222年 今だけは……このままで。 | エルネア王国モニカ国の暮らし。

エルネア王国モニカ国の暮らし。

エルネア王国の日々の備忘録です。妄想もかなりあります。モニカ国。他のゲームの事も気ままに書いていこうと思います。
多忙のためのんびり更新中です。アイコンは旧都なぎ様のきゅーとなクラシックメーカーより。

任天堂Switch版エルネア王国をもとに書いています。


 

エルネア王国の時間は、ゆっくりと動き出す。



13日

リリーの訃報が伝えられる。




葬儀。


 


晩年の騎士隊長と親しかったのは、リリーを慕う国王ヴェルンヘル……





騎士隊の鎧を着ていた女性らメリエルという方


危篤のリリーを見舞ってくれたエグモンド君の奥さんだ。



リリーは長生きだったため、多くの親しい人たちを見送った。


それはそれで辛かったかもしれない。


でもリリーはユズ、ルークといった妹と弟たちは見送らずに順番通り先に自分が逝けたことは良かったのかもしれない……。


フォード姉弟が皆長命であるとは、初代の寿命からは予想出来なかった。



恒例のスピカたちのチェックを。



2人ともドルムの坑道


多分また2人は一緒にいる



セシリアは見かけたルイスに懐妊を伝えた。




ルイス

「お前ら仲良いね……」


途切れることなく授かるセシリアにルイスは少し呆れたような顔をしていた。



アナちゃんにキノコ狩りに誘われる。



そのままセシリアは彼女を食事に誘った。



大切な人たちを失いながら、

こうしてゆっくりと日常に戻っていく……



゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――


スピカの元へ、同じ年頃の男の子たちが訪れるようになった。


いくらスピカがチレーナと仲が良いとしても、結婚できないとなると、男の子たちが寄ってくる。


それでもスピカはチレーナより気になる人などいるはずもなく……


ようやく1人になれた昼過ぎ、川辺で1人黄昏ていた。



そこに、見知った人が通りかかりスピカの元へやってきた。


この国で色んな意味で有名人なイマノル兵団長。


手には何かが入った袋を持っている。


咄嗟にスピカはまたゴ◯ブリでも出てくるガラクタオモチャかと思って緊張する。



イマノル

「スピカちゃん、今日ってチレーナに会いに行ったりする?」


他の人に聞かれたら素直に答えないかもしれないが、かつては同じ立場で、あの場所を教えてくれたイマノルからの問いかけにスピカは素直に頷いた。



スピカ

「えぇ、多分」


多分といったのはチレーナが忙しくてダンジョンから家に直帰する事もあるからだ。



イマノル

「そっかそっか。じゃあさ、あいつに届け物があるんだけど頼まれてくんない?」


スピカ「いいですよ」


イマノル

「助かるよ。チレーナに頼まれていたものなんだけど忙しくてなかなか渡せなくてさー」


イマノルはスピカの耳元で囁いた。


「で、それ、周りに人がいない時に渡して、すぐに中身確認するよーにチレーナに言ってくれる?」



スピカ「?分かりました」


届け物を受け取る。


イマノル

「じゃ、頼んだよ。今日じゃなくてもいいから、必ず周囲に人がいない時に頼むね」


人懐っこい笑顔を浮かべてイマノルが手を振って去っていく。



スピカ

(……?人に見られたらダメなもの?)


皆目検討がつかなかった。


山岳兵団の大切な資料?

それなら人を介して渡さないだろうし、彼の家に置くとか、父親、母親もいるからスピカに託す必要もないし、不自然だ。



スピカ(まあ、いっか……)


変な人ではあるが、スピカの母リンゴとずっと交友関係がある男。

なにより、自分の理解者であり、かつては同じ立場であった人なのだからスピカはイマノルを信用していた。




スピカは、ドルム山に向かった。


あの場所にはすでに先客がいた。


星空を眺めるチレーナの姿があった。



チレーナ「お疲れ様スピカちゃん」


振り返り、チレーナが笑顔を浮かべている。


すっかり立派な山岳兵となったチレーナにスピカはドキドキする。この国でもチレーナはかなりイケメンの部類で、彼を憧れる女子は多い。



スピカ「お疲れ様」


だから、チレーナと2人きりで過ごせる場所があるのは、ラッキーだった。



スピカ「今日も星が綺麗だね」


見上げる空は一面美しい星空が広がっている。ただ星空を2人で眺め、たまにチレーナが持ってきてくれるピッツァを食べて過ごす。


2人は腰を下ろして、チレーナが持ってきてくれたガロニピッツァを食べる。


チレーナ「どうかな?」


ピッツァを頬張るスピカにチレーナは不安そうに訊ねる。


スピカ

「美味しい!チレーナ君、また腕が上がったね」


素直に褒めるとチレーナが照れたように笑う。


スピカ(可愛い…)



スピカはそんな彼を心から愛しく思った。



再び星空を見上げていると、右手になにかが触れる。




右手をチレーナの大きな手が握っていた。


子供の頃はよく手を繋いでいた。


でも今はあの頃とは違う。


チレーナの大きな手に握られて、スピカは身体を硬直させた。



チレー

「嫌なら………振り払って」


その声はとても緊張していた。



スピカは答えるかわりに手をギュッと握り返す。


チレーナの視線は前を向いたまま、無言だったがスピカの手を握る手に力がこもった。



しばらく2人はそのまま星空の下でお互いの手の温もりを感じていた。



スピカ

(ーーーこのまま、

時が止まってしまえばいいのに)



彼と過ごした日々を「思い出」として振り返る日がくるのだろうか。


そんなこともあったな、と思える日がくるのだろうか。


この温もりが過去のものとなって、二度と触れることができなくなるのを受け入れなければならないのか。


切なくなって、スピカは考えることをやめた。



スピカ

(今だけは……何も考えず、このままで……)






夜がふけてきて、チレーナは名残惜しそうに手を離した。



チレーナ

「そろそろ……帰ろうか…」



スピカ「うん……」


帰ろうとして立ち上がるとスピカはイマノルから頼まれたことを思い出し、


「これ、チレーナ君がイマノルさんに頼んだものだって」


届けるよう頼まれたものをチレーナに渡した。


形からして、本のように見えた。


チレーナ

「……?俺なにか頼んでたっけ…?」



スピカ

「受け取ったらすぐに中身を確認してほしいって言ってたよ」



チレーナ「そうなの?」


怪訝そうに、チレーナは中身を袋から取り出した。


見た瞬間チレーナの顔色が変わった。スピカも裏表紙だけで表情が固まる。


真面目なチレーナからはとても想像できない本だった。裏表紙だというのに、裸に近い女性の写真が何枚も載っている。


それがいかがわしい本であることを悟りスピカの顔が赤くなった。



チレーナは慌てて本を袋に戻した。



チレーナ

「ち、ちち違うんだよ!お、俺こんなものたのんでない…!」


真っ赤になってチレーナは否定した。

かわいそうなくらいチレーナは慌てていた。



スピカ

「ぇ………っと……あの、その………チレーナ君も男の人なんだね…」


動揺しているスピカにはこのフォローが精一杯だった。



チレーナ

「だから、違うんだって」


イマノルに謀られたとチレーナは察した。



スピカ

「うん、そうだよね…… 

私、そろそろ帰るねっ!おやすみ!」


年頃のスピカには刺激が強くて、逃げるように帰っていった。チレーナの言う通りだとしてもなんといえばいいのか分からない。


エルネア城まできたスピカは、大きく息を吐いた。



ーーイマノルさん、なにを私に渡させるの…!


心の中でイマノルに毒づいた。



゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――



チレーナ「イマノル兵団長…💢」


すぐにチレーナはイマノルのところへ向かった。


イマノルは高炉で仕事道具の手入れをしていた。


チレーナの様子に何があったのか悟りイマノルはニヤリと笑った。



イマノル

「なーに、チレーナ。そんなに怒ってるとカッコいい顔が台無しだよー」



チレーナ

「この本!俺頼んでいないのですが。おかげで俺が求めた物だと勘違いされました」


ギロリとイマノルを睨みつける。



イマノル

「そうだっけ?俺の勘違いかぁ〜ごめんなー」


確信犯は爽やかに笑う。



チレーナ

「……これお返しします」


スピカに渡された本が入った袋をイマノルに押し付けようとするがイマノルは受け取ろうとしない。


イマノル

「チレーナにあげたもんだから返されても困るって」



チレーナ

「俺もこんなもの持っているのは

困るんですけど💢」




イマノル

「チレーナ……冷静に考えてみ?この先好きな子に急に触れたくなるかもしれない……それなのに知識がないせいで、自分が恥をかくかもしれないしその子に気まずい思いをさせるかもしれない……こういうのはさ、男の方がリードするもんじゃん?読んでおいても損はないと思うなー」


怒っているチレーナに、イマノルは諭すように言う。



つい先ほど、スピカの手を握ってしまったチレーナは反論が出来なかった。



イマノル

「んじゃ、そろそろ帰ろうかなー」


押し黙るチレーナの様子に満足そうに笑うとイマノルは仕事道具を片付け始めた。



チレーナ「………あの」



イマノル「ん?」



チレーナ

「どうしてスピカちゃんにこれを俺に渡すように頼んだんですか……」


これだけはどうしても納得できない


チレーナはじろりとイマノルを見る。



イマノル

「そんなの…

…面白いからに決まってるじゃーん」


悪気など全く感じていない笑顔がそこにあった。


チレーナ

「………一発殴っていいですか?」


怒りがふつふつと沸き上がる。


本の裏表紙だけしか見えていなかったのにスピカの動揺ぶりから、とんでもない誤解をされた。


裏表紙からでも察することができる、この本の不純な内容……


ーー明日からどんな顔して会えばいいんだろう


手を握ったあとに、あんな本を見られればそういう目的があると思われるかもしれない。


そういう気持ちがないわけではないが手を出してはいけないことをチレーナは重々承知している。


父親にスピカと仲良くしてもいいが手を出してはいけないと釘を刺されている。



イマノル

「えぇー?チレーナが好きな人に例の本を見られてその八つ当たりに俺を殴ったって言いふらしてもいいならね」



チレーナ「……」

めちゃくちゃふざけた様子のイマノルにチレーナは更にイラついた。




あとがき
メモ欄にふざけて書いた2人のお話し。

スピカとチレーナ、2人はどんな結末を迎えるのか……