アミティ「えい!えい!えーい!!」


Dシェゾ「ふん、その程度か…どりゃあー!!」


アミティ「わ!!うわーん!!また負けちゃった…うう〜!中々Dシェゾに勝てないよ…」


Dシェゾ「いつも言ってるだろ?ゲームで俺に勝つにはかなりの練習が必要だって」


アミティ「これでも頑張って練習してるのに…」


ラフィーナ「これでDシェゾさん100連勝目ですわね!」


シグ「Dシェゾ、すごい」


まぐろ「今度は僕ともやってみる?僕もゲームは大得意だから☆」


Dシェゾ「ああ…負けないからな」


まぐろ「じゃあ僕と勝負しようか☆」


クルーク「次は僕!僕だって負けないぞ!」


シェゾ「お前らいつまでやってんだよ…今日ほぼ1日ずっとそれじゃねえか…」


りんご「そういえば!皆さんにお渡ししたいのがあるんでした!」


アミティ「え?なになに?」


りんご「はい!これです!」


ラフィーナ「まあ…ボールペンかしら?」


アミティ「わーい!新しいボールペン!ありがとう!学校で使うね!」


りんご「アミティとDシェゾは赤、ラフィーナはピンク、シグとまぐろくんは水色、クルークとシェゾさんは紫、リデルは緑です!ぜひ学校で使ってください!」


アミティ「ありがとう!使うねー!」


りんご「ふふふふ…実はこのボールペン、ただのボールペンじゃないんです!」


アミティ「え?そうなの?」


クルーク「一体どのような仕掛けがあるんだい…?」


りんご「これはボールペン型トランシーバです!!」


ラフィーナ「ボールペン型のトランシーバ?」


りんご「はい!もちろん普通のボールペンの機能もありますが、このボールペン…実はボールペン型のトランシーバなんです!通話ができます!」


アミティ「なにそれすごーい!!」


りんご「特に魔導学校組の事を考えたんです!学校は携帯の持ち込み禁止じゃないですか、だからそんな携帯が使えない学校の時間にもしものことがあったら大変なのでそーゆう時にこのボールペン型のトランシーバでみんなで連絡を取り合えたらいいなと思って部活で作ったんです!」


まぐろ「僕も一緒に作ったんだよ☆」


クルーク「なるほど…まあ確かに学校には携帯持っていっちゃダメだからね…」


シェゾ「中々考えるな…」


Dシェゾ「でもそーゆう事が起こる前提でそんな物を作るのもどうなんだ…?」


クルーク「まあ、僕らの周りは何故か事件がよく起こるから…」


りんご「これで学校に行っている間でも連絡が取れます!何かあった時のために!」


アミティ「じゃあ何かあった時はこのボールペンで連絡だね!」


りんご「はい!」


クルーク「そういえば事件と言えば…昨日また近くで強盗殺人事件が起こったらしいよね」


シェゾ「あ、ああ…ル・エスカルゴっていうフランス料理店のオーナーが殺害された事件だろ?」


Dシェゾ「なんだ…?その、エスカルゴって…?」


シェゾ「エスカルゴって言うのはフランス料理に使う食用のカタツムリの事だ」


Dシェゾ「カタツムリって食えるのか?もしかして…カタツムリ丼とか…」


アミティ「カタツムリ丼…」


Dシェゾ「うわ…俺なんか気持ち悪くなってきた…」


アミティ「あたしも…」


シェゾ「何想像してんだよ…」


クルーク「それで?詳しい話何か聞いてるのかい?」


シェゾ「ああ…俺もその事件が気になって昨日知り合いの警部に連絡したんだ、被害者は昼近くまで眠っていて鍵をこじ開けて入ってきた強盗と鉢合わせしたそうなんだ」


ラフィーナ「それじゃあ、強盗も留守だと思って忍び込んだってことかしら」


シェゾ「そうらしい…被害者は手足を縛られた上、ナイフで刺されている…恐らく犯人は金の在処を聞き出し金を全て奪って出ていく直前に被害者を殺害したんだ」


ラフィーナ「殺害した理由は顔を見られたからってとこかしら…?」


シェゾ「多分な…」


アミティ「ひええ…怖いね…」


リデル「すみません…どなたかのど飴持っていませんか…?」


Dシェゾ「ん?どうしたリデル、喉が痛いのか?」


アミティ「そういえばリデル、声も少し変だね…」


りんご「リデル、ちょっと口を開けてみてください」


リデル「はい…あー…」


りんご「扁桃腺がだいぶ腫れていますね…熱もあるみたいです」


ラフィーナ「風邪かしら…?」


アミティ「リデル、今日はもう帰った方がいいよ…あたし達も帰るから」


シェゾ「そうだな…家でゆっくり休め」


リデル「はい…ありがとうございます…」




次の日


アコール「おはようございます、今日はリデルさんが風邪でおやすみです」


アミティ「やっぱり…」


クルーク「昨日はだいぶ具合が悪そうだったからね…」


ラフィーナ「大丈夫かしら…」


シグ「しんぱい」




リデルママ「それじゃあリデルちゃん、お母さん出かけてくるわね…お昼までには帰るから大人しく寝てるのよ」


リデル「はい…ごほ、ごほ…」


リデルママ「大丈夫、喉の腫れが引けばすぐに喋れるようになるわよ、じゃあね」


リデル「はい…」




1時間後


ピンポーン


リデル「ん…?はっ!きっとお母さんです…!」


???「ふっ…この金具で鍵をこじ開けて…」




リデル「お母さん、おかえりなさ…」


ガチャガチャ


リデル「…!?違う…お母さんじゃない…お母さんなら、チャイムを鳴らしたりしないはずです…!」


ガチャ


リデル「はっ…!」




強盗「ふっ、留守みたいだな…」




リデル「とりあえずここに隠れたけど…どうしましょう…」




強盗「ここはガキの部屋か…ん?クローゼットから服の裾がはみ出てるな…いい子だから出ておいでよ、何もしないよ…?」


ガチャ


強盗「ちっ…ただの服かよ…」




リデル「ベットの下に隠れて助かったけど…きっと昨日シェゾさん達が話してた強盗です…見つかったらきっと私もエスカルゴのオーナーさんみたいに…」




アミティ「今日学校が終わったらみんなでリデルのお見舞いに行こうよ!」


シグ「さんせい」


ラフィーナ「でもかなり具合が悪そうでしたからね…うつったら大変じゃなくて?」


ピーピー


クルーク「ん?なんだ?この音」


ラフィーナ「このボールペン型トランシーバからだわ」


アミティ「きっとリデルだよ!鍵盤ハーモニカを弾いてるんだよ」


クルーク「リデルかい?」


目覚まし時計「今日は5日、午前10時30分です」


クルーク「ん?」


目覚まし時計「今日は5日、午前10時30分です」


ラフィーナ「この声は…」


アミティ「喋る目覚まし時計だ!ボタンを押すと今日の日付と時間を言って教えてくれるんだよね!」


ラフィーナ「今はそんなものがあるのね…」


アミティ「けどリデル、なんで自分で答えないんだろうね…」


ラフィーナ「声が出ないんじゃないかしら?」


クルーク「もしもし、リデル?もしかして声が出ないのか?」


リデル「…」


クルーク「イエスなら1回、ノーなら2回ボールペンを叩いて!」


コン


アミティ「1回…イエスだね!」


ラフィーナ「やっぱ声が出ないのね…」


アミティ「きっと退屈だからあたし達の声が聞きたくなったんだよ!」


シグ「それじゃあ励ましてあげよう」


クルーク「ちょっと待って!」


アミティ「え?」


クルーク「どうも引っかかる…返事の代わりに時計の声を使ったのは分かるけど、さっきの時計5分遅れてた…第1、今日は5日じゃないし…」


アミティ「そ、それは…」


クルーク「リデル、僕たちに何か伝えたいことがあるんじゃ…」


ラフィーナ「そうなの…?」


クルーク「リデル、何か困ったことでも起きたのかい?」


リデル「…」


アミティ「リデル、イエスなら1回、ノーなら2回ボールペンを叩いて」


コンコン


クルーク「え?」


アミティ「ノーだ!やっぱり退屈だから連絡してきただけだよ!」


ラフィーナ「授業が始まるからお昼休みにまた連絡しますわね」


キンコンカンコン


アミティ「あ!大変!授業が始まっちゃう!」


クルーク「…」




強盗「ガキのくせにシャレたもん持ってるな…え??」


リデル「はっ…」


強盗「ふっふふふふ」




シェゾ「クルークか…どうした?」


クルーク「ちょっと気になる事があるんだ、直接話し合いたいから今から学校に来て欲しい」


シェゾ「学校に…?分かった」


Dシェゾ「気になることってなんだろうな…?」




クルーク「忙しいとこ急に呼び出して悪いね…」


シェゾ「別に構わんが…気になる事ってなんなんだ?」


クルーク「実はリデルが…」


シェゾ「なるほど…リデルがそんな事を…」


クルーク「声が出ないから時計の声で返事したのは分かるんだけど、日付と時間が違っててそれがなんなんだろうって思って…1人じゃ分からないから君たちとも相談したくて呼んだんだ」


シェゾ「なるほど、そういう事だったのか」


Dシェゾ「5日10時半…確かに今日は5日じゃないな」


ラフィーナ「そういえばリデルさん、最初に鍵盤ハーモニカで何か弾いてましたわよね…」


Dシェゾ「鍵盤ハーモニカ?」


シェゾ「一体何を弾いていたんだ?」


ラフィーナ「それが…でもあのメロディ、どっかで聞いた事あるのよね…」


アミティ「あたしもどっかで聞いたことある気がするんだけど、思い出せないな…」


クルーク「うん…僕も実は音楽はちょっと苦手で…」


ラフィーナ「あれ確か、ミミレドレ…」


シェゾ「でも、どうして日付と時間が間違えていたんだ…?」


Dシェゾ「5日…10時半…」




男の子「ママ!幼稚園で覚えたおうた歌うね!!」


ママ「ほんと!りくちゃんのおうた聞けるの嬉しい!」


男の子「でーんでんむーしむしかーたつーむーり!!」


ママ「まあ!りくちゃんおうた上手!!凄いわね!」


男の子「えへへへー!」




シェゾ「あれは…カタツムリ…」


ラフィーナ「…!!カタツムリよ!!リデルさん、カタツムリって伝えたかったんだわ!」


クルーク「…!!そうか!!カタツムリ!!」


アミティ「あ〜!そう言われてみればそうかも!!リデルはあの時、鍵盤ハーモニカでカタツムリを弾いていたんだ!」


Dシェゾ「カタツムリ…ってことはまさか…!!」


クルーク「シェゾ!警察に通報して!!リデルの命が危ない!!」


シェゾ「ああ…分かった!」


クルーク「早くリデルの家に行かないと…!!」


Dシェゾ「俺も一緒に行く!!」




クルーク「なんでもっと早く気づかなかったんだ…!!あのメロディからカタツムリ…つまり、ル・エスカルゴ!日付と時間から強盗犯って僕たちに伝えようとしたんだ!!」


Dシェゾ「なるほど…5日10時30分…言葉にするとごとうはん…つまり強盗犯ってわけか!」


クルーク「きっとあの時だ…!リデルが強盗に捕まったのはボールペンを2回叩いた時…!」


Dシェゾ「無事でいてくれ…リデル!!」




アコール「事情は分かりました、皆さん今日は学校は終わりにします!集団下校で速やかにおうちに帰ってください!」


アミティ「これはあたしもリデルを助けに行かないと…!!」


シェゾ「おいダメだ!!危険すぎるから大人しく家に…」


ラフィーナ「はあ…全く…」




リデル「…」


強盗犯「ちっ…全部で75000円かよ…そんなに金ねえじゃねえかよ…さてと、そろそろずらかるとするか…」


リデル「…!!」


強盗犯「ふっふっふ…さて、こいつを…」


Dシェゾ「そこまでだ!!」


強盗犯「なっ!?」


クルーク「お前は強盗だな!!」


リデル「(Dシェゾさん…!クルークさん…!)」


Dシェゾ「俺たちの大切な仲間にこんなことして…絶対に許さない!!くらえ!マッドシャドウ!!」


強盗犯「うわあー!!!」


クルーク「リデルー!!」


Dシェゾ「大丈夫か!?」


リデル「…!!」


Dシェゾ「とりあえず口元のテープを取って…」


リデル「Dシェゾさん…クルークさん…ありがとうございます…すごく怖かったです…」


クルーク「リデル!よく頑張った!メッセージも伝えてくれてありがとう」


Dシェゾ「もう大丈夫だ、今解いてやる…」


リデル「はい…はっ!?」


強盗犯「…」


Dシェゾ「はっ…!?」


クルーク「お前…まだ…!!」


強盗犯「このガキ共…よくやってくれたな…」


Dシェゾ「くっ…!ヘルメット越しじゃダメか…!」


強盗犯「タダじゃ済まさねえ…!」


Dシェゾ「…!」


クルーク「くっ…!」


強盗犯「あの世に…!!」


アミティ「そこまでだよ!!」


Dシェゾ「はっ!」


リデル「…!!」


強盗犯「なっ!」


アミティ「あたしの友達にこれ以上手出しさせないよ!!」


強盗犯「なんだお前!!」


Dシェゾ「おい!逃げろアミティ!!」


強盗犯「大人を舐めてんじゃねえ!!」


ラフィーナ「そっちこそ子供を舐めんじゃねえ!ですわ!!はあ!」


ブシャー!!


強盗犯「うわ!?なんだこれ!!消火器か!?」


シェゾ「喰らえ!アレイアードスペシャル!!」


シグ「リデルやDシェゾやメガネ襲った、許さない、ハイドレンジア!!」


強盗犯「うわあー!?」


アミティ「やったー!!」


ラフィーナ「やりましたわね!正義は勝つ!!おーっほほほ!!これでまた悪を制裁出来ましたわ!」


リデル「凄いです…」


クルーク「はあ…君たちねえ…」


アミティ「やったー!あたし達のお手柄だよ!」


ラフィーナ「強盗犯確保ですわね!!」


シェゾ「全く、とか言って呆れてたくせに…ラフィーナお前が1番乗り気じゃねえか…」


ラフィーナ「私たちの大勝利!!ですわ!!」




数日後


アミティ「風邪が治ってよかったね!リデル!」


リデル「はい…声も元に戻ったんです」


ラフィーナ「でもあの犯人…例の強盗殺人犯とは別人だった事には驚きましたわね」


Dシェゾ「ああ…殺人犯の方は横浜で捕まったらしい」


シェゾ「警察の話だと、リデルの家に入った犯人は別にリデルに危害を加えるつもりはなかったらしい…顔を見られたと言っても子供だから証言能力はないと思ってたみたいだ」


Dシェゾ「でも結局は俺やクルークを襲ったんだから捕まえて正解だ」


ラフィーナ「そうですわ!皆さん無事でしたしちゃんと悪い人を捕まえる事が出来たんですから…私達大手柄ですわよ!!」


アミティ「ね!あたし達すごいよね!!」


シェゾ「はあ…お前らな…」


アミティ「そうと決まればDシェゾ!またゲームしよう!!」


シェゾ「そうと決まればってなんだよ!?」


Dシェゾ「ああ…望む所だ」


シェゾ「いや、やるんかい!!」


アミティ「ふふふ〜知ってるんだよ…Dシェゾ!このゲームの続編、買ってたんでしょ!」


Dシェゾ「ああ…このゲームすごく面白くてな…つい買っちまったんだ」


アミティ「うんうん!分かる分かる!!すっごくわかるよ!!」


シェゾ「前作の方でもDシェゾに勝てないくせにまあよく続編の方に興味津々なもんだ…」


ラフィーナ「ほんとですわよね…」


リデル「あの…私もやってみたいです…」


アミティ「もちろん!リデルも一緒にやろう!!」


リデル「はい…!」


アミティ「今日こそDシェゾに勝ってみせる!」


Dシェゾ「1の方で勝てないくせに2の方で勝てると思ってるのか…?」


アミティ「絶対勝つもん!勝ってみせる!!」


リデル「私も…負けませんよ」


アミティ「うん!勝負だよ!!」


シグ「やりたーい」


アミティ「シグもやる?いいよ!」


Dシェゾ「誰でもかかってこい!」


クルーク「また始まった…」


シェゾ「ほんとよく飽きないよな…」




おわり