【「駅」の替え歌】

 

見覚えのある 白い布 

黄昏の駅で 誰かわからず

早い足取り 後ろ姿に

昔愛してた あの人なのね

懐かしくて 一歩手前で

変わり果てた 汚れた身なりに

言葉が とても見つからないわ

あなたがいなくても こうして

元気で暮らしていることを 

さりげなく 伝えたかったのに

 

2年の時が 変えたものは

白い布を着けた 人々の群れ

誰とも 視線を合わさずに

素顔の人と 乗り合わすと

一つ隣の車輌に移り

黙々とスマホ いじりながら

表情変えず 次の駅で降りた

今になって 馬鹿らしくなる

いい加減に 目覚めよと

私だけ そんな考え

 

ラッシュの人波にのまれて

見たくない 顔に布を着け

虚ろな眼差し 心に残る

改札口を出るころには

白い布を外し この街に

かつての日常 よみがえる