夕子の自宅にて―


(みっちゃんはどうも怪しいと思う…きっと彼女ができたんじゃ…そうでないと、この間のすっぽかしもなかったのだろうと…絶対におかしい)

幹にはほかに彼女ができたのかと、気になっているのだ

”別の女ができたんじゃない”というメールを信じたくない

(ひょっとして、アサミかも…)

妹と関係を持っているのなら、と不安になってくる

(そういえば、アサミちゃん、高校やめて、何のバイトしてるんだっけ?一人暮らしだし、みっちゃん兄貴だから、心配するのもわからないことはないが…)

妹を気遣うのはわかるけど、最悪関係を持つとなれば、夕子は妹の存在は知ってても、まだ一度も会ったことはおろか、見たこともない


”夕子、このところ元気なさそう

まさか、恋の病?

なーんてね(笑)

幹くんの妹、どこで働いてるか教えてほしい?”

親友のるいかからのメールだった


(えっ?あの娘が…?)

”彼女ね、キャバクラでバイトしてるの”

(う…うそでしょ…?アサミちゃん、まだ17でしょ?未成年なのに、キャバクラなんて)

”それがね、自分の年齢を19歳にして仕事してるんだもの。

まだオーナーにはバレてないけど、もしそうなったら店はおしまいだよね”


夕子は言葉に表せないほどショックだった

(アサミちゃんキャバ嬢だなんて…そりゃ、みっちゃんも、何の魅力もないあたしより、彼女には”大人の魅力”があるものね…まだ子供なのに…)


夕子は幹にメールを送った

”るいかから聞いたんだけど、

アサミちゃん、キャバ嬢なんだってね

未成年なのに、働かせていいの?

もし、バレたらどうするの?”


幹はアサミが夜もバイトしているのは知っているが、

コンビニでなく、キャバクラとは…

さすがに動揺は隠せなかった

(どうりであんな派手な格好するんだ。おかしいと思ったよ)


”本当かい?あいつまだ17だぞ?

全身ギラギラで、胸がガバっと開いたドレス着ていくんだもの

コンビニでバイトするのに、

こんな格好するわけないだろ?

もし、年齢バレたら、あいつだけでなく

オーナー捕まっちゃうからな”


”あたし、アサミちゃんのアパートに行ってみようかな?

彼女を観察したいの”


そうとなれば、作戦開始!

夕子はアサミが住んでいるアパートへ行ってみた

だが、カギがかかっていたため、外出中だった

(バイトが夜にあるから、一回帰ってくるんだろうね)

夕子は彼女が帰宅するのを待ちながら

そこらへんをウロウロしていた

”なかなか帰ってこないな~”と思ってたところ、

一人の女の子がアパート向こうの横断歩道を歩いていた


女の子は華奢な体にひときわ目立つバスト、それを強調する服を着、腰まである長い茶髪、いかにもお水系と思わせるが、これが普段着なのだろう

(まさか、あの子がアサミちゃん?みっちゃんの妹?)

そして、自分の住むアパートに向かった

(やっぱりアサミちゃんだ!)


夕子は、彼女が部屋に入ると、アパート裏で待ち伏せをした

わずかなドアの隙間から、部屋を覗いてみると、かすかに人の影が

(誰か居る…声も聞こえる…)

すると、

『あら、お兄ちゃん、いつの間に居てたの?』

(えーっ?!お兄ちゃん?)

『おかえり。これからバイトだろ?』

『ううん。今日はお休みなんだ』

(それにしても、お兄ちゃん、気持ち悪いな…ストーカーみたい)

『ちょっと聞くけど、お前キャバクラで働いてるのか?』

『てなわけないでしょ。18にならないとできないもの。だって、あたしまだ17だよ』

『俺の友達の彼女からメールが来たんだ。そしたら”幹くんの妹、キャバ嬢なんでしょ”って』

”友達の彼女”というのは、夕子のことで、そういっておかないと、幹に彼女が居ることがわかってしまうからだ

『でも、彼女、どこからそういう話を聞いたの?』

『ああ、そこまでは言ってなかったな。”私、彼女の友達に蘭。でキャバ嬢やってたけど、辞めてから、新人のキャバ嬢が入ってきたの。その娘、すげーグラマーなんだって”たぶんお前のことかもな。”客はこりゃ、店が繁盛するぞーって、口々に言っていたし。あれからガラリと雰囲気が変わったみたい。いまや指名№1キャバ嬢だよ”って』

『ま、まさか~、あたしがキャバ嬢なんて勤まるわけないし、接客とか苦手だもの』

『アサミ、本当のこと言ってくれ』

『え?』

『お前がキャバクラでバイトしてることさ』

すると、幹はいきなり、アサミに抱きつき、服を脱がそうとしたが、彼女は激しく抵抗した

(この興奮は抑えることができない…)


アサミはなぜ自分の年齢をごまかしてまでキャバ嬢をしたかったのか

彼女は自分の特徴を生かす仕事がないか考えたところ、

自分の特徴=グラマラスボディ

なので、キャバ嬢になろうと決めた

だが、彼女はまだ17歳で未成年のため、働けない

そこで思いついたのが、履歴書に自分の生年月日を2歳上げて書いたのだ


やがてキャバ嬢として働き始め、たちまち人気者に

そのグラマラスボディから、どう見ても実年齢より上に見られるため、

周りの客からは

”えーっ、20代に見えるよ”と思われている

だから、バレずにやっていけるのだろうと…



(つづく)