『ユミコ、家のことするのが主婦の役目だろ?なぜそれができないんだ』

『何かと言ったら、タカヨ、タカヨって。そんなに彼女が良ければ一緒になればいいのに!いまだ元カノに未練あるなんて最低よ!!』

私はリョウに二度とタカヨに会わさないようにと、彼女のメルアドを教えてもらうことにした


私は、彼女あてにメールを送った

”どうか家に来ないでください。会いに来ないでください。迷惑です。貴女は最低な女です”

しばらくして、返信が来た

”リョウちゃんは私と会うのを楽しみにしてるんです。美味しい料理、お酒、それが彼にとって、何よりの幸せな時間なんです。なぜそれがいけないのですか?”

(しつこい、というか、手ごわいな…)


私はどうすれば二度と彼女に会えなくなるか考えながら

冷蔵庫の要らないものを片づけていた

(すっきりした…)

『何してるんだ。もういい加減に寝ろ』

『できる時にやっておかないと気が済まないもの』

『もう俺は寝る』

『おやすみ』

(やっぱタカヨが居ないとダメみたい…それにしても、自分のダメっぷり、なんて情けない。バカバカ~~~)

私は生きていても家族に迷惑かけるから、どこかへ消えてしまいたい

ずっとそんなことばかり思ってた


そして、あくる朝ー

『しまった!寝坊してしまった!』

私は急いで朝食の準備にとりかかるが、

リョウもまだ寝ていたから、あわてなくてもよかった


彼はリストラで職失ってからずっと家に居てTV見てはゴロゴロしてて、仕事を探そうとしない

そんな彼を見てますます嫌気がさしてきた

彼は自分の理想が叶うことができないのなら、いっそのことタカヨと暮らせばいいと、この家から出て行ってほしいと願っている

私の頭の中は、あの”二文字”しか思い浮かばなくなっていた

(彼女には”会いに来ないで”ってメール送ったけど、なんか矛盾してるような…)

いつまでも私と居ても気の毒としか思えないし、笑いのない家庭だからお互い息詰まるもの

2人の間の距離はひろがる一方で、縮めることは不可能かも…


リョウは時々夕飯の材料を買ってくることがある

自分は作らないくせに

たまに私が”焼肉バイキングに行こうよ~”と言っても

”家事をさぼる気か!”といわれて頭にくる

さぼる気なんてないのに

どこまで”手料理”にこだわるんだろ

きっと、タカヨのせいかも

彼女、今もそうだけど、昔から家族の食事や弁当を作ってくれたりマメにしてくれた


リョウは、私に彼女のようになってもらいたいのだろう


タカヨは4人姉妹の末っ子

父親は彼女が小学生のころに他界、

3人の姉はすでに嫁いでいる

高校1年の時、デキてしまい、学校を辞めた

その後、バイトなどをしながら、自分の子供を育ててきた

夫とは別れ、交通事故で亡くなっていた

残された彼女と息子は実家に戻り、

息子は社会人となって家を離れ、母親と2人暮らしだ


”マンデービーチ”のコックとして働くようになった彼女は

地元でも評判の店になっている

彼女の作る料理で常連客も多い


リョウの携帯にメールが届いた

タカヨからだった


”おはよう~(^O^)/昨夜は楽しかったよ(^_^)v

今日お店臨時休業なっちゃった(*^o^*)♪

ところで、リョウちゃん、仕事探し中なんでしょ?

ユミコさんの稼ぎだけじゃやっていけないものね(_ _。)

所詮小遣い程度しかならないのにね(ノ_-。)

可哀想にしょぼん

(失業保険ももらえなくなったし、こりゃヤバいな…)


”じゃ、私のお店で働いてみない?バイトの子今週で辞めちゃうんだ。

忙しいし、人手不足だったからちょうどよかった(≧▽≦)”

(え…マジかよ…)

”じゃ、返事ちょうだいねラブラブラブラブ



(つづく)