任天堂Switch版エルネア王国をもとに書いています。
ローデリックは騎士隊長だった
そんなこと忘れてローデリックの家が城下町通りの設定で書いちゃった……
リンゴと同じエルネア城に住んでるのに…💦
あとで訂正しておきます………💧
そのため内容が少し変わると思います。
うっかりしてたー!(^^;)
そして前回記事へのコメントとメッセージありがとうございました。
めっちゃ嬉しいです(тωт。`)
返信がゆっくりですみません💦
゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――
暦の上ではエルネア王国は夏を迎える。
近衛騎士隊のメンバーの一人の訃報が流れる。
ペンジャミンさんは剣を使う騎士さんだったので残念です……
眠い身体を起こすと、レドリーがセシリアの寝ているベッドにきて抱き寄せた。
セシリア「おはよう。寝ぼけてるの?」
レドリー「んー?起きてるよ……」
そう言いながら目を瞑ってウトウトしだす。
セシリア「あと少しだけ寝ちゃえば?」
レドリー「セシリアは今日も可愛いねぇ」
セシリアを抱いたままベッドにゴロンと横になった。よほど眠いのか寝息が聞こえてくる。
セシリア(会話にならない……)
まどろみの中にいるレドリーが目を覚ますまでしばらく抱き枕状態のセシリアだった。
食事を終えたセシリアは、カレンダーを見て愕然とした。
慌ててエルネア城に駆けつけると、ぼんやりとしている母リンゴがゆっくりとこちらに向かって歩いてくる。
リンゴ「………」
立ち止まり、辛そうに俯いた。
セシリア「お母さん…おはよう……」
おそるおそる声をかけると、リンゴはハッとしたように顔をあげた。
リンゴ「おはよう」
ニコっとリンゴは笑顔を浮かべたが、その笑顔はすぐに消えた。
しばらくその場に佇んで、俯いていた。
リンゴがいたのは騎士隊長の居室の前だった。
今日は亡きバーニスの次男のゴライアスの結婚式というおめでたい日だけど………
騎士隊長ローデリック・チチェスターが危篤だった。
王家の居室の隣に住むローデリック…
のぞくと最後の朝食を食べていた。
サブリーナ
「今日はローデリックの誕生日だね」
サブリーナさんはいつも通りの朝を精一杯過ごそうとしているかのように、今日誕生日のローデリックに笑顔を向けた。
サブリーナ
「お誕生日おめでとう」
ローデリック
「ありがとう。こうして祝ってもらえて嬉しいよ」
穏やかな笑みを浮かべる。
サブリーナさんとローデリックは和やかな様子で朝食を食べていた。
二人で過ごす最後の朝とは思えないほど穏やかな朝の風景だった。
リンゴ
「死神は意地悪だ……誕生日に連れていくことないじゃない……」
悔しそうに唇を噛み締めた。瞳は涙で濡れている。
ーー大好きだったマドックさんのことも、誕生日に連れていった。
リンゴ
「……辛いのはローデリックさんやサブリーナさんだよね……落ち着いてからお見舞いにいくよ」
涙を拭いながら、リンゴは出かけていった。
セシリアはそっと騎士隊長の居室に入る。
ローデリックは辛そうにベッドに横になった。
セシリア
「……具合はどうですか…?」
ローデリック
「セシリア様……
まあ、こうして寝ていれば
明日には良くなるよ……」
ローデリックは掠れた声でそう言って瞼を重そうにしている。
少ししてから身支度を整えようとしているのか
ローデリックはベッドから起き上がり鏡をのぞいている。
セシリア
「これ、良かったら食べてください」
セシリアは食べやすいものを差し入れた。
ローデリック
「ありがとう。あとでいただくよ」
思いの外ローデリックは喜んでくれた。
出かけたはずのサブリーナさんが帰ってきてローデリックに寄り添う。セシリアは邪魔にならないよう外に出た。
本来なら、初登壇のローデリック先生を見ることができた今日…
危篤のローデリックに代わって騎士隊のイルマさんが教壇に立っていた。
゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――
こんな日にお誕生日おめでとうというべきなのかわからない……でも最後のお祝いを言っておきたくて
セシリア
「お誕生日おめでとうございます」
ローデリック
「ありがとう」
星空の砂をプレゼントする。
ローデリックは手のひらにコロンと転がる星空の砂の入った瓶を嬉しそうに見つめた。
ローデリック
「ありがとう。こんなプレゼントまで……大切にする」
゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.―
ひょこっと誰かが騎士隊長の居室を覗きこんだ。
ローデリック
「……入ってくれば?」
気配に気づき、ローデリックがベッドから起き上がる。
リンゴ「お邪魔します……」
おずおずとリンゴが入ってきた。
セシリアは一度部屋の外に出た。
セシリアがいなくなるとリンゴはローデリックがいるベッドの横にある椅子に座った。
リンゴ「………」
なんて言ったらいいのか分からず、リンゴはローデリックの顔を見たあと視線を下に向けた。
ローデリック
「……今日、酒場行けそうにない。ごめん」
リンゴ「………そんなこと…謝らないで」
今にも泣き出しそうな声でリンゴは答える。
少しの沈黙のあと、ローデリックが口を開く。
ローデリック
「アンタは変わった奴だ」
リンゴ「変わってる?」
いきなり何を言うんだろうとリンゴはローデリックに視線を向ける。
ローデリック
「俺みたいな奴と仲良くするなんて、変わってる」
リンゴ
「…ローデリックさんはいい人だよ。………他の人は見る目がないんだと思う」
ローデリック「………」
リンゴ
「それに、その台詞そのまんまお返しする。私みたいな奴と仲良くするなんてローデリックさんも変わってる。最初は私のこと嫌いだったでしょ?」
リンゴとローデリックの出会いはあまりいいものではなかった。
酒場で食事をしているティアゴとローデリックを見かけてリンゴが挨拶をしたのがきっかけで二人は知り合う。
年上の人とばかり仲が良く、ティアゴと仲の良かったリンゴは「おじさんキラー」とふざけたあだ名で呼ばれていた。
ローデリックはエルネア人らしいエルネア人。貞操観念の強いらしいローデリックは、そんな言われた方をするリンゴに最初はあまりいい印象を持っておらずそれをリンゴに隠そうとはしなかった。
ローデリック「……少し」
正直なローデリックにリンゴは笑った。
この人は裏表がない。リンゴはローデリックのこういうところが好きだった。
リンゴ
「…あ、そうだ」
思い出してリンゴはローデリックにプリンを差し出した。
「これ……プリンタワーは持ってくるのが難しくて(多分途中で崩れちゃう)ふつうのプリンだけど」
ローデリック
「…ありがとう。………プリンタワーは、食べきれないからいらない」
御礼を言いつつプリンタワー拒否の姿勢を見せた。プリンを受け取ると、ローデリックは早速一口プリンを食べた。
ローデリックにはもう時間が残されていない。
ローデリック
「こんな俺と…仲良くしてくれてありがとう」
プリンを食べる手を止めてポツリと言われた一言にリンゴはポロポロと涙を流した。
ローデリック「泣くなよ……」
ローデリックは困った顔をした。
リンゴ
「……泣かないって決めてたのに…」
溢れる涙を拭いながら、
「私のほうこそ、ありがとう……」
その一言に精一杯の感謝を込めて。
リンゴはローデリックと最期の時を過ごした。
リンゴが面会を終えて騎士隊長の居室から出ると、壁に寄り掛かったティアゴの姿があった。
ティアゴは無言でリンゴの頭にぽんと手を乗せて、騎士隊長の居室に入っていった。
ティアゴ「具合はどう?」
ローデリック「…まあまあ」
体調はきっとすこぶる悪いだろうに。ティアゴはローデリックがいるベッドの脇にある椅子に腰をおろした。
ティアゴ
「自分のために泣いてくれる子がいるって幸せだな」
ローデリック「…………」
僅かに悲しそうな顔をして肩を竦ませた。
ティアゴ
「覚えてるか?昔……俺が死んだらリンゴを慰めるのは大変だからなんとか言って、お前……自分の方が俺より先に逝くって言ったこと」
ローデリック「……覚えてる」
ティアゴ
「まさか本当にお前の方が先なんてな…」
ティアゴとローデリックはしばらく話し込んでいた。
ティアゴが帰ったあと、ローデリックはベッドからおりて椅子に座った。
セシリアは隣に座ってみた。
最期の時間をローデリックは何を想って過ごしているのだろう。
夜1刻
ローデリックは愛する家族に見守られて
ガノスへと旅立った。
ローデリック・チチェスター
198年9日生〜219年9日没 享年21歳
性格:ぶっきらぼう
初期国民テリー・シャピーの息子。
ローゼル近衛騎士隊所属 騎士隊長
リリーを破り、騎士隊長にまでのし上がる。
本人は実力でないと気にしていたが、コツコツと鍛錬してきた努力の人。
言葉が悪かったり、親しい人と以外はあまり話さないため誤解されやすい。
初対面の人にはだいたい嫌われる。
友人はあまり多くはないが、友人を大切にする一面もある。
ローデリックが亡くなったのは、夏らしく暑い日差しが照りつけた初夏のことだった。