アミティ「みんなおっはよー!!」


リデル「アミさん、おはようございます」


ラフィーナ「今日から2学期ですわね」


アミティ「うん!今日からまた学校でみんなに会えて嬉しいな〜」


アコール「皆さんおはようございます」


シグ「あ、せんせー」


アミティ「おはようございます!」


リデル「アコール先生、おはようございます」


アコール「今日から2学期です、では早速夏休みの宿題を集めようと思います」


リデル「はい」


ラフィーナ「アミティさん大丈夫かしら…」


クルーク「ああ…アミティは毎年毎年何かしらを忘れるからな…」


リデル「たしか去年はプリント1枚やり忘れてて1枚丸々白紙のまま、その前は習字をやり忘れてきて、更にその前は問題集にジュースをこぼしてダメにして持って来れなかったんですよね…」


ラフィーナ「ええ…今年は一体何を忘れてくるのかしら…」


アミティ「そんな〜!みんな酷い!!今年は大丈夫だよ!!」


クルーク「ほんとかい?」


アミティ「ほんとだよ!もう宿題忘れるアミティさんは卒業!」


アコール「ではアミティさん、宿題を出してください」


アミティ「はーい!これです!」


アコール「まあ…偉いわアミティさん、今年はちゃんと全部書いてありますね」


クルーク「まじか…」


リデル「なんと…」


ラフィーナ「あのアミティさんが宿題を忘れなかったなんて…!」


クルーク「アミティ…ほんとに宿題忘れアミティから卒業なのかい!?」


アミティ「だからそう言ってるじゃない!酷いなみんな…あたしもやる時はちゃんとやるんだから!!えっへん!」


クルーク「まあ、宿題は忘れずにちゃんとやるのが普通なんだが…」


アコール「うんうん…あら?」


アミティ「え!?なんですか?アコール先生!」


アコール「アミティさん…この読書感想文なんですが…タイトルには桃太郎を読んだ感想と書いてあるのに、なんで本文の方には浦島太郎とか白雪姫とかの事も書いてあるんですか?」


アミティ「え!あっ…あっちゃー読書感想文の為に桃太郎とか浦島太郎とか白雪姫とか色々読んだから全部混ざっちゃった…」


クルーク「普通全部混ざる!?」


ラフィーナ「アミティさん…今年は中々斬新なミスですわね…」


アコール「アミティさん、これではちょっとダメですね…もう一度本を読んで感想文を書き直してまた明日持ってきてください」


アミティ「はーい…」


クルーク「やっぱアミティが夏休みの宿題を完璧にやって持ってくるわけないよね…」


リデル「はい…これでこそアミさんです…」


ラフィーナ「2学期最初の日はやっぱこうでなくっちゃね…」


シグ「恒例行事」




お昼休み


アミティ「みんな!ボール遊びしよう!」


リデル「いいですね…」


シグ「やろー」


ラフィーナ「仕方ないわね…付き合ってあげますわ」


クルーク「ボール遊びなんて子供のする事だが…仕方ない一緒に遊んであげよう」


アミティ「それー!」


リデル「えーい」


シグ「わー」


クルーク「えい!ラフィーナ!」


ラフィーナ「はあー!どりゃあー!!あっ…」


アミティ「ラフィーナの蹴ったボールが職員室に入っちゃった!!」


リデル「大変です…」


シグ「ボール取りに行かないと」


みんな「じー」


ラフィーナ「ちょっと!なんでみんな私の方を見ますの!?」


クルーク「いや…最後にボール触ったのラフィーナだし…」


シグ「うんうん」


ラフィーナ「分かりましたわよ…それじゃあみんなでボール取りに行きましょう!」


みんな「ええー!?」


ラフィーナ「行くの!!」


みんな「はーい…」




アミティ「失礼します…」


みんな「ああー!!」


リデル「こ…これは…」


シグ「下は洪水、上も洪水、なーんだ」


リデル「あ、アコール先生の机…?」


シグ「ピンポーン」


クルーク「変ななぞなぞやってる場合じゃないだろ!」


アミティ「花瓶が倒れてアコール先生の机の上が水浸しになっちゃってる…」


クルーク「机の上に置いてある手紙もびしょびしょだ…」


リデル「とりあえず花瓶は元に戻してこの濡れたお手紙をどかして…誰か机を拭いてください…!」


シグ「ふーふーふー」


クルーク「あのなぁ…その吹くじゃない!!」


シグ「え?」


クルーク「雑巾とかで拭けって事だよ!」


アミティ「雑巾…雑巾…」


ラフィーナ「ないわね…雑巾」


リデル「とりあえず濡れたお手紙はここに置いて…雑巾ありましたか?」


ラフィーナ「見つかりませんわ…」


クルーク「どこにもないみたい…」


ラフィーナ「しょうがないわね…クルーク、ハンカチ」


クルーク「え?ハンカチ…?」


ラフィーナ「これでこの水浸しの机を拭いて…」


クルーク「ああー!おいラフィーナ!何すんだよ!!」


ラフィーナ「何よ!ハンカチの1枚や2枚いいじゃない!」


クルーク「そんな事言うならラフィーナ自分の使えばいいのに!」


ラフィーナ「それはダメ!今日のハンカチは超お高いハンカチですし、おろしたてですし!」


クルーク「僕のハンカチだっておろしたてなのに…」


ラフィーナ「ダメですわ…こんなハンカチ1枚じゃ足りませんわ…」


リデル「わ、わたしのハンカチも良かったら…」


ラフィーナ「あらリデルさんは優しいのね、そこのハンカチ1枚で騒ぐ誰かさんと違って」


クルーク「ううっ…僕のおろしたて…」




シグ「机拭けた」


リデル「はい…これでとりあえずは大丈夫ですね…」


アミティ「ね!とりあえず机の上は綺麗になった!」


リデル「とりあえずこのままアコール先生を待って、アコール先生が来たら謝りましょう」


ラフィーナ「謝る?誰がですの?」


アミティ「えっと…それは…クルーク?」


クルーク「なんで僕だけなんだよ!みんなで謝るんだみんなで!!」


ラフィーナ「クルーク…花瓶は無事だったのよね…?」


クルーク「え?あ、うん…まあ一応…」


ラフィーナ「だったらいいじゃないの、誰も見てなかったんですし見つかりませんでしたし…この事はなかったという事で」


リデル「えっ…ラフィーナさん…さすがにそれは…」


アミティ「おおー!さすがラフィーナ!」


ラフィーナ「うっふふふ」


クルーク「はあ…」


リデル「でもこの濡れたお手紙はどうするんですか?」


アミティ「ああー!」


クルーク「それがあったか…」


ラフィーナ「乾かせば大丈夫ですわよ!」


シグ「どうやって?」


ラフィーナ「それは…ドライヤーとか?」


クルーク「そんなのないよこの学校に…」


アミティ「布団乾燥機とかは?」


クルーク「そんなのもない!」


アミティ「あ!そういえば確かこの戸棚に…あった!おせんべい!!」


クルーク「おせんべいなんかでどうするんだよ…」


アミティ「おせんべいに付いてるのは…乾燥剤!」


シグ「おおー」


アミティ「この乾燥剤を濡れた紙の上に置いて…」


クルーク「おい、アミティ…」


アミティ「あれー?変だね…中々乾かないね…ボリボリ」


クルーク「こんなので乾くわけないだろ!?…って!せんべい食べるな!!」


ラフィーナ「ボリボリ」


リデル「ボリボリ」


シグ「おせんべいおいしーね」


クルーク「君達も一緒になってせんべい食べるな!!」


アミティ「仕方ないな…それじゃあみんなで一緒に!はい!」


みんな「ふーふーふーふー」


クルーク「って!こんなんじゃいつまで経っても乾かないだろ!?」


ラフィーナ「で?どうしますの??」


リデル「ど、どうしますのって…やっぱりここは正直に謝った方が…」


ラフィーナ「どうやって紙を乾かすか聞いてますの!!」


リデル「えっと…えっと…あっ、ひょっとしたら…この方法なら…!」


アミティ「リデル!何か思いついたの!?」


リデル「お日様に当てるのはどうですか?」


ラフィーナ「お日様に?」


リデル「はい…窓に貼り付けてお日様に当ててみるのはどうですか?」


クルーク「それありかも!ナイスアイディア!」


アミティ「それじゃあリデル!その紙を持ってこっちに来て!」


リデル「え、ええ…私がやるんですか…?」


ラフィーナ「当たり前でしょ?リデルさんが言い出しっぺなんですからリデルさんがやらなきゃ」


リデル「わ…分かりました…やってみます…」


アミティ「リデル!頑張れー!」


シグ「がんばれー」


リデル「とりあえず紙の端っこをそっと持って…あっ!!」


アミティ「ああー!」


リデル「どどどどどどうしましょう…破れちゃいました…」


クルーク「りっ…リデル…」


アミティ「あたししーらなーい…」


リデル「そんな…!皆さん逃げないでくださいよ…」


クルーク「あ、いや…別に…逃げたわけじゃないんだ…あは、あはははは…」


アミティ「へえ…逃げたわけじゃないんだ…」


クルーク「お前もだろ!?」


シグ「でも端っこだから大丈夫」


クルーク「でもこれは濡れて机にぴったり張り付いちゃってるんだな…」


ラフィーナ「こうなったら仕方ないですわね…これだけは使いたくなかったんですけど…」


クルーク「それは…君のハンカチかい?」


ラフィーナ「ええそうよ、こうやって濡れた紙の上にハンカチを置いてこう…トントントンって…こうすれば紙の水は私のハンカチに移るはずですわ、テレビでやってましたわ」


アミティ「おおー!なるほど!!」


クルーク「あれ、でもそれってシミ抜きのやり方じゃないかい?」


ラフィーナ「え?」


クルーク「とりあえずそのハンカチを取って!」


ラフィーナ「え、ええ…あら?」


アミティ「あれー?紙が消えた!」


シグ「おーラフィーナすごーい」


アミティ「ね!なんかマジックみたい!!すごいよラフィーナ!」


ラフィーナ「消えてなんかいないわよ!ハンカチの裏に張り付いてただけよ…ああー!!」


リデル「どうしたんですか?」


ラフィーナ「字が薄くなってますわ…」


リデル「ええ…そんな…」


クルーク「これはもう…」


ラフィーナ「まだよ!まだいけますわ!!薄くなったなら上から書いて濃くすればいいのよ!」


リデル「うっ…ううっ…」


アミティ「ラフィーナ…もう少し乾かしてからの方がいいんじゃないかな…?」


ラフィーナ「ダメよ!いつアコール先生が戻ってくるか分からないじゃない!さあリデルさん!しっかり書くのよ!!」


リデル「なんで私なんですか…?」


ラフィーナ「なんでって…一番字が綺麗そうだから…?」


シグ「でも失敗したら全部リデルのせいになる」


リデル「ひえっ…シグさん…」


ラフィーナ「ちょっとシグ!余計な事言わないでよ!さあリデルさん、続けてちょうだい」


リデル「ごめんなさい…私には無理です…!」


ラフィーナ「ああちょっと!!もう…せっかく字が綺麗そうだから頼ってあげましたのに…こうなったら…クルーク!!」


クルーク「ええっ…!ごめん…やっぱり僕も出来ないよ…!こんな事してないで…」


ラフィーナ「この軟弱者が!!…いいわ、それじゃあ私がやりますわ」


アミティ「え!ラフィーナ!?」


ラフィーナ「落ち着いて…ゆっくり丁寧に…」


リデル「これ…なんて書いてあるんでしょうか…」


シグ「難しい漢字で読めない」


アミティ「は に し た お な て…??」


クルーク「平仮名だけ読むなよ…」


ラフィーナ「…」


アミティ「じゃあクルークは読めるの?」


クルーク「僕にも読めないよ…手紙って事は分かるけどさ…」


ラフィーナ「…」


アミティ「えー!クルーク頭良いのに読めないの〜!?」


クルーク「関係ないし!!」


ラフィーナ「あなた達!!ちょっと黙ってて!!!」ビリッ!


ラフィーナ「えっ…?」


みんな「ああー!!!!!」


クルーク「破れた…」


リデル「手紙が…破れました…」


アミティ「ねえねえ…もしこれがラブレターだったら?」


クルーク「もしかして…ラブレターがやぶれたーって言いたいのかい…?」


ラフィーナ「そんなくっだらねえ事言ってる場合じゃねえ!!ですわ!!」


リデル「もう終わりです…何もかも終わりました…」


シグ「もうダメ」


ラフィーナ「どうしましょう…」


クルーク「どうしましょうって…」


アミティ「逃げようクルーク!!あたしと一緒に北へ!」


クルーク「なんで北なんだよ!!っていうか逃げてどうするんだ!」


リデル「アコール先生、怒ると怖いんでしょうね…」


アミティ「普段優しい人ほど、怒ると怖いって言うし…」


リデル「はわわわわ…」


ラフィーナ「あっ…あの…私、ここにいなかったことにしてくれないかしら…」


アミティ「えー!そんなのずるい!」


ラフィーナ「だって…ちょっとやんちゃなあなた達がやった事にすればもしかしたら確かにあなた達がやりそうな事ですね、じゃあしょうがないってなって丸く収まるかもしれませんし…」


リデル「そんな…ラフィーナさんさすがにそれはずるいです…」


クルーク「だから初めから正直に言って謝ってればこんな事にならなかったのに…」


アミティ「その事にもっと早くクルークが気づいていればこんな事には…」


クルーク「なんで僕のせいになるんだよ!!」


シグ「人生こんなもん」


ガチャ


シグ「ん?」


アコール「やっと雑巾を見つけました…あら?皆さんどうしたんですか?」


アミティ「アコール先生!?あっ…あの…えっと…これは…その…」


アコール「あらまあ…濡れた机を拭いてくれたんですか?ありがとうございます」


リデル「ええ…?」


アコール「うっかり花瓶を倒しちゃうなんて…私ももう歳ですね…」


クルーク「あの…アコール先生…その紙…」


アコール「え?ああ…!濡れた紙もわざわざこちらに移してくれたんですか?どうもすみませんでしたね…これはもういらないんです」


ラフィーナ「はあ…?」


アコール「これはもう捨てる物なんですよ、うふふふふ…あら?」


みんな「ぐったり…」


アコール「皆さん?どうしました!?」


シグ「人生こんなもん」




おわり