アミティ「今日はみんなで美術館!!」


ラフィーナ「アミティさん、今日は呑気に遊びに来たんじゃないんですよ?」


アミティ「え、あ、うん!分かってるよ〜」


アルル「先日この美術館に怪盗キッドからの予告状が届いたんだ!」


シェゾ「そう、この美術館の大切な宝、幸せを呼ぶピンクトルマリン…それを今夜9時に頂戴する、とな」


園子「今夜キッド様に会えるのね〜!きゃーキッド様ー!!!」


ウィッチ「しかし幸せを呼ぶピンクトルマリン…まさか実物を見られる日が来ますとは…!」


りんご「はい!でも喜んでちゃダメですよ」


サタン「そうだ!それをキッドから守るために今回私らは呼ばれたんだぞ!」


レムレス「そうだね、みんな、1秒足りとも油断せずに…」


アミティ「もちろん!!」


アルル「あれー?ウィッチ、今日はホウキ持ってこなかったの?」


ウィッチ「え、ええ…キッドを捕まえる時キッドと戦うことになると思ってよ、その時に邪魔になると思いましたから…今日はホウキはなし!」


サタン「なるほどな…」


ラフィーナ「キッドと戦うことになるだろうっての分かりますわ!私も…常日頃鍛えてるこのビューティフルな美脚を使った超パワフルな格闘技で…怪盗キッドを絶対にコテンパンにしてやりますわ!!」


アルル「ラフィーナ…気持ちは分かるけどまあ程々にね…」


館長「こんばんわ、わたしがこの美術館の館長です」


レムレス「あ、どうも…」


ラフィーナ「館長さん!今夜は私共がこの幸せを呼ぶピンクトルマリンをキッドの魔の手から守ってみせますわ!」


アミティ「はい!幸せを呼ぶピンクトルマリンを守って更に怪盗キッドも捕まえちゃいます!そうすればこの美術館の平和も守られてキッドもいなくなるし一石二鳥!!」


アルル「そうですよ!僕たちみんなで挑めば怪盗キッドなんて!」


シェゾ「いや、やつを甘く見るな」


レムレス「そうだよ!前のあの時の事覚えてるだろ?」


りんご「まあ、あれは…その…」


アミティ「まあなんとかなるって!」


シェゾ「そう簡単に何とかなってたら苦労してないから!」


館長「あははは…まあ確かにその通り…キッドはどんな手を使ってくるか分かりません…皆さん油断せずにお願いします」


アミティ「はーい!」


館長「今夜皆さんに守っていただきたい幸せを呼ぶピンクトルマリンはこちらになります」


レムレス「おお!」


アミティ「すごーい!」


アルル「綺麗だね…」


ラフィーナ「こんなに綺麗な宝石…キッドが盗みたくなる気持ちもよく分かりますわね!」


シェゾ「おいおい…」


ウィッチ「あ、そういえば…館長さん」


館長「はい、なんでしょうか」


ウィッチ「先程…この美術館の入口で…怪しい人を見かけましたわ…」


館長「怪しい人…?」


ウィッチ「ええ、フード付きの黒いの服を着ていてフードを被っていて…サングラスとマスクも付けていましたわ」


ラフィーナ「うわ…なんですのよ…そのThe不審者って感じの格好は…」


サタン「な…明らかに怪しすぎだろ…」


アルル「でもそんな人いた…?」


ウィッチ「この人…恐らくキッドですわよ!ささ!館長!ちょっと見てきてくださいな!!」


館長「そうですね…さすがにそれは怪しすぎますね、ちょっと様子を見てきますね」


ウィッチ「はーいお願いします!」


アミティ「このピンクトルマリンをあたし達みんなでずっと見てればキッドも来れないね!」


シェゾ「いや、相手はあのキッドだ…そんなこと言って気を抜いて油断してるなよ」


アミティ「わ…!わかってるよ…」


園子「はあ…キッド様…早く現れないかしら…」


レムレス「もうそろそろキッドが来る時間の9時だね」


ラフィーナ「そうですわね!さあ怪盗キッド!どこからでも来い!ですわ!」


ウィッチ「あら…?よくよく見るとこのピンクトルマリン…ああー!!!!」


アルル「え!?何!?」


シェゾ「ウィッチ!?いきなりどうした!?」


ウィッチ「大変…大変ですわよ!!このピンクトルマリン…偽物ですわ!!」


アミティ「え、ええー!?」


アルル「嘘!偽物なの!?」


りんご「まさか…それじゃあもう本物のピンクトルマリンは…」


ウィッチ「ええ…恐らく本物の幸せを呼ぶピンクトルマリンはキッドがもう既に持ち出して…」


ラフィーナ「ということは…キッドがまだこの館内に隠れてるかもしれませんわ!!」


りんご「そうですね!何はともあれみんなでキッドを探しましょう!!」


アミティ「おー!!!」


アルル「怪盗キッド!今回こそは絶対に…!!」


サタン「探すぞ〜!!」


園子「キッド様!いらしてたなら教えてくれれば迎えに行ったのに…!あーん!キッド様ー!!」




ウィッチ「うっふふふふ…ありがとうな、毎回騙されてくれて!」


サタン「なーんてな」


ウィッチ「…は?」


サタン「探すぞ〜!なんて言って…ほんとに探しに行くとでも思ったか?なぜなら…我々の探している人物はもう既に目の前にいるのだからな…」


シェゾ「そうだ、その手はもう通用しないんだよ」


レムレス「そうだね…さすがに毎回これはちょっと甘すぎるんじゃない?」


ウィッチ「お、お前ら…また…じゃなくて!おほほほほ、一体なんの事かしら〜??」


シェゾ「お前がウィッチじゃないことぐらい最初から分かってたんだよ!今日店を出た時…ウィッチは…ちゃんとホウキを持っていた!」


サタン「その通りだ、私はお前がホウキをうっかり落としたのを見て、何してんだって思ったのを覚えているからな」


ウィッチ「それは…見間違えじゃありませんのー?」


レムレス「この幸せを呼ぶピンクトルマリンは偽物なんかじゃない!これは本物なんだよね?」


ウィッチ「え、いや!これは偽物よ偽物!本物のピンクトルマリンはキッドが既に持ち出して偽物とすり替えて…」


シェゾ「まず、お前は怪しい人が居たと館長に嘘をついて、館長がこの場からいなくなるように仕向けた、その理由はそう…この宝石が本物だと分かる人物が邪魔だったから…」


サタン「偽物って言ってるのにこれは違う本物で合ってる、なんて言われたらもうどうにもならないもんな」


ウィッチ「ち、違いますわ!正義のウィッチさんは嘘なんかつきませんわ!!」


レムレス「じゃあその宝石のどこが偽物なのか教えてよ」


ウィッチ「えっ…」


シェゾ「その宝石は偽物なんだろ?だったら本物と比べてどこがどう違うのか言ってみろよ」


レムレス「そうだよね、そんな急にどこが偽物かだなんて…思いつかないよね…だってそれは正真正銘の本物のピンクトルマリン…偽物じゃないんだから!」


シェゾ「その宝石は本物なんだから、偽物の要素なんてあるわけがないよな」


サタン「そうだそうだ!観念しろ!怪盗キッド!」


ウィッチ「くっ…やっぱりあんたらにだけは敵わないな」


シェゾ「さあ…正体を見破られた以上…今回ばかりはもう観念した方がいいんじゃないか?」


サタン「そうだ!今回こそは絶対に逃がさないぞ!」


怪盗キッド「そうか…絶対に逃がさないのか??」


サタン「…は?」


レムレス「そんな事言って油断させようとしても…」


怪盗キッド「はあ…喰らえ…」


シェゾ「その煙玉を投げてくるのも計算済みだ!アレイアード!」


怪盗キッド「なっ!?」


レムレス「毎回同じ手が通じると思わないでくれるかな!」


怪盗キッド「じゃあこの帽子の中を見てください」


サタン「は?帽子?」


怪盗キッド「そう、この帽子…中には何も入ってませんよね?」


シェゾ「その帽子からなにか来るぞ!」


サタン「ああ…構えろ!」


怪盗キッド「…と、見せかけて…!煙玉を喰らえ!!」


レムレス「なっ…!」


シェゾ「…しまった!!」


怪盗キッド「はーははは!!!騙されたな!このような展開は計算済みではなかったようだな!」


サタン「くそー!何も見えん!キッド!」


怪盗キッド「幸せを呼ぶピンクトルマリンは頂いていく!あばよ!兄ちゃん達!」


シェゾ「まて!」


レムレス「行っちゃった…」


ラフィーナ「なにかすごい音がしましたけど大丈夫ですの!?」


アルル「それに何?このすごい煙たい感じ…」


サタン「ああ…たった今キッドが現れた」


園子「えー!キッド様来たのー!?」


アミティ「え!?キッドはこの館内に隠れてたんじゃ…」


レムレス「それに…宝石も盗まれてしまったよ…」


アルル「ええ…そんな、宝石が…?」


アミティ「でもあの宝石って偽物だったって言ってたじゃん!て事はキッドは偽物の宝石を持っていったってことになるんじゃないの?いいじゃん!」


りんご「皆さんー!トイレの個室にウィッチが眠ってたのを見つけました!」


アミティ「あれ?ウィッチ!もしかしてキッドが見つからなくて退屈でトイレで寝ちゃってたの?」


シェゾ「違う…ウィッチがトイレにいた理由はひとつしかない…」


アルル「…まさか…さっきまでのウィッチは…」


レムレス「そう…さっきまでのウィッチの正体…それこそ怪盗キッド…」


ラフィーナ「やっぱり…それじゃあほうきを持っていなかったのは彼女がウィッチさん本人ではなく、怪盗キッドだったから…」


園子「なんでキッド様が来た時教えてくれなかったのよ!!」


サタン「でもそれよりキッドを逃がした上、宝石も盗まれてしまったし…」


ラフィーナ「なるほど…キッドはウィッチさんに変装してこの中に紛れ込み、入口に不審者が居たと嘘をついて館長をその場から遠ざけた…」


りんご「あの宝石は実は本物だったから、あれが本物と分かる館長が邪魔だったから!ということですか?」


シェゾ「全てその通りだ」


アルル「なるほど…でも、まさかあのウィッチが怪盗キッドだったとは…全然気づかなかったよ…」


アミティ「ウィッチが宝石が偽物だって言った時あたしも普通に信じちゃって、まだこの館内にキッドが隠れてると思ったからつい…」


アルル「でもそっか…怪盗キッド逃がしちゃったか…」


シェゾ「…いいや、まだ逃がしてない」


ラフィーナ「え?どういう事ですの?」


シェゾ「呼んであるんだ、もう1人…」




怪盗キッド「あいつらは相変わらずちょろすぎるな!今回はこの俺の勝ちだ!それではさっさとこの宝石を持ってお暇させてもらおうか…」


???「ちょろすぎるだと…?そうか、だいぶ甘く見られているようだな」


怪盗キッド「なっ…!誰だ!?」


Dシェゾ「勝手に自分の勝利を決めつけて…俺らは相当お前に甘く見られてるんだな」


怪盗キッド「あれ!あんた…なんでここに!?さっき下にいたろ!」


Dシェゾ「あいつをよく見たか?よくよく見ると別人だ」


怪盗キッド「あっ、ほんとだ…でも前にも同じようなことを…そうか、あの兄ちゃんやっぱり双子だったのか…」


Dシェゾ「幸せを呼ぶピンクトルマリンは渡さない」


怪盗キッド「あんたこそ俺を甘く見るなよ、なんたって怪盗キッドなんだからな!はっ!!は!」


Dシェゾ「その程度の攻撃、この剣で…!はっ!やっ!」


怪盗キッド「なに!俺のトランプ攻撃をあの剣で…それにあの剣さばき、流石だ…」


Dシェゾ「まさか怪盗さんに俺の剣さばき関心されるとはな!俺も腕を上げたもんだ!…はああー!!!」


怪盗キッド「え、ちょ…まっ…!!!」


スパーン!!!


怪盗キッド「…!」


Dシェゾ「…!?お前…」


怪盗キッド「…」


Dシェゾ「その顔…」


怪盗キッド「…おっと、今回の勝負はここまでしようか」


Dシェゾ「なに…?」


怪盗キッド「もちろんこの勝負は今回は俺の負けでいいから!それじゃあな!また会おう!幸せを呼ぶピンクトルマリンも返してやるから!」


Dシェゾ「待ってくれ…」


怪盗キッド「え、あ、ちょ!」


Dシェゾ「まだお前を逃がす訳には行かない…」


怪盗キッド「おいおい、盗んだ宝石はちゃんと返したろ?だったらもう俺を引き止める理由は無いよな?」


Dシェゾ「…なぜこの宝石を盗もうとしたんだ?」


怪盗キッド「え、なんで?」


Dシェゾ「なんでこれを盗もうとしたのかを聞いている…!」


怪盗キッド「なぜお前がそんなこと…知ってどうする気なんだ?」


Dシェゾ「教えてくれよ…」


怪盗キッド「…幸せを呼ぶ宝石なんだろ?そいつは持っていれば幸せになれる…そう思ったから…」


Dシェゾ「幸せが欲しいのか?」


怪盗キッド「はん…ばーろ、このようにいつもいつも盗みを犯してるやつになんか…こんなもの持ってても幸せなんか手に入らねえよ…」


Dシェゾ「お前は…今幸せじゃねえのか…?」


怪盗キッド「…幸せだったらこんな事してないんじゃないか?俺だって…出来るなら…こんな事…」


アミティ「Dシェゾー!!」


怪盗キッド「今日はもうお前に話す事はねえな、それではまた…」


Dシェゾ「あ、おい…!」


シェゾ「おい大丈夫か!?」


館長「皆さんからお話は聞きました!キッドが現れたと…」


ラフィーナ「Dシェゾさん!キッドは!?」


Dシェゾ「キッドは逃げちまった…」


レムレス「あら…そっか…」


サタン「やっぱり逃げたか…」


アミティ「あれ、Dシェゾの頭の上に乗ってるの…幸せを呼ぶピンクトルマリンじゃない?」


アルル「あ、ほんとだ!返してもらったんだ」


Dシェゾ「え、あ、ああ…そうだな…」


ラフィーナ「それじゃあ無事に宝石は守れたって事になるのね!良かったわ!」


園子「ねえあなた!キッド様に会ったの!?」


Dシェゾ「え、ああ…会ったよ」


園子「えー!ほんとにー!?いいなー!!」


館長「私もあのような嘘にまんまと騙されて…あの金髪の青い帽子のお嬢さんがキッドでしたか…」


アミティ「キッドは逃がしちゃったけど、でも宝石は守れたんだし良かったんじゃないかな?」


アルル「そ、そうだよ!キッドはまた今度捕まえればいい!それまでにまたどうしたらキッドを捕まれられるか考えよ!ね?」


ラフィーナ「そうですわね!」


Dシェゾ「しかしあいつの顔…なんかどこかで…」




アミティ「はいお待たせしました!春色パフェ2つです!」


蘭「ありがとーう!!」


園子「それでね!あたしは結局キッド様に会えなかったのよ…」


蘭「そっか…それは残念だったね…」


園子「そういえばさ!最近新一くんからなにか連絡あった?」


蘭「新一?あー、そうね…そう言われてみれば最近はそんなに連絡来ないわね…」




Dシェゾ「新一…そいつはもしや…工藤新一か…?…でもあいつって…確か…」


蘭「え?お兄さんどうしたの?」


園子「そうよ!あたしらの方見て急に固まって…」


Dシェゾ「え、あ、いや、なにも…」


蘭「体調でも悪いんですか?」


Dシェゾ「体調など悪くは無い!…最近は…だけど…」


園子「そう…?でも最近あなた、少し悩ましげで何かに困ってるように見えるから…その…大丈夫かなって…」


Dシェゾ「今は大丈夫だ!もう腰が痛いとかそういうのはもう最近はあまりないぞ!!」


園子「腰が痛い…?別にそんな事言ってないけど…まあ、無理はしないで!」




Dシェゾ「工藤新一は死んだと言う話を聞いた事がある…」


リデル「あの…」


Dシェゾ「でも待てよ、工藤新一は死んだはずなのに…それなのに蘭、新一からの連絡が最近来ないだと?」


リデル「Dシェゾさん…?」


Dシェゾ「それに怪盗キッドの素顔も…すごく工藤新一の顔に似てる気がするけど…まさか工藤新一は実は生きていて、何らかの理由で怪盗キッドになっていて、工藤新一として生きていることを隠している…とか?…ありえんでもないな…」


リデル「Dシェゾさん!!」


Dシェゾ「うわあ!?!?」


リデル「どうしたんですか?さっきから…どこか調子でも悪いんですか?」


アミティ「そうだよ!Dシェゾ最近変だよ?また腰が痛いの…?」


ラフィーナ「そうよ…そんなに続くようなら病院行きます??」


アルル「今も辛いの?だったら休む?」


Dシェゾ「体調は大丈夫だ、すまんな心配かけて」


アルル「え?Dシェゾ?」


ラフィーナ「待って!どうしたのよ!」




Dシェゾ「すまんな心配かけて…まあでも言えないよな…工藤新一と怪盗キッドの事が気になって仕方がなくて考えてる、だなんて…俺らしくねえな…」


シェゾ「…」


レムレス「シェゾ…」


シェゾ「ああ、あいつの話を聞いてやれるのは…あいつしかいねえな…」




おわり