晩餐会が終わり、二人だけになったととろで、
「それでは、私のおすすめの場所に行きましょう」
アイルはおすすめの場所を案内してくれた
二人は中庭にある湖のほとりに行った
水面はまるで鏡のようにキラキラ美しく輝いていた
「今日は素敵な一日でした。私にとってこの日は一生忘れないでしょう。本当にありがとうございます」
「こちらこそありがとうございます。憧れの王子様いや、アイル様と踊ったりごちそうをいただいたり、夢にも思ってませんでした」
「私はここが一番のお気に入りです。湖を眺めていると落ち着きますね」
「ええ。綺麗な湖ですね。疲れが一気に吹き飛びますね」
湖の水面は澄んで、二人の顔が写しだされた
その瞬間だった
(はっ…!)
ピンクは湖の水面を見ると、"本当の自分"が写っていた
(アイル様に見られたかも…!気が付かなければいいが…)
「ピンクさん、どうしたのですか?急に逃げだして」
「な…何でもありません。少し気分が悪くなって…」
「そうですか。きっと踊り疲れたのかと思います。私の部屋でゆっくり休んでください」
(もし、彼に"本当の自分"を見られたら…)
アイルは、ピンクを自分の部屋に連れていき、ベッドで休ませた
「ありがとうございます、アイル様。おかげで楽になりました。それにしてもベッド、フカフカして気持ちいいですね。私の部屋はうす汚く、灯りすらなく暗いです。布団は一枚しかありません。ベッドにそれを敷いて寝ていますから、ここは天国みたいですね」
「えーっ?!こんな部屋では可哀想です。女中さんの部屋はもっと良くするべきです。それなら監獄以下じゃないですか」
「でも、みんな我慢しているのだから仕方ないです」
(しかし、気になる…さっき湖でたたずんでたとき、ふっと逃げ出したからおかしいとは思っていたが…)
アイルは父上である国王・フンダに、
「女中さんの部屋を立派にしてあげてください。監獄みたいで可哀想です」と、頼んだ
しかし、フンダは、
「女中どもに立派な部屋を与えるとは何事だ。今のままで十分だ」と、アイルの頼みを断った
「それでは、私は自分の部屋に戻ります。私を待っている方がいますから」
彼はピンクを休ませている自分の部屋に戻った
「アイル様、どこに行ってたの?」
「父上に頼みごとがあって…」
「そうなんですか。私はそろそろ自分の部屋に戻らないといけないので」
「また一緒に踊りたいですね。ありがとうございました」
「こちらこそありがとうございました。またお誘いをお願いします」
と、言い残してピンクは自分の部屋に戻った
部屋に戻ると、
(寒い…灯りもロウソクもない…同じお城の中にいながらこんなに違うとは…)
まさに、"天国と地獄"はこのことである
同じお城の敷地内だというのに、この差はなんなのだろう
(他の女中たちだって我慢してるんだ…)
すると、メリーがピンクの元にやってきて、
「舞踏会楽しかったですか?」
「ええ。アイル様と踊ったりごちそうを食べたり、とても素晴らしい一日でした」
「それはよかったですね。でも、自分の部屋に戻ったらいつまでもその姿ではいられませんから、元に戻しましょう。んころんころ…それっ」
(わぁっ、元に戻っちゃった)
ピンクは、お姫様姿から一転して、普段の女中に戻った
「こんなうす汚い部屋にはもったいないです」と、言ってメリーはこの場を去った
(つづく)