女中たちは、妖精に魔法をかけられ、平穏になったのもつかの間、またしても内乱が勃発した
「ちょっと、あんただけ目立ってるね。さっきまではゴミだったのに、なんで他の女中よりも綺麗なの?」
女中たちはピンクに嫉妬するあまり、なぜ彼女だけとびきり美しくなっているのか納得いかなかった
女中というより、お姫様みたいで違和感があるのだ
「なんか女中って感じじゃないよね?」
と、その一人、ジャムが言った
「そうよね。アイル様に会っても恥ずかしくないし。あ、そういえば今度舞踏会があるんだって?憧れのアイル様と踊れるのは女中の中からたった一人だけだって」
"アイル"とは、スイートルランドの王子のことだ
(えっ?たった一人?)
「どうやって決めるの?くじ引き?」
「ふーん、15人のうちのたった一人?いやーーーっ!!王子様と踊ってみたい!キャー!」
彼女たちは、ドキドキしながら一斉にくじを引いた
(どうか、当たりますように…)
「それーーーっ!!」
15人のうちの一人…いったい誰が王子様と踊れるのか…
すると、
「わぁっ!!当たったぁ~」
当たりくじを引いたのは、なんとピンクだった
「憧れの王子様と踊れるなんて夢みたい!」
とはいっても、夢の中ではあるのだが
他の女中たちは、ピンクを羨ましがっているどころか、彼女を妬み、集中"口撃"した
「まさか、あんなゴミが当たりくじを引いただなんて。あの人にはアイル様の指一本触れさせたくないわ」
「ゴミがアイル様と踊っているところ
…想像してみて。プッ、絵にもならないわ」
「新入りに舞踏会に出させる権利はないのよ!」
「なんか納得いかないわ!もう一回やりましょうよ!」
一方、朝日奈家では━
良枝が"スイートルランド"に旅立って数日経つが、
「どこ行ってるんだ、あいつ。家出するにせよ、手紙くらい置いとけばいいのによ。ま、いいか。あいついなくなってもせいせいするぜ」と、唯助はいたって平然としている
自分の女房がいなくなっても困っていないようだ
むしろ、自由になれた気がしてホッとしていた
「あんな役立たずのカスと一緒になった俺は何てバカなんだ。今ごろあいつは羽伸ばしてバカンス楽しんでるだろうよ。彼氏でもできたのかよ。まさか、あいつに男できる要素なんてありゃしないのに、俺だって…」
もっとも、仲の悪い夫婦だけに、相方がいなくなった時の解放感を味わうのは最高かもしれない
「一日帰ってこなけりゃ心配だが、二日三日と帰ってこなくなったら、どうってことないさ。酒も美味いぜ」
唯助は良枝がいなくなったことで、大好きなお酒が美味しく感じられるようになった
まさに、至福の時だ
だか、愛犬・マロンは、飼い主の帰りを待っているのか、キャンキャン鳴きっぱなしで落ち着いていない
「おいおい、マロン、落ち着けよ。俺が怖いからって、キャンキャンうるさいんだよ。お前もあいつというより、に出ていきゃよかったよ」
すると、マロンは、唯助の右腕をガブッと噛んだ
「ギャーーッ、痛い!!」
普段から良枝を威圧的で見下した態度で接していた彼も、さすがに犬には逆らえないようだ
(動物も以心伝心するんだな…)
「ふぅー、痛かった。犬をナメるとこうなるな」
(つづく)
「ちょっと、あんただけ目立ってるね。さっきまではゴミだったのに、なんで他の女中よりも綺麗なの?」
女中たちはピンクに嫉妬するあまり、なぜ彼女だけとびきり美しくなっているのか納得いかなかった
女中というより、お姫様みたいで違和感があるのだ
「なんか女中って感じじゃないよね?」
と、その一人、ジャムが言った
「そうよね。アイル様に会っても恥ずかしくないし。あ、そういえば今度舞踏会があるんだって?憧れのアイル様と踊れるのは女中の中からたった一人だけだって」
"アイル"とは、スイートルランドの王子のことだ
(えっ?たった一人?)
「どうやって決めるの?くじ引き?」
「ふーん、15人のうちのたった一人?いやーーーっ!!王子様と踊ってみたい!キャー!」
彼女たちは、ドキドキしながら一斉にくじを引いた
(どうか、当たりますように…)
「それーーーっ!!」
15人のうちの一人…いったい誰が王子様と踊れるのか…
すると、
「わぁっ!!当たったぁ~」
当たりくじを引いたのは、なんとピンクだった
「憧れの王子様と踊れるなんて夢みたい!」
とはいっても、夢の中ではあるのだが
他の女中たちは、ピンクを羨ましがっているどころか、彼女を妬み、集中"口撃"した
「まさか、あんなゴミが当たりくじを引いただなんて。あの人にはアイル様の指一本触れさせたくないわ」
「ゴミがアイル様と踊っているところ
…想像してみて。プッ、絵にもならないわ」
「新入りに舞踏会に出させる権利はないのよ!」
「なんか納得いかないわ!もう一回やりましょうよ!」
一方、朝日奈家では━
良枝が"スイートルランド"に旅立って数日経つが、
「どこ行ってるんだ、あいつ。家出するにせよ、手紙くらい置いとけばいいのによ。ま、いいか。あいついなくなってもせいせいするぜ」と、唯助はいたって平然としている
自分の女房がいなくなっても困っていないようだ
むしろ、自由になれた気がしてホッとしていた
「あんな役立たずのカスと一緒になった俺は何てバカなんだ。今ごろあいつは羽伸ばしてバカンス楽しんでるだろうよ。彼氏でもできたのかよ。まさか、あいつに男できる要素なんてありゃしないのに、俺だって…」
もっとも、仲の悪い夫婦だけに、相方がいなくなった時の解放感を味わうのは最高かもしれない
「一日帰ってこなけりゃ心配だが、二日三日と帰ってこなくなったら、どうってことないさ。酒も美味いぜ」
唯助は良枝がいなくなったことで、大好きなお酒が美味しく感じられるようになった
まさに、至福の時だ
だか、愛犬・マロンは、飼い主の帰りを待っているのか、キャンキャン鳴きっぱなしで落ち着いていない
「おいおい、マロン、落ち着けよ。俺が怖いからって、キャンキャンうるさいんだよ。お前もあいつというより、に出ていきゃよかったよ」
すると、マロンは、唯助の右腕をガブッと噛んだ
「ギャーーッ、痛い!!」
普段から良枝を威圧的で見下した態度で接していた彼も、さすがに犬には逆らえないようだ
(動物も以心伝心するんだな…)
「ふぅー、痛かった。犬をナメるとこうなるな」
(つづく)