数あるブログの中から閲覧ありがとうございます。
こちらのブログは
ワールドネバーランドエルネア王国の日々をプレイし、それをもとに書いています。
プレイした際のスクショをもとに書いておりますが創作(妄想)も多くございます。
創作話が苦手な方は閲覧お控え下さい。
「……今日なのか」
懐妊していることは知ってはいたが今日だったとは。
チレーナ・ミラーは今まで感じたことのないほど緊張した朝を迎えていた。
夕刻
王立闘技場にはスピカの姿があった。
今日出産であればこの時間は痛みがきて動くのも辛いはずなのにスピカは顔色一つ変えず……チレーナと同じくらい、もしかしたらチレーナ以上に緊張しているように見えた。
チレーナはバグウェルに勝利し、龍騎士になった。
゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――
この国では龍騎士が誕生すると、酒場でお祝いをする……
山岳兵団のバルナバ兵団長が龍騎士になった頃から自然と武術職が集まり龍騎士と互いの健闘を称えあった。
この日も酒場に集まった武術職はチレーナの勝利を祝っていた。
誰が決めたわけではないが、バルナバが龍騎士になった時、近衛騎士隊の隊長リリー、魔銃師会の魔銃導師ティアゴがそれぞれお祝いの言葉を言ったことからそれも恒例となっている。
それが一度途絶えたのはセシリア・ラウルが龍騎士になった時。身内が危篤となったためセシリアは祝いの席を遠慮していた。
チェロ
「チレーナ兵団長、おめでとうございます!」
ローゼル近衛騎士隊隊長として、チェロは酒場にやってきてお祝いの言葉を送った。
チレーナ
「ありがとうございます」
酒場の扉が開き、深紅の制服を着た男性数人が入ってきた。ガルフィン魔銃師会だ。
魔銃師会筆頭魔銃師のフョードルは帽子を取るとチレーナに向かって丁寧に一礼する。
「チレーナ兵団長、護り龍との戦い見事でございました。龍騎士の誕生をガルフィン魔銃師会も嬉しく思います。おめでとうございます」
チレーナ
「ありがとうございます」
フョードル
「本来なら、魔銃導師がお祝いを申し上げるべきなのですが、諸事情により来ることが出来ず……こちらの品は魔銃導師からとなります。どうぞ皆様で飲んで下さい」
ウィアラと魔銃師会のメンバーが酒場にいる人々に酒の入ったグラスや酒瓶を持って各テーブルに置いていった。
スピカがこれない理由は最初から皆分かっている。
この瞬間にも迫っている出産の痛みに耐えていることが想像できる。
チレーナ
「……本当にありがとうございます。魔銃導師によろしくお伝えください」
この場にスピカもいて共に祝い健闘を称え合うことができたらどれだけ良かったか。
だがチレーナは分かっていた。
出産がなかったとしても、スピカはこの場にはこなかっただろう。
きたとしても魔銃導師としての責務でフョードルが言ったような台詞だけを言ってすぐに退出するだろう。
それがなぜなのかうまく言葉にはできない。でもチレーナはそう感じていた。
チレーナ
(一番祝って貰いたかった人が、
この場にいない……)
スピカからと振る舞われた酒が入ったグラスを傾ける。
甘さ控えめでサッパリとした飲みやすい異国の酒。
「………」
チレーナも好む味だった。
チレーナの周りにわらわらと人が集まり祝いの言葉がかけられる。
ウィアラの酒場は遅くまで龍騎士の誕生を祝って多くの人で賑わっていた。
夜2刻
夫のアモスは疲れた果ててベッドの上で気絶したように深い眠りに落ちている。
アモスは神官としてエルネア杯を進行や色んなことを担っている。その重責がなくなった今夜は、娘も産まれてホッとしていることだろう。
スピカは螺旋階段を降りて、下に降りると転移石を使った。
転移した場所はドルム山。
イマノルに教えてもらったこの場所は、星がよく見える場所で、成人した頃はしょっちゅうここでチレーナと会い、彼の作るピッツァを食べながら星空を眺めていた。
もうここにはこないと決めていたのに。
ここにいることを誰にも悟られたくはない。
チレーナは今日はきっと朝になるようなギリギリの時間まで酒場で飲まされているだろう。
空を見上げる。
いつもなら満点の星空が見えるのだが白夜のこの日は明るくて星空を見ることは出来ない。
ーー私はずっとこの日を待っていた
彼が龍騎士になるこの日を誰よりも望んでいた。
「………おめでとう、チレーナ君」
スピカにとって、チレーナは昔抱いていた感情とは別のものを抱いている。
最愛の存在とはまた違う、それでも大切な人には違いない。
一緒に居られるなくても、彼が生きているだけで良かった。
彼が幸せで過ごせているならそれでいい。
彼の幸せが自分の幸せだった。
「ありがとう」
背後から声がしてスピカは目を瞬かせた。
返事がくるはずがないし、返事がきてはいけなかったのに。
「………どうして」
振り返ると、龍騎士装束に身を包んだチレーナの姿があった。
チレーナ
「明日の仕事に支障がでるからって解散にした。この場所にもきたかったし」
チレーナはゆっくりと歩いてスピカの横に立った。
チレーナ
「もうここには来てくれないのかと思ったよ」
スピカ
「……チレーナ君は来てたの?」
チレーナ
「たまにね。ここは大切な場所だから」
スピカ
「そっか……」
チレーナ
「…出産おめでとう。身体はもう大丈夫なの?」
スピカ
「ありがとう……ここにくるくらいなら平気。気分転換にもなるから」
サァァっと涼しい風が吹いた。
チレーナ
「良かった、今夜こうして会えて。スピカちゃんに伝えたいことがあるんだ」
スピカ
「伝えたいこと?」
チレーナ
「俺……子供の頃は鍛錬は探索もあまり好きじゃなかったんだ」
スピカ「そう、なの?」
スピカがチレーナと過ごしてきた間、チレーナはよく探索にもいくし鍛錬も頑張っていた。記憶違いかなとスピカは怪訝に思う。
チレーナ
「スピカちゃんと出会ってから、
スピカちゃんを守りたいって思ったから苦手な鍛錬も、探索も頑張れた。
スピカちゃんがいたから俺は強くなれた。
龍騎士になれたのはスピカちゃんのおかげだ。
ありがとう」
感謝の言葉を述べたチレーナは優しく微笑んだ。
チレーナの言葉がスピカの胸に切なく染み渡った。
魔銃兵になろうと志願して懸命に探索し、魔銃兵になってからも上位争いで毎日必死にダンジョンに行っていたあの日々が報われたような気がした。
ーーほんとうに。
チレーナ君はズルい……
彼は何事にも一生懸命で、真っ直ぐで、とっても優しくて……とても遠い人になってしまった。
スピカ
「全部……チレーナ君が努力したからだよ。私はなにも………」
スッと視線を横に向ける。
チレーナ
「そうだ、お腹すいてない?」
ガサガサと鞄から出されたものは、2人にとっては定番のピッツァ。
スピカ
「………食べる」
辺りに美味しそうなピッツァの香りが漂う。
チレーナは嬉しそうにピッツァをスピカに渡してきた。2人で星空が見えない明るい空を見上げながらピッツァを頬張る。
スピカ「…おいしい」
そういえば。
チレーナお手製のピッツァは数年食べていない。
彼の作るピッツァはいつも食べるピッツァより格段に美味しかった。
チレーナ「それは良かった」
スピカ
「酒場でもたらふく飲んで食べてきたんだよね?そんなに食べて大丈夫?太っちゃうよ……」
チレーナ
「う……あ、明日死ぬ気でドルム山を走るよ…」
視線を自分のウエストに向け体型を気にする様子を見てスピカは笑った。
2人の白夜の夜はこうして過ぎていった。
この手に守られるのは私であってほしかった
その手に守られるのは私であってほしかった
あとがき
これからは共に国を守る仲間として。
チレーナ、スピカの話は2人のエルネア杯での戦いで一旦終わります。
一旦と書いたのは小さな話を今後挟む予定ですが本当に小さなエピソードです。
山岳長子でも王太女が相手じゃなければ王女と結婚できるんじゃない?
とろくに調べもせずにプレイして仲人してしまった結果、成人してから告白することもできず、ずっと寄り添っていたチレーナとスピカ。
本当にごめんなさい。
今でもプレイ中に仲良くしているところを見ると
この2人が夫婦になれたらどれだけ仲睦まじかったのだろうと思うと辛く思うことがあります。
このあとさらに2人にはごめんなさい案件があります。
私も迷ったんです。
散々こんな風に書いたし、
プレイ中もめちゃくちゃ悩んだんです。
それがどういうことかのか
検証した記事やらストーリー中にすでに出てきていることなのでお察しの方もいると思います。
私の残りの実績とか……
いやー……本当にこの2人はどうにかしてあげたかった。
違う世界ではこの2人のパスポートで2人一緒の世界線をプレイしたい。
でもね
例えパスポートでいれても
この2人じゃないんだな、って思うところがあるから本当の救いにはならない……とそんな風にも思うのです。
そう思うのも辛いから今流行りの?異世界転生な感じに思えばいいのかな。
辛い現実から目を背けたいから人は転生を望むのでしょうか。