段はノーメイクだが、ガッツリ盛ることでフォロワーの心を惹きつけると思った。
(よし!これで目力アピールバッチリ!でも怖がれないかな?)
すると彼女の”想い”が届いたのか、”いいね”やコメントが続々と寄せられた。
「はじめまして。つばっきー。目力強すぎて吸い込まれるくらい素敵です!」
「まつ毛めっちゃ長いけど、自毛?メイクしなくても十分アピールできると思うよ」
「少女漫画のヒロインみたいにキラキラしてて、服装や髪形との相性も素晴らしいです!」
「まぶしいくらいパッチリですね。おまけにまつ毛も長いから、すごく羨ましいです!」
「素敵すぎるお目々ですね!フォローさせていただきます」
「くりっくりで超カワイイ!まるで子犬みたい!」
(怖がられるかと思ってたけど、やってよかった!これで私の人生、バラ色なんだ!)
予想もしなかったたくさんのコメントに椿の興奮は止まらなかった。評判も上々で順調にフォロワーも増え、気がついたら三桁になっていた。
(ますくしているから、すごく目立っているのよね。服装とコーディネートで、ますくの柄や色も変えてみたらもっとよく見られるかも)
さらに、服装に合わせたますくを着け、自撮りをアップしたいった。
(またしてもコメントが!)彼女は嬉しい悲鳴を上げていた。”作戦”は成功したようだ。自分の人生を360度変えてくれたのを実感しているのだ。
「つばっきー、こんにちは。ますます目力に磨きがかかってますね。応援してますよ!」
「目ん玉こぼれ落ちそうでハラハラしてるけど、それだけインパクトがあるからステキですね」
「くっきり二重、まつ毛もびっしり。少女漫画みたいにデカくて、顔面占領されてる感じ」
「あれだけ大きい人は初めて見たわ。私はシジミ目だから羨ましい!」
「おめめくりっくりでカワイイ~まるでおめめがお喋りしてるみたい!」
「こんなデカい眼をした人って今まで見たことがないです!まさか整形や加工ではないですよね?」
椿はコメントを返した。
「こんにちは。コメントありがとうね。整形も加工もしてないです。生まれつきです。子供のころからデカすぎていじめられたくらいですから。でも今ではそれだけが自慢です!」
「そうですか!整形も加工もなしであれだけデカければ両親に感謝しないとね!」
「でも両親は普通だよ。いったい誰に似たのでしょうね(苦笑)」
「天然なのに羨ましいです!」
「エヘヘ…私が誇れる唯一の自慢です!」
(私みたいにデカければ整形や加工疑惑されても不思議じゃないのよね…ホント、誰に似たのやら。でもこのデカ目は自分にとって”オンリーワン”なのよね)
彼女は鏡に映る自分の顔を見つめ、その”デカ目”が改めて存在感の大きさを示していることに気づいた。
(続く)