218年[訳ありの旅人] あの国へ…… | エルネア王国モニカ国の暮らし。

エルネア王国モニカ国の暮らし。

エルネア王国の日々の備忘録です。妄想もかなりあります。モニカ国。他のゲームの事も気ままに書いていこうと思います。
多忙のためのんびり更新中です。アイコンは旧都なぎ様のきゅーとなクラシックメーカーより。

任天堂Switch版エルネア王国をもとに書いております。
 
 
 
前記事につきまして、コメント、メッセージありがとうございます。
 
 
返信までにお時間をいただくことを、お許しください。
 
 
前回は明絃さんの担当です。
 
 
 
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この二人はムードメーカーだと思います
 
イマノル「俺の紹介って他にないの?!」
 
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イマノル
「パトリックたちの国にはどーやっていくの?」
 
 
 
舟にのって出発して水面を見ながらイマノルが聞いた。
 
 
パトリック
「ああ。えーと……皆で念じるんだ!その国を思い浮かべて!」
 
 
見たこともない国を思い浮かべることが出来るだろうか。レイラはイマノルをチラリと見たが、彼はその心配をやはりこんな発言で吹き飛ばす。
 
 
 
 
イマノル
「スタイル抜群の魔銃師のいる国……スタイル抜群の魔銃師のいる国……」
 
イマノルは念じはじめた。
 
 
 
 
レイラ
「ーーーこの山猿が」
 
ポソリと忌々しそうにレイラが呟いた。
 
 
 
 
 
アリス
「どうしよう……アーサー君が心配になってきてアーサー君の事しか浮かばない」
 
 
イマノルの戯言も、息子のアーサーを心配するアリスには聞こえない。
 
 
長旅に出た息子が無事に目的地に着くだろうかと不安げな瞳をしている。
 
 
 
マーリン
「アリス。じゃあ、何も考えなくて良いよ」
 
優しげな口調で言った。
 
 
 
パトリック
「ボディーラインが良い魔銃師会の人間が揃い、美人の多い国……」
 
 
アリスたちのやり取りの横で、邪な想いしか込められていない台詞が再び呟かれる。
 
気を取り直したアリスがパトリックを睨む。
 
 
アリス
「パトリック・クルー君?アシュレイさんに言いつけるわよ」
 
パトリックの奥様のアシュレイは、アリスの親友だった。それを聞いてパトリックは顔色を変える。
 
 
 
パトリック
「いや!あのアシュレイの脚は好きだし、踏まれたいかもしれないけど!蹴られたら痛いんだよー!!」
 
舟の上で1人叫び出した。
 
「アシュレイの脚に踏まれながら死にたくない」
 
 
 
マーリン
「ーーお前は谷崎潤一郎になりきれない奴だな。代わりに沈めてやろうか」
 
 
 
イマノル
「ちゃんと念じないと、じーさんとばーさんしかいない国に着いちゃうぞ!」
 
念じてない人たちに注意するイマノル。
 
 
 
マーリン
「………俺は国に帰りたくない」
 
マーリンの目が暗くなり、アリスが気遣わしげにマーリンに寄り添う。
 
 
アリス
「………マーリンさん」
 
 
 
マーリン
「ーーでも、行こう。ミルドレッド先生がいる国へ」
 
 
 
覚悟を決めたようにマーリンは言った。他の人もコクンと頷く。
 
 
 
 
 
舟が進むと辺りの雰囲気が少し変わってきた。
 
 
 
 
レイラは周囲を見回した。
 
 
 
レイラ
(………もう、ここには来ることはないと思っていたのに)
 
 
 
 
パシャとシャッター音がした。
 
 
 
イマノルがLINEという端末を操作して写真を撮っていた。
 
 
 
イマノル
「あいつらにも見せてやろーっと」
 
 
目の前には大きな水門が見えていて、イマノルは珍しそうに水門の写真を撮っていた。
 
 
レイラ
「少しは緊張感を持ちなさいよ……」
 
 
観光気分のイマノルにレイラはため息をついた。
 
 
この水門が見えたということは、何を意味しているのか分かっているのだろうか?
 
 
 
イマノル
「暗い顔をしていてもガチガチに緊張していても状況は変わらないよー」
 
 
素知らぬ顔でイマノルは端末を鞄にしまった。
 
 
 
 
 
 
 
水門の上に魔銃を構えた魔銃師会の制服を着た女がいた。
 
 
 
緑色の髪に、青色の目、ハッキリとした眉。賢そうな顔立ちだ。誰かに似ているような気が皆はしていた。
 
 
 
 
サリア
「止まりなさい!これ以上の侵入は許さない!!」
 
 
勇ましい声が、マーリンたちの頭上から放たれる。
 
 
「この国に少しでも足を踏み入れてみなさい、撃つわよ」
 
サリアが厳しく言う。
 
 
 
イマノル
「勇しくていいねー!こちらのお嬢さんも可愛いね」
 
 
この国の最初に会う子が勇ましくも可愛いタイプだなんてラッキーだなぁとイマノルは声をあげた。レイラが冷めた目でイマノルを横目で見ている。
 
 
 
サリア
「ーー撃たれたいの?」
 
 
軽口を叩くイマノルにサリアは嫌悪感をあらわにする。
 
 
 
 
イマノル
「可愛い子を可愛いといったら罪なの?
そちらの国は褒めることも禁止なのかぁ……」
 
わざとらしくイマノルは落胆した様子で肩を落とす。
 
 
レイラ
「アホなことを言うなってことだと思うけど」
 
 
 
マーリン
「イマノル、舟から突き落とすぞ」
 
 
マーリンが低い声を出した。
 
アリス
「……マーリンさんったら」
 
 
パトリック
「まーまー。マーリン君」
 
 
 
マーリン
「ーーサリア。とりあえず、ここを開けてくれ」
 
 
マーリンは見上げてサリアに言うと、彼女の目が吊り上がった。
 
 
サリア
「お父さん!王国の誇りをかけてダメよ!」
 
 
イマノルのような訳の分からない男を入れるべきではないとサリアは言っているようだ。
 
 
それは正しいとレイラは思った。
 
 
 
イマノル
「えー?!俺、これでも紳士だよ?!」
 
 
 
サリア
「自分の事をそう言う人って信用ならない。おおよそ、正反対の人種がそう言うのよ」
 
 
 
 
イマノル
「ちょっとちょっと、人を危ない奴みたいに言わないでよー。俺は可愛い女の子が好きな普通の男だよ?」
 
安全だとアピールしているようだが、その効果は微塵にも現れていないようだった。サリアは益々イマノルへの不信感を募らせたように険しい表情を浮かべた。
 
 
サリア
「ーーそんなの信じられないわ!!」
 
微塵にもイマノルを信じていないと風にサリアは鋭い目で睨む。
 
 
イマノル
「この堅そうな感じ、マーリンによく似てるなぁー」
 
全く信じてもらえないことを憂うことなく、感嘆とした声をあげる。
 
 
レイラ
「マーリンさんにそっくりね…」
 
真面目な印象と物言い、堅物な感じがいかにもマーリンの娘というのを物語っていた。
 
 
 
マーリン
「……そうですか?あの感じは怒った時のアリス……」
 
 
アリスは微笑んだ。
「ーーマーリンさん、今から泳ぐ?」
 
 
 
パトリック
「まあまあ……サリアさん。俺達の話を聞いてよ」
 
話が横道に逸れそうなので未だにイマノルを睨んでいるサリアに言った。
 
 
 
サリア
「ーー分かったわよ。この人数で他国の方がいらっしゃったんだもの。よくないウイルスまで持ち込んで来てくれたんでしょうね」
 
 
サリアは大きなため息をつきながら、水門を開け、マーリン一行が乗る舟を中へいれた。
 
 
 
 
 
 
一行が舟から降りるとサリアは自己紹介をしてくれた。
 
 
サリア
「ーーようこそ。私はサリア・クラフ。マーリンとアリスの娘です」
 
 
レイラ
「Xよ。ごめんなさいね、押しかけちゃって」
 
 
イマノル
「俺はイマノル・ボイドー!よろしくー!」
 
あんなに睨まれていたのにそれを気に留めている様子もなくイマノルは笑顔で名乗った。
 
 
サリア
「X……さん?」
 
レイラの名前を聞いて、サリアは「えっ」とレイラををみた。
 
 
その反応をみてマーリンはちょっとやばいと気づく。
 
 
 
マーリン
「ーーレイラさんと俺は呼んでるよ。ね、レイラ先生?」
 
 
慌ててマーリンが誤魔化すようにレイラに笑いかける。
 
 
レイラ
「え、ええそうね。レイラって呼んでね、サリアさん」
 
自分の名前がおかしいことに、長年あの国にいて麻痺していたようだ。
 
レイラは愛想笑いを浮かべた。
 
 
イマノル
「じゃあ、俺もそう呼ぼうー」
 
あんたはいいのよ、と言いたいところだがそんな余裕がないのでレイラはスルーした。
 
 
サリア
「………?ええ。よろしくお願いいたします」
 
 
サリアは怪訝そうにレイラを見ている。
 
 
 
イマノル
「俺は?俺はーー?!」
 
 
イマノルの声が北の森に木霊した。
 
 
 
゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――
 
 
マーリン
「そういえば……最近、父さんからの連絡が来てない気が」
 
 
先に進もうとした時にマーリンが呟いた言葉にレイラは「えっ」と声を出した。
 
 
そこで、マーリンに話がいっていないことに気がついた。
 
 
 
レイラ
「……実は幻影のアーサー先生がミルドレッドさんの救出に動いてくれているんだけど……その後まだ連絡がこないから作戦でも練ってる可能性が……」
 
 
マーリン
「どうして……それを言ってくれなかったんですか⁉︎」
 
 
マーリンの言うことはもっともだった。
 
 
 
2人の会話をアリスとパトリックは心配そうに見ている。
 
 
イマノルは幻影???って顔してるが静かにしてる
 
 
レイラ
「アーサー君が、仲直りした時にマーリンさんに伝えてくれたかなー?って勝手に勘違いしちゃってて」
 
伝えてくれているだろうという先入観と、レイラはマーリンに直接、魔銃師アーサーの話をしにくかった。
 
 
それが連絡ミスを招いた……
 
 
2人のやり取りの横で、サリアはイマノルに手短に記憶の幻影について説明した。
 
 
 
イマノル
「すげえ!まるで魔法みたい!」
 
幻影の説明を聞いてイマノルは子供のように無邪気に言った。 
 
 
 
サリアは苦い顔をしながら笑う。
「魔法だよ」
 
 
 
 
マーリン
「ーー失礼を………では。どうしたものかな……」
 
 
 
レイラ
「知ってるものだと思い込んでてごめんなさい……」
 
 
 
 
イマノル
「じゃあその魔法の人と合流して一緒に行けばいいじゃん」
 
 
 
 
マーリン
「ーーここで俺が魔法を使えばバレるか……?やってみるか」
 
 
 
 
マーリンは空に向かって文字を書いた。
 
『今、北の森ゲートにいる。応援に来た』
 
文字がメラメラと炎のように揺れながら浮かぶ。
  
 
マーリンが右手を払うと、その文字は城へと向かっていった。
 
 
 
 
マーリンの顔が蒼ざめる。
「ーー城に向かった……?まさか」
 
 
 
アリスは焦る。
「まさか………捕まったんじゃ。アーサーさんの足取りは導きの蝶では追えない」
 
 
レイラも不安そうな表情を浮かべたがすぐに無表情に戻った。
 
 
 
 
 
 
 
ーーーしばらくすると、
 
 
 
 
魔銃師アーサー
「マーリン。応援に駆けつけたって?『サリア』はどうした?」
 
 
声の魔法によって、男の声が聞こえてきた。
 
 
 
 
サリア
「私?元気よ。アーサーお爺ちゃん」
 
 
サリアは怪我そうに答える。
 
 
 
イマノル
「なんか声が聞こえる!幽霊か?!」
 
 
どこから声が聞こえるんだろうと周囲を見回している。
 
 
 
魔銃師アーサー
「そうかもねー♪」
 
 
魔銃師アーサーはイマノルの反応を面白がっている様子だった。
 
 
 
イマノル
「うわぁ!答えたー?!おもしれー!」
 
田舎者が都会にきて都会にはしゃいでいるようなそんな風に思えて、レイラはまたイマノルに冷めた視線を送っている。
 
 
 
 
魔銃師アーサー
「ーーどういう事だ。マーリン」
 
 
魔銃師アーサーは本題に入りマーリンに聞く。
 
 
トア
「俺が悪いんだ。分かっててカルミアの魔法を解いちゃった」
 
 
申し訳なさそうにトアは言った。
 
 
 
魔銃師アーサー
「ーートアもいるのか……そういう事か」
 
 
察しがいいようでトアの説明だけで状況をだいたい理解したようだった。
 
「とりあえず、皆は目的を同じくしてミルドレッドちゃんを助けてくれるんだね?」
 
 
 
イマノル
「そうそう!」
 
 
パトリック
「当たり前じゃん、アーサー先生!」
 
 
二人は明るい声で答える。
 
 
 
魔銃師アーサー
「そうだ、パトリック君!君に頼んだはずの連絡が全然来なかったけど?」
 
 
パトリック
「あーそれは……向こうの国の生活も悪くなくて」
 
パトリックは苦笑いしながら答える。
 
 
 
魔銃師アーサー
「まあ良い。今、俺は毛織物工房にいる。キリル君は女王と今謁見中だ。俺は隙を見て、キリル君と合流し、牢獄に向かうつもりだ」
 
 
イマノル
「どうやって牢獄に行くのー?」
 
 
魔銃師アーサー
「ルートが見つかった。毛織物工房からの用水路は直接地下の牢獄に繋がっているらしい。城の用水路なので人が余裕で通れるサイズだ」
 
 
 
レイラ
「ーーどうする?合流する?」
 
 
マーリン
「ーー父さんと合流しようか……」
 
マーリンは周りを見渡しながら言った。
 
 
イマノル
「そっから行けばいいんだな!」
 
 
魔銃師アーサー
「そう!ここから行くつもりだ」
 
 
合流が決まり、レイラは複雑そうな顔をしながら皆と共に歩き出した。
 
 
゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――
 
一行は毛織物工房までなんとか辿り着き、魔銃師アーサーと合流する。魔銃師アーサーの隣には山岳兵団の制服を着た男性が立っていた。
 
 
パトリック
「この人はグレアムさん。山岳兵団長だよ」
 
グレアム
「グレアムだ。よろしくね」
 
 
グレアムは爽やかに握手を求めた。
 
 
イマノル
「よろしくー!!」
 
イマノルとレイラは順にグレアムと握手をした。
 
 
その横に魔銃龍騎士の服に身を包んだ男がいる。
 
 
スラっとした体格にキリッとした眉の端正な顔立ちには聡明さが漂っており、口許は余裕の笑みを絶やさない。
 
 
魔銃師アーサーをみてイマノルはマーリンと交互にみながら、
 
「なんか似てるなぁ……」
 
 
パトリック
「当たり前だよ。この2人は親子なんだから」
 
そっくりな二人のことをパトリックが説明してくれた。
 
「ーーこの人はアーサー先生。マーリン君とは性格が180度くらい違うから一見やりやすそうに見えるけど、ちょっと気をつけたほうが良い人」
 
 
魔銃師アーサー
「ご紹介に預かりました、アーサーと申します。よろしく」
 
 
 
マーリン
「あながち間違いではない紹介……」
 
マーリンは呆れたように笑う。
 
 
 
イマノル
「魔法使いアーサー先生か。俺はイマノルー!よろしくねー」
 
 
魔銃師アーサーは握手を求めた。
「よろしく、イマノル君」
 
 
イマノルは握手に応じ、ちょっと感動していた
 
 
イマノル
「すげー!魔法なのに触れるし、俺みたいなやつと握手してくれた!
この国の人たちって優しー!」
 
どうやらイマノルはこの性格で、自分の国ではろくな扱いを受けていないようだ。
 
 
魔銃師アーサーは笑う。
「イマノル君は反応が素晴らしいねー!そう。基本は皆と同じようにいられるよ」
 
 
イマノル
「アーサー先生は天才だねー!!」
 
 
魔銃師アーサー
「調子良い事言ってくれるねー」
 
 
マーリンは冷めた目で見ている。
 
アリスとリリーは苦笑いしていた。
 
 
 
レイラ
「ーーーそろそろ行かないと。こうしている間にもミルドレッドさんは衰弱してるんだから」
 
 
咎めるわけでもなく、レイラは淡々とした様子で言った。視線はイマノルたちとはまったく別の方に向けられている。
 
 
 
イマノル
「そうだった!スタイル抜群の美女を助けないとねー」
 
 
トア
「ちょっと待て!さっきからスタイル抜群の魔銃師のところに行きたいとか言ってたけど!ーーおい!」
 
トアはここでイマノルの目的に気づいた。
 
 
 
 
魔銃師アーサー
「ーー相変わらず。釣れないなー」
 
 
笑いながら、小さく呟いた。