任天堂Switch版エルネア王国をもとに書いています。
色んな意味でイロイロあった、212年も今日で終わり。
休日ということもあり、ピクニック。
ラウル家、バーナード一家、プラス、ジェレマイア。おまけにローデリック。
ローデリック
釣りをしているとバーナード夫妻が歩み寄ってくる。
「なんかボク、ねむくなってきた....」
カトリーン(ジェレマイア様が目の前にいる..!)
お昼からは、評議会の議長選。
騎士隊からはリリー・フォード
山岳兵団からはバーニス・ミラー
魔銃師会からはリンゴ・ラウル
農場管理からはミリー・コネリウス
議長に特にこだわりがなかったものの、一回で選ばれたのでそのまま受けることに。
これは、忖度か?王家の力か..?
リンゴが議長となり、評議会は終わった。
議会掲示板を見てみると、
議員に、ティアゴの名前があった。筆頭魔銃師はティアゴだった。
昼寝ができると喜んでいたのに、予定が入ってしまったので文句を言われそうだとリンゴは思った。
エティ陛下に年末の挨拶を。
ギオルギーはあと少しで結婚するし同じ日にセシリアが誕生日で歩き出す。
陛下には二人の門出と成長を見てほしい。
2日前に20歳になったばかりだし、大丈夫だよね。
長生きしてください、陛下。
バーニス
「夜明け前に起きないといけないから..王様や議員ってのも大変な仕事だよね」
「それやると居眠りする人が出てくるんじゃないの?」
バーニス
「ねえ、リンゴって...もしかして導師..ティアゴさんのこと好き..だったりする?」
リンゴ「!!」
バーニス
「周りの人達は、そんな話がたまに出ると昔からある噂話だから笑い飛ばすけど...どうなの?」
リンゴ
「そんなわけないよ」
バーニス
「本当?嘘、ついてない?」
バーニスの黒真珠のような目に真っ直ぐ見つめられる。
リンゴ
「・・バーニスちゃんは?よく、バーニーさんと一緒にいるけど」
バーニス
「私は、バーニーのこと好きだったし、今も大切な仲間だよ」
バーニスは睫毛を伏せて静かに言った。
「私がそうだったから、リンゴがもしティアゴさんのこと好きだったとしてもそれを軽蔑したり、文句を言ったりするつもりはないよ」
リンゴ
「・・・・うん、私、ティアゴ君のこと好きだよ。パチャグラタンより」
バーニス
「パチャグラタンが好きなレベルがよくわからないんだけど...ティアゴさんってそれ、知ってる?」
リンゴ「パチャグラタンより好きな事はたぶん、知らない」
なんとなく、誤魔化した。誤魔化さないと、今現在のことを知られてしまいそうだと思った。
そしてパチャグラタンより好きという話なんてするはずがない。
バーニス
「気づかれちゃダメだよ?ティアゴさん、リンゴのこと気に入ってるから、もしかして手を出してくるかもしれない..」
(パチャグラタンのくだりが邪魔..)
リンゴ
「ティアゴ君に限って、それはないよー」
リンゴは笑った。
バーニス
「あのティアゴさんがそんなことしないか...」
(でもティアゴさん、リンゴのことすごく可愛がってるような..年が離れてるから単純にかわいい妹のような、娘みたいな存在?とは、違うような)
リンゴ「そうだよ」
バーニス
「あのね、ティアゴさん、イマノルに迫られてるみたいなんだけど大丈夫かなぁ?イマノルにお風呂で襲われてたんだよ」
リンゴ「・・・」
バーニス
「もしかして、あの2人もうデキてるんじゃ..」
純真なバーニスちゃんを誤解させたイマノル、お前は罪深い奴だなとリンゴは思った。
誤解なのか、リンゴには分からないが..
ラナ「赤ちゃんできたんだー♪」
リンゴ「ほんとに?おめでとう♪よかったねー」
待望の赤ちゃんの報告♪
「はい、いい香り♪似合ってるんじゃない?」
みんな仲良いなーと思って歩いていると、ヴェルンヘルが女の子と高速移動していくのが見えた。
リンゴ「・・・」
みんな、仲良いなー。
イラっとしたので気持ちを落ち着かせようと、禁断の遺跡?に転移魔法で移動。
秋の星の日とは違い、冬に咲くスノードロップの花が咲いていた。
リンゴ「綺麗...ん?」
隅っこのほうに人影があった。
傍らに黒い帽子が置かれ、寝っ転がって眠っている赤服の男性。
どうやら、彼はここを昼寝場所にしたらしい。
偶然見つけてしまったものは仕方ないと、リンゴは気配を消してゆっくりと近づいていく。
リンゴ
(どうしよう、驚かしてみようかな、くすぐってみようかな?)
なにをするのか決めかねながら一歩一歩近づいていく。
寝っ転がっているティアゴの横まで行き、しゃがみ込んでティアゴの顔を覗き込んだ。
リンゴ(どうしよう、くすぐろうかな)
まだ考えていると、ティアゴの片目が開いて、
ティアゴ
「なに?人の顔覗き込んで...襲うつもりかな、リンゴちゃんは」
リンゴ「ああ!その手があったか!」
しまった、なんでイタズラの方向にしか考えがいかなかったんだろうとリンゴは悔しがった。
ティアゴ
「なにそれ..」ティアゴは苦笑した。
リンゴ
「と、見せかけて」
リンゴは素早く、寝っ転がっているティアゴに馬乗りになった。
ティアゴ「へ?」
リンゴ
「そういえば、子供の頃星の日にティアゴ君をくすぐり損ねたなぁーと思って」
ティアゴ
「俺、リンゴにはちゃんとお菓子あげたしね・・で、今くすぐるの?」
リンゴ「この前私のことくすぐったでしょ?」
リンゴが手を伸ばしてくすぐろうと体を低くすると、ティアゴの両手が伸びてリンゴの両手を掴んだ。
お互い両手が塞がった状態になった。
リンゴ
「もしかして、くすぐられるの苦手だったりする?」
ティアゴ「別に、そんなことないけど」
リンゴ「じゃあ、くすぐってもいいよね?」
ティアゴ「だめ」
リンゴ
「でも、ティアゴ君、この体勢、かなり不利だよ」
ティアゴ
「リンゴは甘いよ」
ティアゴは勢いよく起き上がったのでもう少しでお互いの頭がぶつかるところなのをティアゴを寸前で頭を避けた。ティアゴが起き上がったのでリンゴは体勢を崩しそうになる。
ティアゴ
「ほら、これでもう不利じゃない」
ティアゴは体勢を崩しそうなリンゴの腰に手を回し、抱き寄せた。座った状態のティアゴに抱っこされている状態になった。
リンゴ「なんで・・馬乗りになってたのに」
ティアゴ
「だって、リンゴは軽いから。それに俺、これでも武術職なんだよ?」
そう言いながら、ティアゴはどさりとリンゴを地面に転がした。今度はティアゴがリンゴに覆いかぶさっている。
ティアゴ
「この体勢、かなり不利だけどリンゴはどうするのかなー?」
リンゴ「ど、どうするって、、」
ティアゴ「このままだとまた食べちゃうよ?」
リンゴの耳元に顔を寄せて囁くと、リンゴの首に何度もキスした。
リンゴ「い、嫌じゃないもん..」
ーーそんなの、分かってるくせに。
ティアゴ「・・・・・じゃあ、連れていく」
ティアゴは片手に導きの蝶を持ち、もう片方の腕でリンゴを抱き起すと、転移魔法で移動した。
いつもの空き部屋じゃなかった。
かなり広い部屋...
どこかの邸宅のようだ。
ティアゴ「煽ったの、リンゴだからね」
ティアゴはリンゴをベットに押し倒した。
首筋に口づけを落とし、リンゴの服の中に手を滑り込ませる。
何度も口づけを交わしながら2人はお互いを求めあった。
夜になり、2人は魔銃師会ホールで別れる。
リンゴ
(ベッドの中と普段の
ティアゴ君って全然違う……)
思い出して顔が熱くなる。
ティアゴ
「ん?どうかした?」
通常モードに戻っているティアゴは涼しげの顔だった。
リンゴ
帰る前に挨拶を。
そこにXさんがやってきた。
X「こんばんは」
リンゴ「こんばんは」
ティアゴ
「こんばんは。こんな時間からまさか仕事ですか?」
X「酒場の帰りよー。2人がここにいるからきたの。渡したいものがあって」
というと、Xは封筒をティアゴとリンゴそれぞれに渡した。
X「リンゴちゃんには前に渡すって言ってたんだけど」
封筒には一枚の写真が入っていた。
X「よく撮れてるでしょ?」
ティアゴ「い、いつの間にこんなものを..」
X「あんたたち、仲良さげよね。この時なに話してたか覚えてる?」
ティアゴ
「いつの写真か分からないのに、覚えてるわけが..」
内心なんの話をしていたんだろうとティアゴは不安になった。
X「パチャグラタンの話してたわ」
ティアゴ「これは、秋の写真ですね」
食べ物の話でティアゴはホッとした。普段の自分たちの会話がくだらなくて心底安堵する。
X「いらないなら返してくれてもいいけどどうする?」
リンゴ「欲しいです、ありがとうございます」
ティアゴ
「・・リンゴは毎日見かけてるから写真があってもとは思うけど、魔除けに持っておきます」
ティアゴは無表情で写真を封筒に戻すと上着のポケットにしまった。
リンゴ「魔除けって..!」
色々あった212年が終わり、
213年、エルネア杯の年を迎える。
この時はまだ、リンゴは気づいていなかった。
Xがくれた、この写真の意味を。