(どんな芸名になるかな~)
紀子はワクワクしながら見ていた
【都ふたば】
「どうだね、気に入ってくれたかな?」
「素敵な名前ありがとうございます!」
彼女はすっかり気に入ったようだ
「この名前には、芽が出て二葉になり、蕾となりそして大輪の花を咲かせる。まだまだ成長できる、という意味が込められているんだよ。だから君は大輪の花のような一流スターになってもらいたんだ」
(本名がショボいからな…本名だと売れるわけないし。しかし先生、女優さんみたいって言ってたじゃん!)
「名前負けしないよう、頑張ってくれたまえ」
「はい!ところで、デビュー曲はいつ出すのですか?」
「近々教えるよ。だからといって気を緩めてはダメだ。それまでしっかり練習するんだぞ。決まるまではレッスンはまだまだ続くからな」
「はい。楽しみにしています!」
("都ふたば"か…ちょっと演歌っぽい名前だけど、けっこう気に入っちゃった)
紀子は有馬が名付けてくれた芸名に恥じないよう、デビュー曲を心待ちしながら、雪美らが待つ事務所に戻った
(今日から私、"都ふたば"なんだ!)
「こんにちは~!」
事務所にやってきたのは、紀子の先輩になるアキとエリ
二人は同期ということもあり、まるで双子のように仲がよく、いつも行動をともにしている
「こんにちは。あら、このたび仲間が増えたのよ」
「そうなんだ」
(たしか、こないだのオーディションに来ていたあの老害…いや…)
「紹介しますね。厳しいレッスンを乗り越え、悲願のデビューを果たした白旗紀子改め都ふたばさんよ」
全身ピンクずくめという派手な衣装の紀子は、彼女たちの前に現れ挨拶をした
「はじめまして。白旗紀子改め都ふたばです。BICKSの顔となり、看板を背負うよう頑張りますので、皆さんよろしくね」
(プッ…チンドン屋みたいな格好~BICKSのイメージ下がるわ)
二人は笑いが吹き出しそうになった
(なんかダサい芸名よね~ま、彼女には似合ってるかも。演歌っぽいし)
「こちらこそよろしく…」
「二人ともどうしたの?急にテンション下がっちゃって」
と、雪美が言うと
「い…いや…何でもないです…ただ…」
「気に入らないのなら、言ってごらん」
「あのー、私たちこの人と仲良くなれそうでないです…だって、オーディション受からないって思ってたのに、まさかデビューまでたどり着いたなんて…ましてオバサンなのに…」
「何言ってるの!素直に喜ばなきゃ!いずれはBICKSの看板を背負う存在になるのに」
(あの人じゃ、ムリムリ。BICKSの看板になるのは私たちなんだから!)
二人は紀子にあることをたくらんでるようだ
彼女を事務所から追放する作戦だ
「アキとエリだよね?うちの娘にしたいくらいよ。うちは息子しかいなくてね」
「はい…」
(新人だからって、口の聞き方スゲームカつく。何が"うちの娘"よ。冗談じゃない!自分らの母親よりババアじゃん!)
「じゃ、またね~これからもよろしく~」
紀子は事務所を後にし、自分のアパートに戻った
そして、隣室のユーコに、
「ユーコ、私ついにデビューするのよ!最終審査受かって、しかも私だけ!今日から"都ふたば"になったよ!先生がつけてくれたの」
「Oh,great!wonderful、beautiful!のんちゃんにお似合いよ。おめでとう!」
「ちょ、ちょっと大げさだよ。名前負けしそうだわ」
「ところで、デビュー曲いつ出すの?」
「まだよ。ま、近いうちにレコーディングがあるから」
「すごーい」
「最終審査にまさか私が…だって他の二人すっごく上手だったから、絶対ダメだって思ってたもん。そしたら先生が、"歌は心だ。どんなに上手くても心がないと下手に聴こえる"って」
「なるほどねー。のんちゃんのデビューを祝ってカンパーイ!」
「今晩ここで一夜明かしていい?」
「うん。のんちゃんならOKよ」
(続く)
紀子はワクワクしながら見ていた
【都ふたば】
「どうだね、気に入ってくれたかな?」
「素敵な名前ありがとうございます!」
彼女はすっかり気に入ったようだ
「この名前には、芽が出て二葉になり、蕾となりそして大輪の花を咲かせる。まだまだ成長できる、という意味が込められているんだよ。だから君は大輪の花のような一流スターになってもらいたんだ」
(本名がショボいからな…本名だと売れるわけないし。しかし先生、女優さんみたいって言ってたじゃん!)
「名前負けしないよう、頑張ってくれたまえ」
「はい!ところで、デビュー曲はいつ出すのですか?」
「近々教えるよ。だからといって気を緩めてはダメだ。それまでしっかり練習するんだぞ。決まるまではレッスンはまだまだ続くからな」
「はい。楽しみにしています!」
("都ふたば"か…ちょっと演歌っぽい名前だけど、けっこう気に入っちゃった)
紀子は有馬が名付けてくれた芸名に恥じないよう、デビュー曲を心待ちしながら、雪美らが待つ事務所に戻った
(今日から私、"都ふたば"なんだ!)
「こんにちは~!」
事務所にやってきたのは、紀子の先輩になるアキとエリ
二人は同期ということもあり、まるで双子のように仲がよく、いつも行動をともにしている
「こんにちは。あら、このたび仲間が増えたのよ」
「そうなんだ」
(たしか、こないだのオーディションに来ていたあの老害…いや…)
「紹介しますね。厳しいレッスンを乗り越え、悲願のデビューを果たした白旗紀子改め都ふたばさんよ」
全身ピンクずくめという派手な衣装の紀子は、彼女たちの前に現れ挨拶をした
「はじめまして。白旗紀子改め都ふたばです。BICKSの顔となり、看板を背負うよう頑張りますので、皆さんよろしくね」
(プッ…チンドン屋みたいな格好~BICKSのイメージ下がるわ)
二人は笑いが吹き出しそうになった
(なんかダサい芸名よね~ま、彼女には似合ってるかも。演歌っぽいし)
「こちらこそよろしく…」
「二人ともどうしたの?急にテンション下がっちゃって」
と、雪美が言うと
「い…いや…何でもないです…ただ…」
「気に入らないのなら、言ってごらん」
「あのー、私たちこの人と仲良くなれそうでないです…だって、オーディション受からないって思ってたのに、まさかデビューまでたどり着いたなんて…ましてオバサンなのに…」
「何言ってるの!素直に喜ばなきゃ!いずれはBICKSの看板を背負う存在になるのに」
(あの人じゃ、ムリムリ。BICKSの看板になるのは私たちなんだから!)
二人は紀子にあることをたくらんでるようだ
彼女を事務所から追放する作戦だ
「アキとエリだよね?うちの娘にしたいくらいよ。うちは息子しかいなくてね」
「はい…」
(新人だからって、口の聞き方スゲームカつく。何が"うちの娘"よ。冗談じゃない!自分らの母親よりババアじゃん!)
「じゃ、またね~これからもよろしく~」
紀子は事務所を後にし、自分のアパートに戻った
そして、隣室のユーコに、
「ユーコ、私ついにデビューするのよ!最終審査受かって、しかも私だけ!今日から"都ふたば"になったよ!先生がつけてくれたの」
「Oh,great!wonderful、beautiful!のんちゃんにお似合いよ。おめでとう!」
「ちょ、ちょっと大げさだよ。名前負けしそうだわ」
「ところで、デビュー曲いつ出すの?」
「まだよ。ま、近いうちにレコーディングがあるから」
「すごーい」
「最終審査にまさか私が…だって他の二人すっごく上手だったから、絶対ダメだって思ってたもん。そしたら先生が、"歌は心だ。どんなに上手くても心がないと下手に聴こえる"って」
「なるほどねー。のんちゃんのデビューを祝ってカンパーイ!」
「今晩ここで一夜明かしていい?」
「うん。のんちゃんならOKよ」
(続く)