「いよいよ…いよいよ…私のアイル様とまた運命の出会いが来るなんて…もう胸のドキドキが止まらなくなった~」
そんなピンクを尻目に、リーダー格のピンポンは、
「またゴミが調子こいちゃって、お城の中庭には”真実の湖”があるのよ。あの湖は、いくら美しく姿を変えられていても、ありのままの自分が写る。すなわち、ゴミはゴミのままなのよ。あっはっはっはは…」
(えっ…?晩餐会の後に行った湖?)
「お妃様のルナール様が言ってたわ。あんた、知らなかったの?」
(ということは…アイル様と行った湖には、本当の私の姿が写ってるんだ…)
ピンクは晩餐会の後に行った”真実の湖”は、本当の自分が写る湖である
メリーに美しく変身させられたとはいえ、実際はうす汚く醜いピンクのままなのだ
彼女は、あの湖には二度と行くたくないと思っていた
(またメリーさんに変身してもらわなくちゃ)
すると、メリーがピンクの元にやってきて、
「ピンクさん、どうしたのですか」
「ね、聞いて。またアイル様と会えるの。すご~くドキドキしちゃって」
(野蛮なクソ旦那とは全然ときめかないもの。今までなかったことだわ)
「それはよかったですね。このまま会うのは恥ずかしいですから、わたしが変身させましょう。んころんころ…それっ」
(わあっ…)
「すばらしいです!ピンクさん、これならアイル様も大喜びです!でも、”真実の湖”には顔を覗かないようにしてくださいね」
(”真実の湖”ね…アイル様に見られなくてよかったが…もし見られていれば、私はお城、いや、スイートルランド中の恥さらしにされていたわ。気をつけないと)
「ええ。この間の晩餐会の後、その湖に行ったの。湖を覗いたとたん、”やばい!”って。本当の自分を彼に見られなくてよかったわ」
「それから、言葉遣いには気をつけてくださいね」
「はい。普段の口グセが出ちゃいますから、アイル様に嫌われないようにしますね」
「それでは楽しいひと時を過ごしてください。わたしはいつでもあなたの味方です。もし何かがあったら、わたしに言ってください」
「ありがとう、メリーさん。ところで、あなたはなぜ私の味方なんですか?」
「わたしは姿が醜くても心の美しい人に取りつきます。ですから、ピンクさんは心が綺麗なんです」
「えっ、そうかなぁ…。誰も言われたことなかったのに…」
(つづく)