レムレス「朝礼は以上!さあ、今日もみんなに美味しい料理を提供しよう!」


アミティ「はーい!」


シグ「はーい」


レムレス「そこで…Dシェゾ」


Dシェゾ「あ、ああ…」


レムレス「うちのお店の仕事には、買い出し当番って役割もあるんだ」


Dシェゾ「買い出し?」


レムレス「それをちょっと覚えて貰いたいから…買い出し当番をやってみて体験してもらってもいいかな?」


Dシェゾ「そ、そうだな…やらないと覚えられないからな」


レムレス「そうだね!それじゃあ誰かもう1人…」


Dシェゾ「…!いや、俺1人で大丈夫だ!俺は1人でも出来る…」


レムレス「ええ…本当に大丈夫?」


Dシェゾ「1人でやってみて自力で仕事を覚えるのも大事だろ…?」


レムレス「自力で覚えるか…うーん、まあそうだね、大事っちゃ大事だね」


アミティ「1人で大丈夫?あたしだったら初めての事は1人じゃ不安だけど…」


Dシェゾ「やってみる、大丈夫だ」


レムレス「そう?それじゃあ、今日の買い出しリストはこれだよ」


Dシェゾ「分かった、行ってくる」


シェゾ「1人でほんとに大丈夫なのか?」


Dシェゾ「大丈夫だ…絶対大丈夫」


ラフィーナ「大丈夫なら無理に止めないけど…無理しないでくださいね?」




Dシェゾ「…1人で自力で覚えて俺もやれば出来るんだって事を証明したくてあんな事言っちまったが…何であんなこと言ったんだろうか…本当は1人じゃ不安なのに…」




アミティ「モンブランお待たせしましたー!」


エコロ「わーい!ありがとう!」




アルル「さーて!洗い物しよ!」


ラフィーナ「そうね!」


シェゾ「…」


アミティ「シェゾ?どうしたの?」


レムレス「Dシェゾのことが心配?」


シェゾ「あ、ああ…あいつ、1人で自力でやってみる頑張るとか言ってたけど…ほんとに大丈夫かどうか心配で…」


ラフィーナ「そうよね…なんで1人で頑張るだなんて言ったのかしらね…」


アルル「なんか…シェゾに似てプライド高い所あるよね!」


シェゾ「俺の分身なんだから当たり前だろ!」


アミティ「いやーでもそうだね、ほんとにシェゾそっくり!あはははは!」


シェゾ「まあ多分だが…自力で覚えてちゃんとやれる事を証明したいとかそんな感じだろ」


レムレス「なるほどね…まあその気持ちは偉いけど…でもそんな無理しなくなっていいのにね…」


アルル「なんか不安になってきたな…だって彼最近人間になったようなもんだし…」


レムレス「…でも自分でちゃんと1人で覚えたいって言ったのはほんとに偉いと思う、本人がそうしたいって言ったんだ、Dシェゾを信じよう」


シェゾ「そ、そうだな、信じる事も大事だしな…」




Dシェゾ「ええっと、みかんにいちごに…りんご??とは?なんなんだこれは」




Dシェゾ「とりあえずここに入ってみるか」


書店の店員さん「いらっしゃいませー!薬局のひとりごと新刊でましたよー!6つの魔剣が支配されるの新刊も…」


Dシェゾ「あ、あの…」


書店の店員さん「はい!なんの本をお探しですか?」


Dシェゾ「みかんといちごとりんごください」


書店の店員さん「…はい?」


Dシェゾ「だから、みかんといちごとりんごを」


書店の店員さん「ここは本屋なんだからそんなの売ってるわけないでしょ!!」




Dシェゾ「売ってないのかそうか…それじゃあこの店は」




化粧品店の店員さん「いらっしゃいませ〜新しい新作の香水が出ましたよ〜良かったらテスターどうですか〜?」


Dシェゾ「すみません」


化粧品店の店員さん「はい!いらっしゃいませかっこいいお兄さん!この新作の香水、彼女へのプレゼントにぜひどうですか?」


Dシェゾ「かのじょ?なんだそれは…まあいい、みかんといちごとりんごください」


化粧品店の店員さん「ええっと、みかんといちごとりんご?ああ…フルーツ系の香りの香水お求めなのかしら?それなら…この香水なんていかがかしら?フルーツの香りの香水でみかんといちごとりんごの甘酸っぱい匂いから優しいお花の匂いに変わりますわよ」


Dシェゾ「これでいいのか…??それじゃあ、それで…」


化粧品店の店員さん「はい〜毎度!って!足りないじゃない!!」


Dシェゾ「足りない…?ええっと…何がですか?」


化粧品店の店員さん「お金よお金!うちのお店に来てそれしか持ってこないって…なめてるの!?」




Dシェゾ「はあ…全然ダメだ…もうよく分からない…ほんとはダメだとわかっていたのに何故か自力で覚えるだなんて言っちまって…はあ…俺はこの世界で本当にやって行けるのか…?」


灰原「…」


Dシェゾ「…ん?あいつ、どこかで…」


灰原「あの人は…確か、でもなんか雰囲気違う…」


Dシェゾ「思い出した、お前はいつもハムエッグサンドイッチ食べてる…」


灰原「どうしたの?イメチェンでもしたの?」


Dシェゾ「あ、そうか…俺があいつとは別人だって気づいてない?まあ、そうか、気づくわけないか」


灰原「ええ?どういう事?」


Dシェゾ「おれは、もう1人のシェゾ、あいつとは別人だ」


灰原「別人!?え、双子だったの??」


Dシェゾ「あ、いや、そうでは無いが…まあそんな感じになるのか…?」


灰原「まあ…いいわ、それより何か困ってるみたいだけど…どうかしたの?」


Dシェゾ「あ、いや…おれ、おつかい?とやらをやっていてな、これらを探してるんだ」


灰原「みかんといちごとりんご…ああ、そんなの簡単よ、そこのスーパーに行けば…」




灰原「これがみかん、これがりんご、これがいちご」


Dシェゾ「これがそうなのか?」


灰原「そうよ」


Dシェゾ「そうなのか…すまんな、最近人間になったようなもんだから…」


灰原「どーゆうきっかけがあるのか、気になるわね」


Dシェゾ「あ、いや…それより!これどうするんだ?」


灰原「それを持ってそのレジに行くの」


店員さん「600円です」


Dシェゾ「ええっと?」


灰原「お金を出すの、なにか預かってきてない??」


Dシェゾ「金…これ…か?」


灰原「そう、ええっと、1000円預かってきてるのね、それじゃあそれを出して400円お釣りを貰って」


Dシェゾ「ああ、じゃあはい、これお願いします」


店員さん「はーい!400円お返しです!ありがとうございました!」




灰原「これでおつかいは終了、さ、これで買い出しの仕事は終わりよ」


Dシェゾ「ああ、助かった、礼を言う」


灰原「でも、なんで何も分からないのに1人で来たの?」


Dシェゾ「自力で仕事を覚えてちゃんとやれることを証明したかったんだ…無理なことはわかっていたけど、でもそれでも…」


灰原「あのね…別にわからないのは恥ずかしい事でもなんでもないのよ?私にだって分からないことは沢山あるし…自力で覚えようとしたのは偉いかもしれないけど、分からないことは素直に聞くことも仕事のひとつだと思うわ」


Dシェゾ「分からないことは恥ずかしい事じゃない…か」


灰原「そう、わからない事はちゃんと聞いて覚えてそれをちゃんと学んで活かしていかないと…他のみんなもあなたが何が分からないのかをちゃんと把握して、それを分かった上であなたにできる仕事を考えるのだから…自分の弱みはちゃんと見せてあげないと…ね?」


Dシェゾ「そうか、無理に強がらなくてもいいってこと、か?」


灰原「そういうこと、分からないのにわかる気でいたら向こうもほんとに分かってるんだなちゃんとできるんだなってなっちゃって、でも実は本当は分からない事は伝わらないから…ね?」


Dシェゾ「…お前、ただの子供じゃないな」


灰原「…え?」


Dシェゾ「その見た目にすっかり騙されたが…今の発言でよく分かった、お前は子供じゃない…そうだろ?」


灰原「…いや、ただの社会の常識を知ってる小学生…灰原哀よ」


Dシェゾ「灰原哀…それがお前の名前か…」


灰原「さあ、時間がかかると他のみんなが心配するわよ、早くそれを持ってお店に戻りなさい」


Dシェゾ「ああ、そうだな…礼を言うぞ、灰原哀」




Dシェゾ「戻ったぞ」


アミティ「おかえりー!!」


レムレス「大丈夫だった??」


Dシェゾ「これでいいのか?」


レムレス「みかんにいちごにりんご…うん!合ってる!すごい!おつかいが出来ればもう大丈夫だよ!」


アミティ「すごいじゃん!!助っ人いなくても1人で買ってこれたじゃん!」


ラフィーナ「さすがね…」


Dシェゾ「あ、いや、これは…俺1人じゃ…」


レムレス「今度からもっと色々頼むね!でも初の買い出し1人でちゃんと行ってこれたから大丈夫でしょ!」


アルル「うんうん!大丈夫そうだね!」


ラフィーナ「期待してますわよ」


Dシェゾ「え、あ、ああ…そうだな…」




シェゾ「今日はお疲れだったな、ほら、おれの手作りのカフェオーレだ」


Dシェゾ「ああ、礼を言う…」


シェゾ「この世界の夜空…綺麗だろ?」


Dシェゾ「そうだな…あのな、実は…」


シェゾ「分かってる、さっきのおつかいは自分1人で出来たわけじゃないんだろ?」


Dシェゾ「なぜそれを…」


シェゾ「戻ってきたお前の様子を見れば一目瞭然だ」


Dシェゾ「…自分1人で解決出来たわけじゃないのに、俺1人の手柄のようにして…ほんとにダメな人間だよな、俺」


シェゾ「そんな事ない、1人で頑張ろうとしてすごいと思ったぜ」


Dシェゾ「でも、それはだな」


シェゾ「でも確かに、分からないことはちゃんと分からないって言ってくれた方が助かる、分からない事は全然恥ずかしい事じゃないから大丈夫だ、聞くことは悪い事じゃない」


Dシェゾ「…あいつも同じことを言ってたな…あいつ初対面なのにすごく優しかった」


シェゾ「あの天才少女に会ったのか?」


Dシェゾ「よく分かったな…あいつ…見た目はすっかり小学生だから騙されたが…あいつただの子供じゃないんだろ?」


シェゾ「…いや、ただの天才小学生だ」


Dシェゾ「…そうか、俺はいい人達が沢山いる世界に転生出来て幸せなのかもな」


シェゾ「幸せ…か」




レムレス「今日も買い出し行ってみる?」


Dシェゾ「そうだな…でも昨日はたまたま出来たが…ちょっと不安だから誰かにもう一度おさらい的な感じで見に来て欲しい」


レムレス「うんうん!分かったよ!シェゾ、行ける?」


シェゾ「もちろんだ」


Dシェゾ「礼を言うぞ」


シェゾ「少しずつこの世界に慣れてきたな、それなら大丈夫だ」




灰原「彼…いい顔してるじゃない」


光彦「灰原さん、なんか機嫌いいですね」


元太「大好物のハムエッグサンドイッチ食べれてるからじゃないか??」


コナン「でもこれで4つめ…お前よく食うな…」




おわり


今回の主役

Dシェゾ