任天堂Switch版エルネア王国をもとに書いています。
再びヴェルンヘルと付き合うことになった日の続きです。
マルセル
「リンゴ、お誕生日なんでしょ?
おめでとう!」
リンゴ
「はっ……すっかり忘れてた」
朝から起きてすぐにヴェルンヘルがきたものだから誕生日だということを忘れていた。
誕生日どころじゃなかったから……
思い出して顔が熱くなるのを感じて私は片手で顔を煽いだ。
頭にイムをのっけたユアンにも祝ってもらう。
イラリオ
「リンゴちゃん、お誕生日おめでとう!」
父親と違って、人懐っこいイラリオ君。
ティアゴ君と同じ顔でお誕生日を祝ってくれて嬉しい…
ギオルギー君は昔から気の利く子で
子供の頃も大人になってからも祝ってくれる。
昼過ぎ。
朝に顔を合わせたヴェルンヘルの姿が。
ヴェルンヘル
「お誕生日おめでとう……ごめん、さっき言おうと思ったんだけどリンゴが泣いてたからそれどころじゃなくなっちゃってさ…」
たしかにそれどころじゃなかった……
リンゴ
「ありがとう。ヴェルンヘルに祝ってもらえて、幸せな気分だよ」
本当に。
心からそう思った。
そのままヴェルンヘルとキノコ狩りに。一緒に過ごす時間は心地よくて、時折目が合うヴェルンヘルの目が優しくてこの穏やかな時間がいつまでも続いてほしいと思った。
帽子が可愛いジェラールからも誕生日を祝ってもらう。
セイ
「おねえちゃん、誕生日にこれあげる!」
リンゴ
「わーありがとう……」
これ食べなきゃだめかな…。
子供の頃はなぜかよく食べていたけど……お花食べるくらいなら給食でもらえるパンの方がいいような。
そんなことを考えていると、
ティアゴ「こんにちは」
ティアゴ君…!
リンゴ「こんにちは」
ティアゴ
「キノコや薬草を探しに行くんだけど一緒にどう?」
リンゴ「うん!」
ティアゴ君はいつもそう。
ヴェルンヘルと何かあったときとかに誘いにくる。
それが偶然なのか、気を遣ってくれているのか分からないけど……
目の前を歩く大きな背中を見て、私はきゅっと胸が締めつけられる。
この夢がいつか醒めたら、
ティアゴ君とこうして一緒に歩くことはかなわない。
ティアゴ
「じゃあさっそ採取しようか」
リンゴ「うん」
一緒にキノコを探す。
ティアゴ
「殿下とより戻したんだって?良かったね」
リンゴ
「え?うん……ティアゴ君、知るの早いね」
知ってるだろうなとは思っていたけどティアゴ君に良かったねと言われるのは少し複雑な気持ちになった。
ティアゴ
「殿下に恋人が出来たらあっという間に知れ渡るからなー」
リンゴ「そっか………」
ヴェルンヘルの相手は国中の人々が注目している。当然といったら当然。
「Xさんは昨日嘘ついたのかな?ティアゴ君は気づいてた?」
ティアゴ
「え?いや……俺は気づかなかったよ」
リンゴ「ふーん?」
ティアゴ君は無意識だと思うけど帽子のツバに触れた。その様子に私はティアゴ君に厳しい視線を送ると観念したようにティアゴ君はため息をついた。
ティアゴ
「………リンゴがあの場からいなくなったあとに気づいたけどさ……わざわざ伝えにいくのもって思ったんだよ。ごめんな」
ぽんっと手が頭に乗せられる。
私がこうされると嬉しいことをどうしてこのティアゴ君も知ってるの?
リンゴ
「別に怒ってないよ」
ティアゴ
「しっかし、リンゴが将来の王妃様かぁ……リンゴって呼び捨ては今からやめておいた方がいいかな。リンゴさま?」
頭を撫で撫でしながらそんなことを言う。
敬う気なんてゼロだろうし、頭を撫でながらって……
リンゴ
「今まで通りでいいよ。ティアゴ君に様付けされるなんて気持ち悪い」
ティアゴ
「気持ち悪いって、相変わらずの毒舌だね」
こんな風に、ティアゴ君とずっとくだらないことを言い合っていられたらいいのに。
バーニス
「あ、リンゴー!」
そこに駆け寄ってくるバーニスちゃんの姿。
バーニス
「よかったらこれから酒場でご飯でも食べない?」
(やっぱり、うちの一匹狼たちは特別な日に高確率で話かけてくれる)
リンゴ
「うん、いいよー」
私の隣にいるティアゴ君にバーニスちゃんが気づくと、瞬く間に険悪な雰囲気が流れた。
ーーえ、なになに?
バーニス
「ティアゴさんって、ちょこちょこリンゴといますが、ちょっかい出していません?」
ティアゴ
「さあ、どうでしょう。女性らしくて暴力を振らない、守ってあげたくなるような子ならちょっかい出したくはなるかもしれませんが。
ーーあ、
ミラー隊長とは正反対のタイプですね」
バーニス「💢」
バーニスちゃんがピクっと眉をつりあげた。
ティアゴ
「これから食事ですか?酔っ払って酒場を破壊しないよう気をつけてください」
憎たらしい微笑みを浮かべるティアゴ君に対して怒りの表情を浮かべるバーニスちゃん。
バーニス
「そんなことするわけないじゃないですかっ!」
ティアゴ
「ミラー隊長なら十分可能性がありますよ。また問題を起こしてバルナバさんが嘆くようなことがあったらと思うと心配でなりません」
はぁとわざとらしくため息をつくティアゴ君。
バーニス
「余計なお世話ですっ!」
この時代、2人に何があったのか分からないけどあまり仲は良くないみたいだった…
2人がくだらない言い合いを始めてしまったので、私はバーニスちゃんを引っ張って酒場に連れていった。
その間にバーニスちゃんは怒りを鎮められたようで安心した。
あのまま酔っ払っていたら、ほんとうに酒場を破壊しかねない……
バーニス
「ふう………じゃあ気を取り直して」
バーニス
「今日はお誕生日よお祝い!
おめでとう、リンゴ。
また多くの幸せが訪れますように」
にこっと極上の笑みを浮かべてお祝いしてくれるバーニスちゃんの姿に、涙が出そうになった。
リンゴ「…ありがとう」
リンゴ
「誕生日か………あんまり実感ないけどね」
泣きそうになるから、適当に話を続ける。
本来なら、会うことができないバーニスちゃんに誕生日を祝ってもらって私は嬉しかった………
一緒にいる人たちとの時間を大切にするべきだと
そう思った時ーー
ふと、国王のヴェルンヘルの姿が浮かんだ。
私は、ヴェルンヘルとの時間を大切にしていただろうか。
ちゃんとヴェルンヘルを知ろうとしていたのだろうか。
あのヴェルンヘルは、一体何を考えているんだろう。
ーー数日後ーー
ヴェルンヘル
「これ作ってきたんだけど良かったら食べてね」
差し入れが嬉しい。
くさいスープとかじゃないし。
その翌日もヴェルンヘルはプレゼントをくれた。
ヴェルンヘル
「はい、これリンゴにプレゼント。星空の砂だよ」
綺麗な青い小瓶。
そっと手渡されて私は嬉しくて思わず顔が綻ぶ。
リンゴ
「ありがとうヴェルンヘル。大切にするね♪」
ヴェルンヘル
「喜んでもらえてよかった」
少しはにかんだ表情を浮かべる。
青年ヴェルンヘルの反応に私は可愛いなぁと思ってしまう。
そこには実際生きた時間によって精神的な年齢の違いがあるんだろうなぁと私はそう思ってちょと余裕ぶってたんだけどその日のデート帰り
ヴェルンヘル
「家まで送ろうか?」
リンゴ
「うん、ありがとう」
ヴェルンヘルと過ごす時間は穏やかでまるで春の日向にいるかのように心地よい。
だから、
私の家まで送ってもらうことに対して特に何も考えていなかった。
ヴェルンヘル
「今日は楽しかった」
リンゴ
「私も。またデートしようね」
そう言った時、普段のヴェルンヘルとは思えないほど速い動きで腰を抱き寄せられて唇を奪われる。
さっきまで穏やかだったから私は完全に油断していた。
深くなる口づけにされるがまま………
身体の力が抜けていくよう。
蕩けるような口づけの最中にそっと胸に触る手のひらの感触。
リンゴ
「ひゃぁぁぁぁっ!」
思わず驚いてしまい、大声をあげてしまった。
その反応に驚いたみたいで私の胸に添えられたヴェルンヘルの手がピタリと止まり、目をぱちくりさせる。
ヴェルンヘル
「………ごめん、早急だったね」
ヴェルンヘルは少し笑いながら私の胸にある手を引っ込めた。私の顔が熱いから多分真っ赤なのかもしれない。
「続きは結婚してからにしようか」
耳元でそう囁かれ、更に体温が上がった気がした。
その反応にヴェルンヘルは満足そうにまた笑う。優しくて大切なものを見るような暖かい眼差しだった。
ーーおかしいな。
精神年齢は、私の方が上のはずなのに。
ヴェルンヘルに翻弄されてしまう。
最後に明日の収穫祭の話をする。
楽しみだな……
帰っていくヴェルンヘルの後ろ姿を見ながら私は思う。
彼をちゃんと知りたいと思った。
今の彼も、
国王となったヴェルンヘルのことも。
ーーヴェルンヘル。
私は本当のあなたに辿りつきたい。
あとがき
20日に発売されるルーンファクトリー5までになんとか書き終えたい太陽の君編ですが
うーん、どうだろ!難しい!
モンハンもやりたいし、アンジェリークルミナライズも気になるのでまず体験版をやってみたいし、ミートピアもやりたいし、ファミコン探偵倶楽部を家族が買ったのでそれもやりたい!
しばらくやっていないエルネアもやりたい…
今年はやりたいゲーム多くてヤバいです……
ポケモンスナップはあんまりやれてないけど、可愛くて癒されます。