※この物語はフィクションです


注)某人気ドラマのパクリではありません


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『えーっと、ここが高松さん家だっけ?』


国本婦美子―49歳、5児の母


子供たちに手が離れ、現在は工務店の経営をしている夫・奈須夫と二人暮らしだ


婦美子は家政婦である


しかし、なかなか仕事が来ず、自宅の畑で野菜などを作ったり、夫の手伝いをしている


また、奈須夫も不景気のせいか、経営難で赤字続きである


家政婦というのは紹介所で、登録をして、派遣先が決まれば、そこで家事などの仕事をする


彼女は以前ホームヘルパーをしていたため、それと同じかと思っている


『こんにちは~高松さんですか?』婦美子の明るくはずんだ声が響く


(にぎやかだな…子だくさんみたい)


学校が休みなのか、家の中からワイワイにぎやかな子供たちの声が聞こえてくる


(それにしても、立派な家…お金持ちなんだな…)


今回、家政婦として働くことになった高松家―


半年前に念願のマイホームを建てたばかりだ


家族は、父・母・4人の子供の6人


父・幸一は公務員で単身赴任中


母・由実は近所の食品工場でフルタイムで働いている


長女・葉菜(はな)は中学2年、来年受験をひかえ勉強に大忙しである


長男・草多(そうた)は小学5年


二男・咲野(さくや)は小学3年


二女・実菜(みな)は保育園に通っている


『こんにちは~ひまわり家政婦紹介所から来ました国本です』


(あれ?誰も出てこない…)すると、


『あんた、誰?おばちゃんなんて呼んでないよ』


『パパは居ないの。だからママが帰ってから来て』


『何しに来たの?』


子供たちは、婦美子を門前払いしようとしたが、


『私はあなたたちの母親として来たの』


『えぇーっ?!ママなら居るよ』


『だって、お母さんお仕事で帰宅遅いんでしょ?私を家政婦として雇ったのはお母さんですよ。それに、あなたたちにもまだ手がかかるでしょ?』


『あたしたちはちゃんと留守番できるから大丈夫よ』


『へぇーっ、ちゃんと弟たちの面倒見てるんだ。さすがお姉ちゃん!お母さんは何時ごろ帰ってくるの?』


『今日残業あるって言ってたから8時頃かな』


『夕飯は自分たちで作るの?』


『カップめんやレンジでチンならできるけど』


『そんなものばかりじゃ、栄養偏るわよ。可哀想だわ。お父さんは?』


『パパは出張?で居ないの。帰ってくるのは3か月後かな』


『子供たちだけって、みんな仲いいの?』


『うん。たまにスゴイ喧嘩するけど』


婦美子は子供たちを心配して、


『じゃ、私がごはん作ってあげる』


『えーっ?おばちゃん料理作れるの?』


『失礼ね。作れないようじゃ、家政婦なんて務まらないわよ』


婦美子は家に上がりこみ、冷蔵庫に何があるかを見て、夕飯の準備に取りかかった


『あれ?冷蔵庫何もない…お母さん、料理作らないんだ。ちょっと買い物に行ってくるね』


子供たちは不安そう


(おばちゃん、そういいながら何もできなかったりして…)


婦美子は高松家の子供たちについて、


(なんか、自分の子育て中とかぶっちゃうな。こうなったら、甘やかずにビシバシしつけなくては!)と思った



そして、帰宅―


『ただいま~』


婦美子は夕食の材料をたくさん買ってきた


だが、買ってきたのは、ほか弁や出来あいの惣菜ばかりだった


『おばちゃん、ごはん作ってくれるんじゃなかったの?』


『おっ、はっとまっと!うまそうじゃん、ボク、これがいい』


『おれはこれ』


男の子2人はほか弁を選んだ


『ごめんね~お腹すいてたでしょ?だって作ってたらみんな待ってくれないでしょ?』


葉菜はがっかりしていた


『ううん、おばちゃんの作った料理食べたかったのに』


末っ子の実菜は保育園に預けているが、この日は休ませた


『ミナちゃん保育園にいってるんだ。送り迎え大変だなぁ。私も5人子供いるから、そりゃぁ大変だったよ』


『へぇーっ、すげーや』


『お腹すいてたんでしょ?さ、みんな食べて』


『いただきま~す』




(つづく)