???「体はドラゴンと人間のハーフで、頭脳はシャーロックホームズ、このプリンプタウンにこれまで数多くの事件を解いた名探偵が隠れていました!」
リデル「て…テレビ局の人です…」
アミティ「どうしよう…」
???「彼女がその名探偵…ドラコケンタウロスさんです!!」
ドラコ「ええー!?」
テレビ局の女性「と、助手のアミティさんとリデルさんです」
アミティ「ずるいよドラコばっかり!」
ドラコ「しょうがないだろ?シェゾが取材を断ったんだから」
シェゾ「当たり前だろ…テレビなんかもう懲り懲りだ」
ラフィーナ「ええ、この間の真琴さんの料理番組の時にあのアイドルバカ達が大騒ぎしたせいで…店長のシェゾさんにどんなイメージついちゃったか…」
テレビ局の女性「今日ドラコさんに調べてもらうのは隣の市の小学校の色々な怪事件です!」
ドラコ「怪事件!よーし!なんでも任せて!!」
シェゾ「よその学校まで行くのか…」
ディレクター「よし!ロケ地へ向かうぞ、手配は全て俺がやっておいた!ロケ用の弁当も追加注文しといたし」
ドラコ「やったー!あたしたくさん食べるからな!」
ディレクター「いや…後で別の番組の撮影班がやってくるんだ…」
ドラコ「そっかー」
リデル「もう…お姉様ったら…」
隣町の小学校
テレビ局の女性「ドラコさんに調べて頂きたいのはこの音楽室のベートーベンの肖像画なんだけど…1度目を合わせたら最後!右に行こうが左に行こうがずっと睨み続ける呪いのベートーベンと呼ばれているの!」
ドラコ「ええ!?」
アミティ「呪いのベートーベン!?」
ドラコ「まじか…はっ!うわああ!!こっちみてる!!」
テレビ局の女性「どうです?ドラコさん」
ドラコ「おい!助手…!」
アミティ「やだ、やだ!」
リデル「目を合わせたら最後なんですよね…?」
ドラコ「えっと…」
ラフィーナ「苦戦してるようね」
シェゾ「ったく…仕方ねえな…」
コンコン
ドラコ「ん?あれ、シェゾとラフィーナ…窓の外から何してんだろ…なんか「芽」と「へこんでいるボール」を持ってる…「め」…「へこむ」…!!」
テレビ局の女性「わかりました?」
ドラコ「この絵の目って…ああー!!目の部分がへこんでいる!わかった!この絵は目がへこんでいるから左右正面、どこから見てもこっちを見ているように見えるんだ!」
テレビ局の女性「すごい!さすがドラコさん!あっという間に目のへこみに気づき、謎を解いてしまいました!」
テレビ局の女性「じゃあ次にドラコさんに解いてもらいたいのは理科室のこの人体模型に起きる怪事件!実はこの人体模型はひどい寂しがり屋で…夜になると男の子をさらっては服を奪ってそばに座らせて仲間になるように説得するんですって」
ドラコ「ええー!?この人体模型ただでさえ気持ち悪いのに…」
アミティ「あたし達はパスで…」
ピカッ
ドラコ「わっ!眩しい…あれ、また窓の外からシェゾとラフィーナが…今度は「2つに割った模型」「鏡で反射」…どういう事だ…?」
ガチャ
ドラコ「あれ?この模型…2つに割れるぞ?でも鏡ってなんだ…?」
ドテ!
ドラコ「痛っ!あっ…これは…理科室のテーブルに鏡がついてて…そうか!ここに半分に割った人体模型をステンレスばりのここに置けば、2人で並んで座ってるように見える!」
テレビ局の女性「すごい!確かにそう見える!」
リデル「お姉様…さすがです…」
アミティ「ドラコすごーい!」
男子生徒「なあ、あの謎も解いてもらおう」
女子生徒「うん」
男子生徒「ねえ、この模型やさっきの絵はテレビ局が用意したものでこの学校のものではないんだ」
ドラコ「え?そうなの?」
男子生徒「それより、昨日この学校に出た本物の幽霊の謎を解いて貰えないかな…」
テレビ局の女性「本物の…」
ドラコ「幽霊!?」
男子生徒「うん!昨夜塾帰りの子達が見たんだ、誰もいないはずの屋上にぼんやりとした人影を!」
女子生徒「人魂を見たって子もいるの、間違えないわ…あれは幽霊よ」
男子生徒「屋上には『開かずの扉』があるから…きっと幽霊はそこに住んでるのよ」
ドラコ「開かずの扉か…」
テレビ局の女性「ディレクター!そっちを調べてもらった方が面白そうですね!」
ディレクター「ダメダメ、学校から許可もとってないし…」
ドラコ「やっぱり探偵は本物の謎を解かないと!」
アミティ「そうだよね!その屋上の開かずの扉の所に行こう!ゴーゴー!!」
ディレクター「あっ!」
ラフィーナ「あーあ、行っちゃいましたわね」
シェゾ「屋上に幽霊か…どうせ居ないとは思うけど…」
シェゾ「おいリデル、どうだそっちの様子は」
リデル「はい…なんにもありませんね…幽霊なんてどこにもいません…」
アミティ「『開かずの扉』ってのは、用具置き場の事らしいんだけど、今その扉を調べているところだよ」
ドラコ「んー!んー!ダメだ開かないな…」
男子生徒「開かずの扉だからね…」
先生「当たり前だよ、そこはいつも鍵をかけてるんだから」
テレビ局の女性「やっぱり…すみませんちょっと鍵を開けて見せてもらえませんか?」
先生「いいですよ、取ってきます」
先生「あれー??屋上倉庫の鍵がない、おかしいな…確か昨日は見かけたんだけど…」
リデル「とまあ…こんな感じです、鍵の消失…この学校の新しい怪事件ですね…」
シェゾ「別にそんなの事件とは言えないだろ…」
Dシェゾ「お前達」
ラフィーナ「あら、Dシェゾさん」
Dシェゾ「こんな所で何をしてるんだ?」
ラフィーナ「実はドラコさんが今テレビの取材を受けてますの」
シェゾ「それでな…」
Dシェゾ「なるほど、それで今はその開かずの扉を調べているのか…」
ラフィーナ「そういう事、しかし今日は随分沢山ヘリが飛んでますわね」
シェゾ「ああ、しかもあのヘリは…ん?」
Dシェゾ「あいつは…確か…」
ラフィーナ「高木刑事!」
シェゾ「おい、こんなとこで何してんだ?」
ラフィーナ「何かありましたの?」
高木刑事「あれ?君たち、なんでこんな所に…?まあいいや、実はね…」
シェゾ「なるほど、そういう事だったのか…」
高木刑事「というわけで僕らは忙しいから、じゃあね」
シェゾ「俺も高木刑事について行って力を貸した方が良かったか…?でも待てよ…」
プルルルル
シェゾ「…リデルか、どうした?」
リデル「聞いてくださいよ!お姉様が開かずの扉を開けたんです」
シェゾ「おお…大活躍だ、良かったな」
リデル「それが違うんです…あの後みんなで屋上に戻って試しにお姉様がドアノブを回したら…簡単に扉が開いちゃったんですよ」
Dシェゾ「ほう…」
ラフィーナ「まあ…」
リデル「そしてその用具室の中にあったドラム缶の上に…無くなったはずの扉の鍵が置いてあったんですよ!」
シェゾ「誰かが鍵を開けてくれたんじゃないのか?」
リデル「いいえ…!私たちが職員室に行ってる間、屋上に居た人は誰一人としていなかったんです!」
シェゾ「なんだと…!?」
リデル「シェゾさん、間違えありません…この学校には…幽霊がいます!」
ラフィーナ「そんな…でもまさか…」
Dシェゾ「まさか本当に…」
シェゾ「おいリデル、ほんとにちゃんと見ていたのか?どうせ誰かが屋上に上がって鍵を開けんだろう?」
リデル「いいえ、先生も生徒も誰も上がってません、それに本当に幽霊がいたらまずいから今日はもう屋上には向かうなとテレビ局のディレクターさんも言ってましたし…階段を行き来してるのは先程到着したテレビ局の取材班の方達ぐらいですね…」
シェゾ「え?さっき学校に来た?」
リデル「別番組の撮影班の方達ですよ」
シェゾ「ちょっと待てよ…俺とラフィーナはずーっと学校の前に居たけど…誰も来てねえぞ…?」
アミティ「そんなわけないでしょ!幽霊じゃないんだし!」
ドラコ「そうだよ!後から来た人達はみんなここにいるよ!みんなしてすごい勢いでお弁当食べてるよ!」
アミティ「きっと見落としたか裏口から学校に入ったんじゃないかな?」
ドラコ「それじゃああたしもお腹ぺこぺこだから切るね!」
ブチ
シェゾ「あ、おい!うーん、絶対見落とすはずないんだけどな…」
ラフィーナ「私達が会ったのはこのDシェゾさんと高木刑事だけよね」
シェゾ「気になるな…ちょっと見に行くか…」
シェゾ「ほんとだ…撮影スタッフが3人増えてる…一体どういう事だ…?」
ラフィーナ「あら、ねえ…これ」
シェゾ「ん?これは…今日撮ったテレビ番組の台本か…はっ…!これは…!」
ラフィーナ「なにか気づいたの?」
シェゾ「ああ…ロケ地が急遽プリンプ魔導学校からここに変わってる…何故だ…?」
テレビ局の女性「あ、それは今朝ディレクターが急遽変更したの、まあロケではよくある事よ」
シェゾ「そうなのか…」
シェゾ「でもあの番組が用意したクイズなんで魔導学校でも出来るのに…なんでわざわざこの学校に変えたんだ…?」
シェゾ「あのヘリ…はっ…!そうか…!だとしたらロケ地が変わった事もスタッフが急に増えた理由も説明がつく…鍵がここにあった理由も!」
シェゾ「あとは人魂の正体だけだ…」
シェゾ「…!これは!タバコの吸い殻…やっぱりそうか…幽霊の正体が分かったぜ!だとしたらまずい!早く行かないと逃げられる…!この前あいつが忘れていったこれ…すまない借りるぜコナン!」
ディレクター「2班ともまとまって帰るぞー」
「はーい!」
テレビ局の女性「あれ?もう収録終わりですか?」
ディレクター「ああ、ロケ地を変えたおかげで仕事が早く片付いたよ…重そうな機材だな、手伝うよ」
撮影班の1人「ありがとうございます!」
ドラコの声「ちょっと待った!ディレクターさん!!」
ディレクター「…!?なんだ?」
ドラコの声「その荷物から手を離すんだ!」
アミティ「この声はドラコ!」
シェゾ「実は放送室のマイクに小型のスピーカーをはって、そこにこの変声器で変えた声を送ってる、もちろんドラコの声に変えてな…」
Dシェゾ「ん?あれは…シェゾ?あんなテーブルの下なんかに隠れて何してんだあいつ…しかも…よくよく見るとなんか喋ってねえか…?」
ディレクター「なんだ…?突然」
ドラコの声「俺はこの学校の幽霊の正体を見破った!!…じゃなくて…!あたしはこの学校の幽霊の正体を見破ったんだよ!!」
テレビ局の女性「ええ!?」
男子生徒「ほんとに!?」
ドラコの声「昨夜この学校の生徒に目撃された複数の人影の正体は、本物の人間だったんだ!」
アミティ「ええ!本物の?」
リデル「人間だったですか?」
ドラコの声「うん!そしてその人影と一緒に見た人魂の正体は、その中の1人が吸っていたタバコの火!屋上用具室にタバコの吸い殻が落ちていたよ」
テレビ局の女性「あら…」
ドラコの声「その人たちは屋上に上がったまま丸1日屋上に隠れていたんだ、職員室から持ち出した用具室の鍵を使って中に入ってね」
取材班のメンバー「ええ!?丸1日だって!?」
取材班のメンバー「ばかな!でも一体なんのためにそんな場所に…」
ドラコの声「それはその人達に特別な事情があったからだよ、今日は随分ヘリコプターが飛んでると思わない?そして街には警官の姿も…その理由を教えてあげて、高木刑事」
高木刑事「ああ…分かった、実は昨日からこの近所に…銀行強盗犯が逃げ込んでいるんだ!」
「!!!!」
ドラコの声「そう!逃走中の強盗犯は3人!そして突然増えた取材班も…3人!!」
Dシェゾ「シェゾはさっきからずっと何かを口に当てて喋っている…シェゾの持っているあれ…はっ…!あれは…!確か、あいつがいつも付けてる…それにこの放送のドラコの声とあのシェゾの喋り方、なんか連動してる気がする…だとしたら…このドラコの放送の声はあのシェゾが…!」
ドラコの声「その3人の逃走犯はこの学校へ逃げ込み、職員室に置いてある用具室の鍵を持ち出し、一旦用具室の中に身を潜めたものの、捜査が厳しすぎてこの学校の外に出られなくなり、いつも逃走を手助けするボスに応援を求めたんだ」
リデル「そのボスって、まさか…」
ドラコの声「そう、そのボスは…テレビ番組のディレクターさん…おじさんの事でしょ!?」
アミティ「ええー!?」
ドラコの声「手下の3人を安全な場所に逃がすために表の仕事である番組制作を利用して、急遽ロケ地をこの学校に変えて3人がテレビスタッフになりすませる道具も用意したんだ」
ディレクター「ば、馬鹿な…なんで私がそんな事をしなきゃならないんだ…?」
ドラコの声「違うと言い張るならそのカバンの中見せてよ!きっとそのカバンの中に、盗まれた現金が入っているはずだから…!」
ディレクター「!!」
高木刑事「さあ、どうなんだい?」
ディレクター「ちくしょー!上手くいくと思ったのにー!!」
高木刑事「よーし捕まえろー!!3人の手下もだー!!」
警官A「はい!!」
警官B「でも高木刑事!どの3人が手下なんでしょう!」
高木刑事「あっ…!」
ドラコ「ちょっと!なんであたしの声が放送で流れているの!?」
シェゾ「いい所に来たな、名探偵ドラコ!」
ドラコ「え!?」
シェゾ「みんなに誰か教えてくれ」
ドラコ「え、ああ…そいつらなら…こいつとこいつとこいつだ!!」
「なっ!?」
「わあああーーー!!!!」
高木刑事「よーし!捕まえたぞ!」
テレビ局の女性「これは前代未聞です!まさかうちのテレビ局のスタッフが銀行強盗のボスだったとは…そして、それを見抜いたのが…」
アミティ「お手柄だったね!ドラコ」
リデル「特に最後の3人を指さす所なんてバッチリでしたよ」
ドラコ「あーあれなんだけどね…あの時シェゾに聞かれたんだ!「弁当や飲み物を1番ガッついて食ってたやつは誰?」って!」
シェゾ「犯人は丸1日屋上に居たから腹がすいてると思って聞いてみたんだ、ドラコの食べ物に関する記憶力はホームズもびっくりだからな!」
アミティ「あはははは!そういう事ね!」
ラフィーナ「それじゃあ推理力じゃなくて食いしんぼう力ですわね!!」
ドラコ「なんだよそれー!!」
Dシェゾ「違う…あれはドラコの推理じゃない…全部シェゾがドラコの声で…それにあの変な道具だって…あれはあいつがいつも付けてる蝶ネクタイ…でもなんであいつが声を変えられる道具なんかを…ただの小学生の持ち物にしてはとても怪しすぎる…声を変えなきゃいけない訳でもあるのか…?江戸川コナン…ほんとに何者だ?」
終わり