ラフィーナ「皆さん!今日は何の日かご存知で??」


アミティ「はいはーい!!海の日!!」


ラフィーナ「違う!それはもうちょっと先!」


アミティ「それじゃあ…ラフィーナの誕生日!!」


ラフィーナ「それもまだ早いわよ!!」


シェゾ「今日は土用の丑の日だ!」


Dシェゾ「どようのうし…?なんだ?牛でも来るのか?」


ラフィーナ「そーゆう事じゃないわ!!」


りんご「土用とは、季節の変わり目である立春・立夏・立秋・立冬の直前の約18日間を指します!一方「丑の日」とは、日にちを十二支で数えたとき、丑に該当する日のことです。 丑の日は12日周期で訪れます。 十二支は年を表す際に用いられるのは知られていますが、時刻や方角、日にちを表すためにも使われるのです!」


リデル「りんごさん!その説明はちょっと難しいです…」


りんご「ああ、ごめんごめん」


ラフィーナ「まあ要するに鰻を食べる日って事よ」


Dシェゾ「鰻?ってなんだ?美味いのか?」


アミティ「そりゃーもちろん!あたし鰻大好き!!」


りんご「うなぎには、免疫力向上や疲労回復など、健康に良い効果が期待できる栄養素が豊富に含まれています!うなぎに含まれる主な栄養素はビタミンA、ビタミンB群、ビタミンD、ビタミンE、ミネラル、タンパク質、DHAなど…」


リデル「なんかよく分からないけどすごいです…多分」


Dシェゾ「りんごはすごい物知りなんだな…」


ラフィーナ「というわけで今日はみんなで高級うなぎ専門店のうな重を食べに行きますわよ!!」


アミティ「やったー!!」


リデル「わーい、嬉しいです…」


シェゾ「Dシェゾは人生初の鰻だな」


ラフィーナ「これから行くお店のうな重はとっても美味しいから食べてびっくりするわよ!」


Dシェゾ「そうか…わかった、楽しみにしてる」


ラフィーナ「それじゃあみんなで高級うな重食べに行きますわよ!!」


アミティ「おー!!」




うなぎ専門店 大漁市場


ラフィーナ「ここですわ!!」


リデル「おおー…」


シェゾ「高級なうなぎ専門店ってなんかすげえな…」


りんご「ですね!今年も鰻を食べられる時期が来ましたね…にゃはははは!!」


アミティ「りんごってそんな鰻好きだったっけ…?」


リデル「鰻美味しいですもんね、分かりますよ…」


ラフィーナ「特上うな重6人前!!」


幸作「はいよ!!」


ラフィーナ「ここの大漁市場は、32年前に大将の将司さんが始めたお店で、現在は1人息子の幸作さんと2人でお店を回してるのよ」


アミティ「そうなんだ!」


ラフィーナ「大将の作るうな重の秘伝のタレがすっごく美味しいのよ!!」


リデル「そうなんですね…!」


ラフィーナ「ここの特上うな重はもう最高ですわよ!みなさんも絶対に気に入るわ」


りんご「それは楽しみです!」


Dシェゾ「そうか…なんだか楽しみになってきた」


ラフィーナ「Dシェゾさんも絶対に気に入るわよ!」


シェゾ「…ん?」


大将「…」


アミティ「美味しそうな匂いがするね!!」


リデル「見てください、有名人のお墨付きも沢山あります」


アミティ「ほんとだー!」


シェゾ「あれ…誰のサインだ…?」


リデル「さあ…誰のサインですかね…」


Dシェゾ「でも、今日って鰻を食べる日なんだよな?それにしては結構ガラガラじゃねえか…?」


アミティ「え?あ、ほんとだ…確かに?」


ラフィーナ「そう言われてみればそうね…毎年、土用の丑の日は行列なのに…」


幸作「へい!おまち!!」


アミティ「おおー!!!」


ラフィーナ「ついに来ましたわよ!!特上うな重!!」


リデル「わあー!凄いです…」


シェゾ「すげえ絵ヂカラ…いや、魚ヂカラだ」


Dシェゾ「これがうな重…」


ラフィーナ「素晴らしいでしょ??」


Dシェゾ「ああ、すげえ…」


りんご「では早速食べましょう!」


アミティ「うん!」


ラフィーナ「それでは皆さん手を合わせて…」


アミティ「はい!」


ラフィーナ「いただきまーす!!」


「いただきまーす!!」


アミティ「パクパク…うん!美味しい!!」


リデル「美味しいです…!」


りんご「ほっぺた落ちちゃいます!」


シェゾ「うん…美味いな」


Dシェゾ「これがうな重…美味しい…」


アミティ「でしょ〜!?ラフィーナも美味しいね!!」


ラフィーナ「…あら?」


リデル「ラフィーナさん…?」


りんご「ラフィーナ、どうしたんですか?」


ラフィーナ「…なんか、いつもと違いますわ…」


シェゾ「え?違う?」


Dシェゾ「どういう事だ?」


ラフィーナ「この味…特上うな重の味ではありませんわ!!」


アミティ「ええ?」


りんご「味が違う??」


シェゾ「おい、どういう事だ??」


ラフィーナ「大漁市場の特上うな重の味の決め手は大将の作る秘伝のタレ、でもこの味は…秘伝のタレの味じゃありませんわ!!」


アミティ「え、そんな…」


Dシェゾ「普通に美味しいけど…」


幸作「そんな…そんなはずないんだけどな…」


シェゾ「それはさすがにラフィーナの勘違いなんじゃ…」


ラフィーナ「私はここの特上うな重毎年食べに来てますのよ!味を間違えるはずないわ!」


男性「すみません、お会計お願いします」


幸作「あ、はい!毎度!いつもありがとうございます!」


シェゾ「…」


Dシェゾ「どうかしたのか?」


シェゾ「ああ…あの大将、ずっと背中を向けてて絶対こっちを振り返ろうとしないんだ…」


Dシェゾ「顔を見られるのを避けているのか…?」


ラフィーナ「そういえば大将と息子さんってお互い口が悪くて、よく喧嘩してましたわ…」


アミティ「え?そうなの?」


リデル「そんな人には見えませんけど…」


りんご「もしかして、息子さんが大将に何かして…別人に代役をやらせているとか…ですかね…?」


幸作「毎度ありがとうございました!出口までお見送り行きます!」


アミティ「よし!今だ!!」


りんご「厨房の方へ!」


シェゾ「あ!こらお前ら!」


リデル「アミさん!!」


ラフィーナ「ちょっと!それはさすがにダメですわよ!!」


幸作「あ!ちょっと君たち!!」




アミティ「…!!」


大将「…はっ!」


りんご「じー」


大将「…」


Dシェゾ「お前ら、何してんだよ…」


幸作「あっ…」


ラフィーナ「…はっ!あなた…」


大将「…」


ラフィーナ「あなた、大将じゃありませんわね」


大将「なっ…!!」


幸作「えっ…!」


ラフィーナ「だってあなたの着てる服…サイズが全然あっていませんもの」


大将「はっ…」


ラフィーナ「それにその指輪も…大将はしてなかったと思いますわよ、多分衛生面を気にしてね」


シェゾ「そう言われてみれば、確かに変だな」


ラフィーナ「あなた…本当は誰なの??」


大将「…」


幸作「はあ…その人は健司おじさん、親父の兄貴だ」


アミティ「ええ!?」


リデル「兄弟って事…ですか?」


幸作「あのわがままなクソ親父…4日前に家を出ていったんだ!!」


ラフィーナ「ええ!?」


幸作「いつ戻るかも分からねえ…けどこの店には親父の作るうな重じゃなきゃって客ばかりで…!」


健司「だから将司が居なくなったことは隠して…声はちょっと違うけど顔がそっくりな私が変わりに厨房に…定年退職して暇だったしね…」


シェゾ「仕込みや調理は全部幸作さんがやっていたんだな?」


幸作「ああ…けどやっぱ、親父の味とは違ってたか…」


健司「せめて、弟子の黒崎が居てくれたら…」


幸作「おい!!」


健司「あっ、すまんすまん」


アミティ「よーし!それじゃああたし達が大将の事見つけてあげるよ!!」


幸作「ええ!?」




幸作「これが親父が残していった書き置きだ」


「ちょいと旅に出る 心配するな すぐ戻る」


Dシェゾ「確かに…店の手書きのメニューと同じ筆跡だな…」


幸作「自分勝手なんだよ…!携帯持ってねえから連絡もつかねえし…」


リデル「こういう事はよくあるんですか?」


健司「まあ…でも訳もなく店を空けるなんて初めてじゃないか?」


幸作「ああ…親父は自分の命より店の方が大事って言ってたしな…」


シェゾ「…!!」


ラフィーナ「どうしたの?シェゾさん」


シェゾ「この字…わずかだけど、小刻みに震えてる…!」


幸作「確かに!」


りんご「もしかして…誰かに脅されて、恐怖に震えながら書かされたとか…!?」


Dシェゾ「あるいは、誰かが筆跡を真似して書いたのかも…」


リデル「どっちにせよ大変です…!」


健司「けど…それだけじゃ…」


アミティ「あれ?これって…」


幸作「ん?」


シェゾ「なんだそれ、CDか?」


幸作「うわあああ!!!なんでこんな所に!?」


アミティ「お兄さんCD出してたんだ!!」


健司「結構人気のバンドだったんだぞー!」


アミティ「へえー!」


りんご「お兄さんバンドやってたんですね!」


幸作「もう昔の話だよ…!」


リデル「なんで辞めちゃったんですか?」


健司「それは…」


幸作「まあ、色々あんのさ…」


シェゾ「あっ…」


幸作「ん?あーそれは親父専用の魚焼き器だ、勝手に触ると怒るからそのままにしてあるのさ」


シェゾ「まだ新品の魚焼き器みたいだな」


ラフィーナ「でも変ですわね、収納もせずに出しっぱなしなんて…」


幸作「まあな…」


シェゾ「あれ…あのカレンダー…なんでちょっとズレてるんだ…?なあ幸作さん、壁のカレンダーをちょっと外してみてくれるか?」


幸作「え?これか…?あれ、何だこの壁の穴は…」


シェゾ「まだ新しい」


幸作「それになんだこの黒っぽいシミも…」


シェゾ「血を拭ったあとなんじゃないかな…」


リデル「それじゃあやっぱり…大将の身に何かあったんじゃ…!」


シェゾ「大将誰かとトラブルになってなかったか?」


幸作「うーん…」


シェゾ「じゃあ質問を変える、失踪してから厨房の大将…つまり、大将のフリをした健司さんを執拗に見てくるような人、いなかったか?」


りんご「なるほど!大将をどうにかした犯人ならその大将がお店にいる事に驚くはずです!」


Dシェゾ「そして、どういう事なのか確かめようとするはず」


幸作「…!そういえば1人だけ…!親父が居なくなった直後から、急に店に来るようになって…!!そして挙動不審で…手には包帯も…!!」


Dシェゾ「それは怪しいな」


ラフィーナ「誰なんですの?それは…」


幸作「馬場瑛一…近所のうなぎ店「1番」の店主だ!!」


シェゾ「商売敵か…?」


Dシェゾ「有り得るな…」


幸作「それだけじゃねえ…やつは以前、うちの評判を落とすために悪い噂を流した事もあるんだ!!」


アミティ「ひどい!!」


りんご「絶対その人が犯人ですね!」


リデル「はい…私もそう思います…!」


りんご「問い詰めましょう!!」


ラフィーナ「でも素直に吐くかしら?どうもそんなタイプじゃなさそうですけど…」


シェゾ「悪い噂ってどんな噂なんだ?」


幸作「確か…でかいネズミが出るとか…幽霊が出るとか!」


リデル「えっ…それだけ…ですか?」


アミティりんご「しょうもな…」


Dシェゾ「はあ…」


シェゾ「なるほどな…」


Dシェゾ「何か思いついたみたいだな」


シェゾ「ああ…目には目を…だな」




瑛一「…うな重1つ…」


ガラガラガラ…


瑛一「え?なんだ…?シャッターが閉まって店内が真っ暗に…」


???1「チュウチュウ」


???2「チュウチュウ!!」


???3「チュウチュウ…」


瑛一「ぎゃー!!ネズミー!!!」


???「俺に何をしたー!!」


瑛一「ぎゃー!!何もしてないってー!!やばいとこ見ちゃっただけじゃないかー!!」


パチ


瑛一「え?」


アミティ「ふっふふふー!」


りんご「ぐふふふ…」


リデル「え、えへ…」


瑛一「お玉を持った子供3人に…お化けのフリをしたおじさん!?」


幸作「馬場瑛一!!」


シェゾ「やっぱり苦手なんだな、ネズミと幽霊」


Dシェゾ「だから悪い噂を流す時にもそれを使ったんだな」


瑛一「くっ…」


幸作「話してくれ…!一体何を見たんだ!」


瑛一「4日前の事だ…」




4日前


男「いいから車に乗れって!!」


大将「ぐっ…!!」


瑛一「はっ!!」




瑛一「あれは明らかにやばい連中だ…俺は止めようと思って勇敢に立ち向かったんだ!!そのせいでこの怪我を…」


ラフィーナ「ならどうして黙っていたの!?」


瑛一「…すみません…怖くて逃げた時に転んだだけです…関わり合いになるのが嫌で今まで黙ってたんだ…すみません…ほんとにすみません…」


シェゾ「他に手がかりは?」


瑛一「車のナンバーも覚えていないし…はっ!!間違えない…誘拐犯の中にこいつも居た…!!」


Dシェゾ「店内に貼ってある写真か…」


アミティ「その人誰なの?なんだか怖そう…」


健司「黒崎哲也、将司の一番弟子だったんだ…料理の腕も確かで将司も目をかけていたんだ…なのに4年前将司が突然、黒崎をクビにしたんだ…!以来、店には一度も顔も見せてないらしい」


幸作「ああ…」


健司「そのせいで道を踏み外したんだろうな…やばい連中と絡んでる所を何度か見かけたことがある」


幸作「きっとクビにされたのを恨んで…親父に復讐を…!!」


シェゾ「だとしたらなぜ今になって…?」


りんご「うーん…」


リデル「りんごさん?どうしました?」


りんご「この顔、どこかで見た気がします…あー!!思い出しました!手配写真ですよ!!」


ラフィーナ「手配写真!?」


りんご「はい!この人!指名手配されてると思います!!」


シェゾ「…なんだと!?」


幸作「指名手配だって!?」


りんご「この顔です!間違えありません…ただ、名前は黒崎じゃなかった気がします…」


アミティ「別人じゃないの?」


シェゾ「いや、黒崎って言うのは本名じゃなくて偽名だったのかもしれないぜ」


ラフィーナ「確かに…後暗い所があるならそうするでしょうね…」


リデル「じゃあやっぱり…」


Dシェゾ「…!!」


アミティ「Dシェゾ?」


Dシェゾ「ちょっと静かに…」


リデル「Dシェゾさん…?」


Dシェゾ「そこにいるのは誰だ?」


ラフィーナ「Dシェゾさん?」


Dシェゾ「シャッターの向こう側に誰かいる」


男A「げっ!!見つかった!!」


男B「逃げるぞ!!」


ガラガラ(シャッター開ける音)


瑛一「あー!あいつらだ!!」


アミティ「え!じゃああの人が瑛一さんが言ってた…」


ラフィーナ「大将を誘拐した男達…!!」


幸作「すぐに車で…!はっ…!」


シェゾ「俺も行く!」


幸作「何してるんだ!!」


シェゾ「あんたこそ何してるんだ!早く追わないと…!」


幸作「俺のせいなんだ…」


シェゾ「え?」


幸作「昔から店は手伝ってたけど…元々俺は音楽で生きていくつもりだった…だから親父も貢献者は黒崎さんにって考えてたはずだ、なのに俺が…音楽を始めたばっかりに…!」


シェゾ「大将が黒崎さんをクビに?」


幸作「そうとしか思えねえ!!そのせいで…取り返しのつかない事になったら…俺は…!」


シェゾ「大丈夫だ」


幸作「え…?」


シェゾ「殺害だけが目的なら、その場でやってるはずだ…連れ去ったって事はまだ生かされてる可能性も充分にある、取り返しのつかない事になる前に防げるかもだ」


幸作「お前…」


シェゾ「いや…絶対に防ぐんだ!!」


幸作「…だな、絶対に防がないとな!!」




幸作「ここだな、奴らはかなりの人数らしいな…」


シェゾ「確かに…傘立てに黒い傘が沢山あるな…本日貸切って看板も出てるし…」


幸作「でも!行くしかねえ!!」




幸作「親父!!助けに来たぞ!!」


男A「ああ?」


男B「あー??」


男C「なんだ?てめえは…」


幸作「ひいい…!!」


黒崎「おめえ!幸作じゃねえか!!」


幸作「黒崎さん…!親父は…!!」


黒崎「親父さん?さあな…おいてめえら!!知ってっか!?」


男達「いいや…」


幸作「でもそこの2人がうちに…」


男D「飯食いに行っただけさ!」


男E「閉まってたから帰ってきたんだ」


男D「シャッター閉まってただろ??」


幸作「けど…」


黒崎「幸作よ!!ここはおめえみたいなタタキが来るところじゃねんだよ!!さあ!帰った帰った!!」


幸作「…そんな!!」


シェゾ「いや、大将はここにいる」


黒崎「はあ?」


シェゾ「お前らの中に白髪のやつはいない、今日は貸切で他の客もいない、じゃあこれは誰の髪だ??」


幸作「親父のか!!」


黒崎「何イチャモンつけてるんだこいつは!!」


シェゾ「それにそこに干してあるタオル…」


黒崎「なっ!!」


幸作「大漁市場…ああ!間違えない!あれは親父のだ!!」


シェゾ「これでもシラを切るつもりか?」


黒崎「…!」


幸作「やっぱり…親父をどこにやった!!」


シェゾ「違う幸作さん」


幸作「ええっ?」


シェゾ「大将は自らの意思でここに来たんだ」


幸作「親父が?」


アミティ「シェゾ!」


Dシェゾ「それ…どういう事だ…?」


シェゾ「まず気になったのは表にあった傘だ、変だよな?最近はずっと晴れ続きなのにな…でも全て黒だった点も考えるとあれは日傘だ…棚の上には日焼け止めスプレーとか帽子、フェイスカバーまであった…そこまで日焼けを気にするって事は…みんな俳優なんじゃないか?」


黒崎「!!」


幸作「ええー!?」


アミティ「ええ!」


リデル「そうなんですか!?」


シェゾ「それも生傷の絶えない悪役アクション俳優」


Dシェゾ「それじゃあ、りんごの見た手配写真は…?」


シェゾ「恐らくそれは現実の物じゃない、ドラマかなんかで見たものだろう…そう考えれば手配者の名前が違ってた事にも説明がつく」


りんご「あっ…そう言われてみれば…テレビで観た物だったかもです…あははは…ごめんなさい…」


健司「クビにされた事を恨んでたんじゃ…!」


黒崎「…」


シェゾ「あれ黒崎さんのサインだよな?そこに飾ってある色紙…大漁市場に合ったのと同じだ」


幸作「えっ…!?」


シェゾ「恨んでる人にサインなんか書くわけないだろ?大将と黒崎さんの関係は、今も良好だと見るべきだ…かつて大将が黒崎さんをクビにしたのも、夢だった俳優の道へ進めませてあげるためなんじゃないか?」


黒崎「よく分かったな…兄ちゃん」


幸作「そうだったのか…!」


健司「じゃあどうして…」


シェゾ「ここは湯治場、目的は1つ…治療だ」


幸作「ええ??」


アミティ「ええー!?」


シェゾ「キッチンにあった大将の魚焼き器、すっごく軽かったんだ…あれって特注品だよな?大将は腱鞘炎なんじゃないか?まあ、他の道具も出しっぱなしと言うには整頓されすぎていた…あれは出しっぱなしなんかじゃなく、収納出来なかったんだ」


りんご「ふむふむ…」


シェゾ「多分背伸びも屈むことも出来ない酷い腰痛のせいだ」


幸作「じゃあ字が震えてたのも…!」


シェゾ「もちろん腱鞘炎のせいだ、壁の穴もよろけてぶつかった時に大将自身がへこませた物なんじゃないか?大将は黒崎さん達御用達の湯治場に一緒に連れて来てもらっただけ…だよな?」


黒崎「ああ…その通りだ」


シェゾ「ほら、出てこいよ…そこにいるんだろ?」


大将「はい…」


幸作「親父!!」


大将「全部その青年の言う通りだ…悪かったな黒崎…お仲間さんも…」


黒崎「いやいや…俺たちの方こそ親父さんの秘密を守るためとはいえ、幸作に怖い思いを…」


大将「すぐにでも治して戻れると思ったんだけどな…」


幸作「だったら最初からそういえば良かっただろ!?色々大変だったんだぞ!!」


大将「まさか私無しで店を開けるとは思わなかったんだ!!それに本当の事言ったらお前店積むって言い出すだろ!!本心じゃ音楽やりてえのに、俺の為に無理してよ!!」


幸作「はあ??」


シェゾ「幸作さんの口、マウスピースの後が付いてる…最近またトランペット吹き始めたんじゃないか?」


幸作「はっ…!」


大将「ふふふ…」


幸作「馬鹿だな…トランペットはこの為だよ」


シェゾ「え…?」


Dシェゾ「なんだそれ…」


ラフィーナ「本物のうなぎ屋さんがトランペットでうなぎの唄吹いてみた…??」


幸作「うち、若い客そんなに居ないだろ?だからこのトランペットの演奏動画で新規開拓しようと思ってよ!!」


りんご「再生回数…1桁じゃないですか…」


ラフィーナ「全然ダメじゃないの…」


幸作「うっせー!!」


大将「じゃあ…」


幸作「ああ!!音楽に戻りたいなんて…思った事ねえよ!!その…やっぱ好きなんだよ!親父の作るうな重!!だからちゃんと教えてくれよ!!作り方!!」


大将「幸作…!」


幸作「親父…!」


大将「甘えんな!!!」


幸作「ええっ!?」


大将「俺はまだ辞めねえぞ!!湯治のおかげでもう少し頑張れそうだしな…お前も自力で自分の味を見つけやがれ!!」


幸作「自分の味を…!?」


大将「俺に出来た事だ!おめーに出来ねえはずはねえ!!違うか??」


幸作「ああ!望むところだ!クソ親父!!」




大将「へい!特上うな重6人前!!」


アミティ「ありがとうございます!いただきまーす!!」


ラフィーナ「うん!これこそいつもの味ですわ!!やっぱ大漁市場の特上うな重の味はこうでなくっちゃ!!」


りんご「これが高級うなぎ専門店の特上うな重…美味しすぎます…生きてて良かったです!!」


シェゾ「しかしタレの味がちょっと違うってほんとよく分かったよな…」


ラフィーナ「私ここのうな重はよく食べに来るのよ!だから自然と味を覚えてしまいましたわ」


Dシェゾ「ここって高級うなぎ専門店なんだよな?よく来るってこんな高級店よくそんなしょっちゅう来れるな…」


りんご「すごいですよね…」


幸作「俺の味を見つけるとは言ったものの…どんな感じにしたらいいんだろう…」


アミティ「そうだね…うなぎラーメンとかはどうですか??」


ラフィーナ「アミティさん!遊びじゃないのよ!!もう少しちゃんと考えてあげなさいよ!!」


幸作「うなぎラーメン…ありかもしれない!!」


リデル「ええー!?」


Dシェゾ「いいのか…?」


幸作「ひつまぶし風うな重ラーメンとか…いいかもしれない!!そうと決まれば早速試作してみよう!!」


シェゾ「ま、まあ…食べてみてもいいか…」




おわり