任天堂Switch版エルネア王国をもとに書いています。
数あるブログの中から閲覧ありがとうございます。
こちらのブログは
ワールドネバーランドエルネア王国の日々をプレイし、それをもとに書いています。
普段はプレイした際のスクショをもとに書いておりますが創作(妄想)も多くございます。
今回は完全創作話となっています。
エルネアの世界観を大切にしておりますが、多少損なっているかもしれません。
予めご了承ください。
創作話が苦手な方は閲覧お控え下さい。
登場人物紹介
◯女王暗殺未遂という罪。
神官アモスにとある嫌疑がかけられている。
「女王暗殺未遂」
状況的にアモスが犯人である可能性が高いのだが
物的証拠はなくアモス本人は否定。
王配のレドリーはこの状況を快く思わず行動に移そうとする。
その話を聞いていた人物がいた……
゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――
春風が吹くエルネア王国。
滝の前は爽やかな空気に癒されながら、神官服を着た男は1人佇んでいた。
滝の音だけが聞こえる静寂の中で考えごとをしていると、
「ちょっといい?」
神官服の男……アモスの名前を呼ぶ声が聞こえた。
その人物はアモスがいる川の中央へ足下を注意しながら岩から岩へと移動してくる。
アモス
「……ミラー隊長」
わざわざ訪ねてくることが今まであっただろうかとアモスは意外に思いながら……そして複雑な気持ちで山岳兵団の服の男チレーナに視線を向けた。
チレーナ
「ここ気持ちがいいね。」
アモスの近くまでくるとチレーナは滝の方に体を向けた。
アモス
「………用事は?世間話をしにきたわけではないだろ」
そっけなく言うとチレーナは少し表情を固くした。しばし無言の時間が流れた後、チレーナが口を開いた。
チレーナ
「俺より立派になってみせるって、結婚式に言っていたけどあれは嘘?」
アモス「ーーは?」
何の脈絡もなく言われた言葉に眉間に皺を寄せ、横目でチレーナを見る。
チレーナ
「今のアモスは立派?」
アモス
「この国で唯一の神官になった。ミラー隊長より立派かは分からないが努力を続けているつもりだ」
チレーナ「努力……ね」
アモス「何が言いたい?」
チレーナ
「その努力ってなんだ?セシリア女王に危害を加えること?」
アモス
「………なんのこと」
アモスの声が低くくなった。
チレーナ
「俺、仕事が終わるのが遅いから、深夜に地下墓地にお参りにいくことがあるんだけど。帰り際、話し声が聞こえてさ……セシリア女王とアモスが話しているところを偶然聞いてしまったんだ」
アモスはぎろりとした目つきになった。
アモス
「だからなに?ミラー隊長には関係ない」
チレーナ「関係ない?」
アモス「関係ないだろ」
チレーナ
「お前、自分が何をしたのか分かってるのか?女王暗殺未遂は、俺たちには関係のあることだ。女王を、国民を守ることが俺たち山岳兵団の仕事だ」
アモス
「まあ、俺がやったという証拠はないけどね。」
チレーナ
「このまま王家がなにもしてこないと思ってる?レドリー様が黙っているとでも?」
アモス
「証拠はないのに何ができる?」
チレーナ
「証拠がないから何もしないのはセシリア女王のご慈悲。レドリー様はそこまで優しくはない」
アモス
「………それで?優しいミラー隊長は忠告にきてくれたわけだ?レドリー様に気をつけろ、と?」
チレーナ
「そんなわけあるか。立派になるどころか地面に這いつくばる所を見せようとしているアモス神官の顔を見にきただけだ。神官になって凄いと思っていたのに、自爆するとは。」
アモス
「……自爆だと…?」
チレーナ
「だってそうじゃないか。畏れ多くも女王陛下に呪いをかけて危害を加えようとするなんて、頭良さそうなのにただのバカだったんだな。スピカちゃんもどうしてこんな奴選んだのか……」
その時。
アモスが動いた。
チレーナの胸ぐらを掴み、怒りの形相を浮かべ、
「うるさい!!!
一体……誰のせいだと思って……!!!」
アモスから放たれて拳がチレーナの顔面に当たり、チレーナはバシャンと水音と共に川に尻餅をついた。
「………そうだよ。俺のせいだよ」
口から血を流しながらチレーナはアモスを見上げた。
「最初から!そうやって!!!
俺に文句を言ってきたらいいじゃないか!!!」
立ち上がったチレーナはアモスを殴り返した。アモスも川に派手に倒れ込んだ。
チレーナ
「お前頭いいくせにどうしてこんなことやってんだ!!
いつまでも過去に囚われて、
今ある幸せを自分で壊すつもりか!!」
アモス
「うるさい!!お前なんかに何が分かるんだ!」
そう叫びながら、アモスはチレーナに殴りかかった。
゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――
セシリア
(……???何かな?なんだか騒がしいような)
水源の滝の方向がなにやらザワついている。
ヒソヒソと何かを話している人々。
レドリー「セシリア」
呼び止められて振り返ると夫のレドリーが立っていた。顔色があまり冴えない。
セシリア
「どうしたの?何かあった……?」
このざわついている雰囲気と何か関係があるのだろうかと訊ねてみる。
レドリー
「うん……それでちょっと一緒に来てほしい」
セシリア「うん?」
レドリーがそう言って歩き出すのでセシリアもそれに倣ってレドリーの後ろを歩く。
レドリーは何も話さなかった。
2人はエルネア城へと帰宅する。
王家の居室で話をするのかと思えば、レドリーは地下へと続く階段へ向かった。
セシリア
「……どこにいくの?一体なにを?」
普段滅多に行かない場所なだけにセシリアは緊張した面持ちでレドリーに問いかける。
地下に行ったのは、ギオルギーとヴェルンヘルが牢屋に入っていた時だ。
レドリー
「アモスを牢屋に入れた」
セシリア
「え……えぇ?!どうして?!」
セシリアは仰天してレドリーの腕を掴んだ。
レドリー
「驚くのはまだ早いよ……」
階段を降り地下室にたどり着く。蝋燭で照らされる薄暗い部屋。
奥にある地下牢を見てセシリアは目を点にした。
セシリア
「ど、どうしてチレーナ君も??」
そこにいたのは神官のアモスと山岳隊長チレーナの2人。
2人は仲良く地下牢にいるではないか。
しかも2人とも顔にアザがいくつも出来て痛々しい。
セシリア
「レドリーさん、これは一体どういうことなの」
レドリー
「殴り合いの喧嘩をしているって聞いて駆けつけたらコイツらだったんだよ。山岳の兵団長が神官を殴るなんて言語道断だし、アモスはイラつくから地下牢にぶち込んだ」
セシリア「レドリーさん?!」
イラつくから?!
レドリー
「喧嘩両成敗ってやつさ」
と言いつつレドリーは不満げな顔をなぜかしていた。
セシリアはその様子を不思議に思った。
レドリー
「陛下への報告は以上。じゃあ、セシリア上に行こうか」
こんな場所に女王がいつまでもいなくてもいいと言わんばかりにレドリーはセシリアに地下室から出ようと言う。
セシリア
「ま、待って。2人はいつまでここに?」
レドリー「さぁね」
セシリア
「さぁねって……」
チレーナ
「セシリア様、レドリー様、少しお時間をいただけますか」
それまで地下牢で大人しく沈黙していたチレーナが口を開き、セシリアは驚いて振り返った。レドリーは嫌そうな顔をしてそれを隠そうともしない。
セシリア「もちろん。」
チレーナ
「先日のセシリア様に対する暗殺未遂についてです」
レドリー
「………チレーナ。なぜお前が知っている」
この件はまだ共有されていないはずだった。山岳の兵団長といえども情報がいっているのはおかしい。
チレーナ
「偶然セシリア様とアモスが話しているのを聞いて知ってしまいました。申し訳ありません」
セシリア
「全然気づかなかった……それで、話とは?」
チレーナ
「セシリア様とレドリー様は状況的にアモスが犯人だと判断されていますか?」
問いかけにセシリアは表情を曇らせながら、頷いた。
レドリー「そうだよ」
チレーナ
「もしも、アモスがやったとしたら、それは俺にも原因があります。セシリア様を恨むその根本的な原因がアモスとスピカちゃんが付き合っていたのに俺がスピカちゃんに会いに行っていたからです」
レドリー「それで?」
チレーナ
「セシリア様を危ない目に遭わせてしまい、申し訳ありませんでした。俺も罰を受けます。アモスを許していただけませんか」
深々と頭を下げるチレーナと信じられないという目をしているアモス。
チレーナ「お願いします!」
アモスのために頭を下げるチレーナの横でセシリアは視線をアモスに向けた。
2人は少しの間無言で見つめ合った。
そしてアモスは観念したかのように深く息をついた。
アモス
「セシリア様……詫びても許されない事をしました。本当に申し訳ありませんでした」
アモスも頭を下げた。
その様子をレドリーは面白くなさそうに眺めている。
セシリア
「それは、あなたがやったと認めるの?」
アモス「………はい」
地下室が静まり返った。
何の音も聞こえない。
セシリアは少しの間思案した後、鉄格子越しにいる男2人を見た。
1人は小さい頃から知っていて、1人はスピカが大切にしている人。セシリアにとっても大切な2人。
セシリア
「2人とも顔をあげなさい」
セシリアの声にチレーナとアモスがゆっくりと顔をあげた。
セシリア
「こうなった責任は私にあります。ごめんなさい。」
時間が巻き戻せたならどんなにいいか……
どうにもならない願いをしながらセシリアは2人への罰を言い渡そうとするとチレーナが先に話始めた。
チレーナ
「セシリア様がスピカちゃんと俺を探索に連れて行く前から俺はスピカちゃんとそれなりに仲が良かったんです。俺はその頃からスピカちゃんを好きでした。だから、セシリア様のせいではありません。
全ての責任は俺にあります。申し訳ありませんでした」
誰が誰を好きで、なにがいけないというのだろう。
セシリア自身、レドリーに恋人がいたのに告白した身だ。好きな人を諦められない気持ちは痛いほど分かる。
謝罪するチレーナを見てセシリアは気づいた。レドリーをチラリと見るとまだ面白くない顔をしている。
レドリーは最初から気づいていたのだ。
気づいていてもこの場の決定権は全てセシリアにある。それでレドリーは余計な口を挟まず見守っているのだ。
セシリア
(はぁ……もうみんな……)
複雑な胸中をグッと隠しながらセシリアは表情を引き締める。
「それでもアモスのしたことを、許すことはできない。女王暗殺未遂は重罪です。」
チレーナ「セシリア様……!」
叫びにも聞こえるチレーナの声をセシリアは片手を上げて制止した。
セシリア
「よって、一晩地下牢で頭を冷やすこと。アモスは一年間奉仕活動を課す。チレーナは10日間シズニ神殿の掃除。以上」
マントを翻し、2人に背を向ける。
立ち去ろうとするセシリアの背中に「ありがとうございます」という声が聞こえた。
セシリアが地下室からいなくなると、レドリーはため息をついた。
レドリー
「いいか、2人とも。これは女王陛下の御慈悲だ。特にアモス。次はないと思え」
アモス「ーーはい」
視線を落としながらアモスは答える。
レドリー
「慈悲をいただいたのだからこれまで以上に粉骨砕身この国に尽くせ。それが贖罪だ」
そういうとレドリーはセシリアの後を追って階段を登っていった。
地下室には地下牢に入れられたチレーナとアモスだけが残った。
靴音が聞こえなくなって少しすると
アモス「余計なことを」
アモスは苦々しい様子で呟いた。
チレーナ
「お前の様子がおかしかったことに実は気づいてた。なのに止められなかった。ごめん」
アモス
「うるさい、お前もう黙って寝とけ」
チレーナ
「おま……人が謝ってるのに!」
アモス
「お前なんかの謝罪は受けとらないんだよ!」
2人は逃げられない牢屋の中でしばらく言い合いをしていたという。
゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――
「チレーナ君はアモス君の自白を引き出して、謝罪させる……その上で減刑を訴えていた……そんな風に見えた」
誰もいない温室でセシリアとレドリーは話をしていた。
レドリー
「チレーナから喧嘩をふっかけたらしいし、2人仲良く牢屋行きまで狙ってたかも……面白くない」
セシリア「面白くない?」
レドリー
「あんな若造に先手を打たれたようだ」
苦虫を潰したような表情を浮かべるレドリーを見ながらセシリアは気づいた。
最初の「殺意、あるいは悪意ある視線」を感じた時セシリアと一緒にいたのはチレーナだった。
チレーナは山岳隊長。
武術職の彼がそれで色々気にかけていて、セシリアとアモスの話を聞いていたのなら……
王家の動向を人一倍気にかけるのは自然なことではないか。
チレーナはスピカの平穏を祈っているはずなのだから……
レドリー
「チレーナは本当にスピカちゃんが大事なんだね」
半ば呆れたような言い方を
セシリア
「うん………本当に」
幼い2人が無邪気に遊ぶ光景が思い出される。
遠い初恋の思い出。
過ぎ去った過去。
チレーナ、スピカ、そしてアモス。
3人が本当に心の平穏を取り戻すことを切に願いながら、セシリアは温室をあとにした。
レドリー
「………あいつら五月蝿いな。明日の朝くさいスープでも出してやろうか。飲まないなら出さないって言って」
地下室から聞こえるチレーナとアモスの言い合う声にレドリーはイライラしながらつぶやいた。
おわり。
あとがき
多忙によりなかなかブログが書けず、エルネアもプレイできずにいます。
アモスは自分の気持ちをチレーナにぶつけたことで少しはその苦しみから解放されたといいのですが。
これからは通常の平穏なプレイ日記に戻ると思います たぶん